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……16序 論「復興」のあり方を問う①費用負担 集団移転における国の補助対象は基本的に自治体による移転地の取得・造成費や、住宅を建設・購入する場合の借入利子補助に関わる経費などの範囲にとどまるため、被災住民が移転先で住宅を新築する費用や、そのための土地の購入、賃貸などに関する費用は原則として住民自身が負担しなければならなくなります。②「職住分離」の影響 東日本大震災の被災自治体の多くは、東北地方の太平洋沿岸に位置し、漁業、水産業等が主要産業となっている所も多数あります。常に海と向き合いながら生計を立てていた住民にとって、海岸や漁港を離れ高台や内陸へ住居を移すことが、職業および日常生活上で多大な影響や制約に結びつくことになります。防災の観点からは生命の安全確保も重要ですが、地元産業も含めた地域社会の持続性への配慮も必要となり、これが住民間の合意形成の困難にも繋がっています。③人材不足 集団移転は大規模な戸数が対象となる一方、被災によって人員や事務能力が縮小した自治体にとっては大きな負担となります。 また原子力災害により長期間元の町に戻れない福島県浜通りの自治体が検討している「仮の町」とは、受け入れ自治体と協議した上で役場、店舗、病院、学校などを整備し新たな市街地を作り、そこに元の町に戻ることができるまで一時的に定住しようとするものです。 しかしその実現のためには制度面での保証、土地の手当て、自治体経営の持続可能性、町を成立させるための産業の創出、受け入れ自治体への保証、帰還後には空き家となりかねない町をどうするかなど、乗り越えなければならない難問は数多くあります(山中2012:8)。自治体を経営する上での財源確保も大きな問題となるでしょう。元の町で主要な財源であった固定資産税や住民税がほとんど入ってこないため、別の財源を考えなければなりません。 さらに仕事の創出がない限り新しい町もすぐに衰退してしまうおそれがあevaluation use only ese only evaluation usaluation use only eva only evaluation use oation use only evalua

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