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結果を報告としてまとめる、そういう能動的・主体的な取組みがレポートの作成には不可欠です。 大学の授業ではレポートの提出だけでなく、口頭での発表(プレゼンテーション)を要求されることもしばしばです。プレゼンテーションも高校までは経験することが少ないため、苦手に思っている人も多いのではないでしょうか。また最近ではディベートやワークショップなど、グループで取り組む作業(グループワーク)も演習形式の授業ではしばしば取り入れられています。いずれも学生諸君の能動的な取組みが不可欠なアクティブ・ラーニング注①にほかなりません。 学問研究も社会での様々な活動も、1人ではなくグループで取り組むことが多くなっています。共同で課題に取り組む際にはグループ内での密接な意見交換や討論が不可欠ですし、またその際は自分の考えや調査結果を皆にわかるように報告・説明することで、その内容を共有することが必要になってきます。プレゼンテーションやグループワークの訓練を積み重ねることはそういう際のコミュニケーション能力を向上させることにもつながります。注① アクティブ・ラーニングとは、教員による一方向的な講義形式の授業ではなく、学生の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学修法の総称です。これまでも大学ではそのような演習や実習・実験の授業が専門教育では数多く開講されていましたが、最近では入学初年次からPBL(Project Based Learning)と呼ばれる問題解決型の授業をアクティブ・ラーニングとして提供する大学が増えています。山形大学の基盤教育ではそのようなアクティブ・ラーニング型授業を「学生主体型授業」と呼び、初年次学生向けの基盤教育の授業で多数開講しています。93.テキスト『なせば成る!』について このテキスト『なせば成る!』は学生諸君が大学でのアクティブ・ラーニングにスムースに適応できるよう、プレゼンテーション(2章)やグループワーク(3章)、レポートの書き方(4章)、調査・情報収集の方法(5章)など主体的・能動的な学修のために必要な技法(スキル)について解説しています。『なせば成る!』は学生諸君がアクティブ・ラーニング(能動的学修)を進めるためのテキストと言って良いと思います。そしてそれらはいずれも「課題の探求」という大学での学びの内容と密接に結びついています。 スキルの向上はテキストなど読まなくても、自己流のやりかたで、試行錯誤をしながらでも可能かもしれません。しかし、最初にコツや基本的なポイントを理解しておくほうが、スムースに進むことが多いのは間違いありません。このテキストを初年次の導入科目(スタートアップセミナー)のテキストとして作成したのはそのためです。 これらの学修スキルの修得・向上は半年や1年だけで完了するものではありません。プレゼンテーションや文章作成などの能力は、大学生活を通じて向上させていくものだからです。このテキストで紹介されている学修術の数々は、導入科目だけではなく、それ以外の授業でも役立つ内容です。スタートアップセミナーの授業が終わったあとも、是非傍らに置いて学修マニュアルとして活用して欲し(立松 潔)いと思います。

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