ブックタイトル出会う。| 山形大学 大学案内 2018

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概要

出会う。| 山形大学 大学案内 2018

華やかな成果も地道な調査から。現在と過去が対象の人類学と考古学私は、人間の社会がどのようにして文明を生み出したのかという点に関心があり、特に文字を持たずに独自の文明をつくり上げた南米アンデス地域を対象として研究を続けてきました。大きなテーマとしては、古代文明の形成過程において、人間はなぜ地上絵や神殿に代表される巨大なモニュメントをつくったのかという問題に取り組んでいます。このような問題意識をもとに現在は、山形大学ナスカプロジェクトのメンバーとしてナスカの地上絵を作り上げたのはどのような人々だったのかを、地上絵周辺の遺跡調査を通じて解明することを目指しています。調査は精神的にも体力的にも厳しい地道なものですが、地道な調査から、今まで見たことも聞いたこともないような人間社会の様相が浮かび上がってくることがこの研究の大きな魅力です。これまでの山形大学チームの研究成果から、有名なナスカの地上絵より古い時期の地上絵の実態が明らかになりつつあります。そして私の調査では、ナスカ文化が生まれる過程において、海岸の砂漠地帯と高地の山岳地帯というまったく異なる環境に暮らす人々の交流が重要だったことが分かりました。多様な環境に暮らす人々がお互いを補い合うような形で交流し、社会が変化する中まつもとゆういち|茨城県筑西市出身。東京大学文学部歴史文化学科考古学専修課程卒業。東京大学人文社会系研究科基礎文化研究専攻修士課程修了。イエール大学大学院人類学部修士・博士課程修了(M.Phil. Ph.D.)、ハーバード大学ダンバートン・オークス研究所フェロー、国立民族学博物館機関研究員を経て本学着任。山形大学人文社会科学部附属ナスカ研究所所員。人文社会科学部P.78でナスカ文化が発生したのだと考えられます。では、このような学問は我々の生活にどんな意味を持つのでしょうか。様々な機会に耳にする国際化やグローバル化という言葉の背後には、自分たちとは異なる文化を理解することの重要性があります。自分が当たり前と感じることが他者にとっては必ずしもそうではない可能性を常に想定する姿勢を身に着ける必要があるのです。現在と過去の人間社会を広く対象とする人類学と考古学は、そのきっかけを与えてくれる学問だと思います。授業では、国際的な研究の最先端を紹介し、一見華やかな成果が、極めて地道な調査の積み重ねであるという学問の実態を理解してもらいたいと思っています。そして重要なのは、ノートを取って覚えるよりも、自分の頭で考えてそのアイデアを伝えられるようになること。そのためにも学生が気楽に、でもきちんと自分の考えを言える雰囲気づくりを大切にしています。大学での勉強には、自分で問題を探し、自分で考察を深めることが求められます。自分の関心がどこにあるかを自力で考え、わからないことをどんどん質問し、自分の考えを恐れずに表現できる人になってください。松本雄一准教授|アンデス考古学・文化人類学16