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2 東北地方の伝統方言2.1 伝統方言 本章で「伝統方言」の語形や特徴として挙げているのは、国立国語研究所より刊行された『日本言語地図』(全6集、大蔵省印刷局、1966-1974)と『方言文法全国地図』(全6集、大蔵省印刷局・財務省印刷局・国立印刷局、1989-2006)に記載がみられる語形や特徴である。『日本言語地図』は1957年から1964年に行われた調査、『方言文法全国地図』は1979年から1983年に行われた調査に基づいて作成され、調査当時における全国の方言形を知ることができる資料である2。2.2 東北方言 現在広く受け入れられている東條操の方言区画では、「東北方言」の範囲に東北6県に加えて新潟県の一部(下越地方)が含まれる(東條操編『日本方言学』、吉川弘文館、1954、pp.33, 36)。しかし、アンケートでは、回答者に言語形成期を過ごした地域を記入してもらい、結果を都道府県単位で集計しているため、本章では「東北地方で言語形成期を過ごした者が使用する方言」を「東北方言」とする。 アンケートでは文法・語彙が調査対象となっているため、ここではまず、東北地方の伝統方言の特徴の中で、調査対象としなかった音声・形態面の特徴を概観しておく3。 音声面の特徴として、「シ」と「ス」、「ジ」と「ズ」、「チ」と「ツ」の区別をせず、たとえば、「獅子」「寿司」「煤」や「知事」「地図」がそれぞれ同じ発音になる点が挙げられる。また、「イ」と「エ」の区別をしない、語中・語末のカ行音・タ行音の濁音化、特殊拍(長音・撥音・促音)が短く発音されるという特徴もある。 形態面の特徴としては、名詞に後接する指小辞「ッコ」「コ」の使用が挙げられる。2 『日本言語地図』と『方言文法全国地図』の地図画像は、本稿執筆時点で国立国語研究所Webサイト内の「日本語情報資料館」で見ることができる。『日本言語地図』画像:http://www6.ninjal.ac.jp/laj_map/『方言文法全国地図』画像:http://www6.ninjal.ac.jp/gaj_map/3 東北方言の概要は、大西拓一郎『現代方言の世界』(朝倉書店、2008、pp.13-14)、平山輝男『日本の方言』(講談社、1968、pp.129-132)、真田信治編著『日本語ライブラリー 方言学』(朝倉書店、2011、pp.15-22)を参考にした。また、佐藤亮一監修『標準語引き 日本方言辞典』(小学館、2004、pp.1374-1467)、および、『月刊言語』「特集【小辞典】ふるさとのことば」(大修館書店、2003年1月号)には、全国各都道府県別に方言の概要が記述されている。若者の東北方言第一部19

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