出版物のご案内 :: 山形大学出版会
5/6

271) 海岸林の定義と構造 ~海岸林って何?~ このような理由から、ここでは海岸林を次のように定義します。「海岸の塩風の環境のもとで成立している森林群落で、それには砂丘地だけでなく、丘陵・崖地に成立する森林も含み、天然生林では内陸とは組成や構造が異なる森林」 もう少し説明しましょう。海岸地域とそれよりも内陸の地域とで最も異なるのが塩分を含む風です。植物にとって塩分は生理的に大きなストレスとなります。そのため、塩分が含まれる風や砂、雨にさらされる環境でも耐える性質をもった植物が海岸には多いのです。そのような環境に成立している森林を海岸林としたわけです。そのため、立地によって海岸林の範囲は異なります。例えば、日本海側の砂浜海岸では冬季に強い季節風が吹きつけるため、塩分を含む風や飛砂が内陸の奥深くまで侵入するのに対し、太平洋側の崖地では、このような環境が及ぶ範囲は狭く、すぐに内陸の環境になってしまいます。 では、東北日本海側の南部にある山形県の庄内海岸を例に、どこまで海岸林と呼ぶのか具体的に説明しましょう。 砂浜海岸は汀線から砂丘が幾重にも発達し、内陸へ約2~2.5kmまで続き、後背湿地(現在はほとんど水田)となります(図1.1-1)。防浪砂堤から前砂丘にかけては砂草や低木類が生育し、前砂丘の後ろからクロマツ林が造成されています。このクロマツ林は幅が300~500mほどありますが、それより内陸防浪砂堤前砂丘主砂丘第二天然砂丘第一天然砂丘後背湿地汀線約100m約500m約1.5~2km図1.1-1.山形県の庄内砂丘上の海岸林の模式図

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です