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……10序 論「復興」のあり方を問う後はさらにその傾向に拍車がかかり、新長田中心市街地における事業所数・従業者数とも平成8年の7割前後と厳しい状況にあります。図表1 長田区の復興状況神戸市長田区中心市街地人口(平成17年・対平成2年比)103.2%76.8%世帯数(平成17年・対平成2年比)119.3%91.3%年間小売販売額(平成16年・対平成6年比)85.8%57.1%小売店従業者数(平成16年・対平成6年比)101.5%68.2%製造業従業者数(平成16年・対平成8年比)87.0%66.5%(『神戸市(新長田地区)中心市街地活性化基本計画』より筆者作成) そして以上のような課題を踏まえ、災害復興の方向を産業基盤優先型から生活基盤優先型へと転換させるべき、という主張が現れることとなりました。この主張の中で「人間の復興」という言葉がキーワードとなったのですが、実はこの言葉は関東大震災(1923)からの復興に関する議論の中で、当時の経済学者福田徳三(1874-1930)によって用いられたものです。それでは彼はどのような意味合いを持ってこの言葉を用いたのでしょうか。(3)福田徳三の「人間の復興」論 福田徳三は、東京商科大学(現在の一橋大学)、慶応義塾大学に勤め、政府による社会問題・労働問題の解決を求める社会政策の必要性を主張した経済学者です。彼の主張で特に重要な点は、国民の生存権を保証することを国家の義務とし、生存権は国民が国家に要求できる権利であるというものです。 福田は資本主義の諸問題、とりわけ貧困や不平等といった社会問題・労働問題を克服するために、当時主流であった社会主義(産業の国有化や計画経済により社会問題を解決しようとした思想)とは別の方法として社会政策を主張します。当時の社会主義者は、資本主義は必然的に崩壊しそれが引き起こす社会問題は早晩消滅するだろうと楽観していました。これに対して社会政策はそのような運命の到来に任せるのではなく、むしろ積極的な政策を実施することによって資本主義が引き起こすさまざまな問題を防ごうとするものでした。evaluation use only ese only evaluation usaluation use only eva only evaluation use oation use only evalua

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