出版物のご案内 :: 山形大学出版会
14/32

……12序 論「復興」のあり方を問う機会を維持し、擁護する道具立てに過ぎない。それらを復興しても本体たり実質たる営生の機会が復興せられなければ何にもならないのである。(福田2012:133) この福田の主張を見ると、これが彼がもともと抱いていた社会政策に関する主張と密接に関わっていることがわかるでしょう。平常時における社会・労働問題の解決を目指すための社会政策に関する基本的思想が生存権の認証であったわけですが、災害からの復興においても被災者の生存権を擁護するという主張の中にこの思想が貫かれていることがわかります。そしてこの思想から彼は、生活や労働の機会を意味する「営生機会」の復興を行うためのさまざまな事業を行わなければならない、という具体的政策を提言しているのです。道路や建物という産業基盤の整備ももちろん重要ですが、それはあくまでも生存権の擁護という「人間の復興」の過程の一部として位置づけられる必要があるのです。 このように福田の思想は現在の災害復興を考えるための重要な手がかりとなることが理解できたと思いますが、それでは次に「人間の復興」という彼の思想を通して、災害復興の現状や将来のあり方について考えてみましょう。2.「人間の復興」論の現代的意義(1)東日本大震災と「人間の復興」 災害復興には生存権の保障に必要な「医」(医療・福祉)、「職」(仕事)、「住」(住まい)、「習」(教育機関)が不可欠であり(山中2009:187)、これらが地域コミュニティの中に適切に組み込まれていることが必要となります。このような観点から東日本大震災における復興プロセスを評価した場合、震災から2年を経過した本書執筆の時点(2013年)においても、残念ながら「人間の復興」という目標の達成はなお困難な状況にあると考えられます。このことは、被災地における医療機関、雇用、住宅および学校の復興状況とその課題を見ることによって明らかになります。evaluation use only ese only evaluation usaluation use only eva only evaluation use oation use only evalua

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です