先端学習ラボ:『未来学へのアプローチT』第12回授業を開催。
[授 業]
日 時:平成21年7月3日(金)14時40分から16時10分まで
授 業 名:「環境問題を考える」
〜「ダイオキシン・環境ホルモン 環境にやさしいプラスチック」〜
担当教員:栗山恭直准教授
講 義 室:先端学習ラボ(Leading
Learning Laboratory :L3キューブ)
出席学生:23名
[授業概要]
本授業は「未来学へのアプローチT」の12回目。栗山恭直准教授による「環境問題を考える」の3回目である。
「未来学へのアプローチT」は、都市問題(佐藤慎也教授)・格差問題(杉原真晃准教授)
・環境問題(栗山恭直准教授)、それぞれのテーマを3名の授業者が担当する。
本授業が行われる「先端学習ラボ(Leading Learning Laboratory:L3キューブ)」では、
4画面のプロジェクターが設置され、20台のノート型コンピュータが整備されている。
最先端の情報機器や、可動式の机が整備された教室環境で行われる授業である。
参観者:学内参観者:小田隆治教授,佐藤慎也教授,黒沢晶子教授,杉原真晃准教授,酒井俊典助教,
川田正之(山形大学高等教育研究企画センター),佐藤千恵(山形大学高等教育研究企画センター事務補佐員)7名
. 学外参観者:國澤英雄教授(朝日大学)1名,合計8名
[授 業]
本日のテーマは、「ダイオキシン・環境ホルモン 環境にやさしいプラスチック」である。
本日の授業は、以下のように構成されている。
(1)ネット環境の準備等
(2)10分プレゼン準備(50分間)
(3)順位決定
自己評価はせず、他の班のプレゼンテーションについて評価シートに記入する
(4)表彰式
授業冒頭において、プレゼンテーションの優勝チームに送られるプレゼントが提示された。また、それに伴い「プレゼンテーション採点シート」が提示され記入方法の説明があった。まず、各グループで、持ち寄った素材を元に、10分プレゼンテーションについての準備が行われた。纏められたファイルはコラボノートを介してアップロードされ、栗山恭直准教授がダウンロードし、先端学習ラボ正面のプロジェクターに提示する。
5グループが異なる問題関心、テーマに応じて、まとめた内容をプレゼンテーションした。10分プレゼンテーションは、グループの代表者が行うが、質疑応答では、発表者だけではなく、個人的に調べ素材を持ち寄ってきたグループのメンバーが応答している。
プレゼンテーションの順位決定は、個々人の評価をグループ毎に集計し「プレゼンテーション採点シート」の集計により、決定される。学生は、グループ内でディスカッションし、それぞれの自己評価を集計し、他のグループのプレゼンテーションについて評価する(自己評価はしない)。集計結果は、栗山恭直准教授によって、各グループの集計結果がプロジェクターに投影され、可視化共有されている。何故、そのグループの良かったと評価した理由について各グループから述べられた。 プレゼンテーションの相互評価シートには、あらかじめ定された項目で採点するだけではなく、自発的に自由記述のコメント覧にも様々な意見が記載されていた。
学生は最後のプレゼンテーションの為に個人で纏めてきた資料を提出した。
来週は、教室を変更し、新しいエネルギー、「色素増感太陽電池」の実験を「山形大学SCITAセンター」にて行う。
山形大学SCITAセンター http://mirai.scita.jp/
1.森林伐採と砂漠化
何故、世界的に森林が減少しているのか、という問いが提示された。海外からの輸入にたよらず、日本の樹をもっと活用することが提案された。日本の森林面積が約2500万haであること、その約5割である約1300万haが天然林であり、約4割の1000万haが人工林であること。そのうち日本の木材自給率(22.6%)であること。国土面積に占める森林面積は約66%(森林率約7割)で、先進国の中では、有数の森林大国であること。その他、森林蓄積量と木材自給率などが、グループの主張を根拠付けるデータとして提示された。
また、砂漠化には現在研究段階である、納豆に含まれる菌を利用する研究が示された。最後に、環境問題を身近で小さな所から考えること、解決可能性がわずかでも、何か行動をすることが求められているのが現状ではないか、とのメッセージが発された。
質疑応答では、何故、木材自給を海外に頼っていることの問題を巡って議論があった。
2.異常気象について
異常気象の定義について説明があった。異常気象の一例として平成6年の渇が取り上げられた。また、気候因子と異常気象の関連について述べられた。エルニーニョ現象、ブロッキング現象について紹介された。これらが様々な異常気象に繋がっていと想定されていれるが、確かなことは解っていない現状があること。しかし、頻度が高くなってきていることによる被害の拡大は見過ごせないとのことである。こうした気候が、世界的に影響に及ぼす図が示された。このグループは、異常気象への対策として、環境税・電気自動車・透過性道路・建築家、安藤忠雄氏の「海の森」(東京湾のゴミの埋め立て地に植林をする試み)を挙げた。
3.水不足
水不足問題を述べるに辺り、全世界の水のうち、98%を海水が占め、淡水のウチ70%が氷河であり、30%は地下水、飲み水は0.01%であること、また、アフリカ諸国の水の使用か能率は日本の1/10、アメリカの1/15であること。これらがデータとして示された。地球においてどのような水が存在しているかの全体傾向が提示された。加えて、世界的にどのような地域が水不足になっているかが地図で提示した。更に、砂漠季候の拡大にについて説明があった。これらの解決策として、人工降雨・海水・地下水が水不足問題に対する解決策として提案された。これに付随する水質汚濁の原因が紹介された。水質汚濁の解決策についても工業用水、生活用水の観点から、取り上げられた。ごみの問題についても取りあげられ3R(Reduce-Reuse-Recycle)の徹底とモノを長く大切に使うことが提案された。質疑応答では、水不足とごみ問題の関連性について質問があった。
4.エネルギー問題
まず、石油諸問題に着眼し、大気汚染問題、地球温暖化問題、資源の格差問題、枯渇問題が、大きな問題として取り上げられた。メタンハイドレート・オイルサンド・オイルシェール等の新しいエネルギーは発見されているものの、化石燃料はいつか枯渇してしまうということが根深い問題として示された。化石燃料の半分以上を中東に依存していることが円グラフで提示された。次に、化石燃料を代替するエネルギー源が紹介された。原子力発電、バイオマス・エネルギー、自然エネルギーについての歴史的・社会的背景を踏まえた概要が述べられた後、それぞれのメリット・デメリットが両論併記され提示された。質疑応答では、新たなエネルギーが孕む問題や課題点をどう解決するかについてオバマ政権でのアメリカの政策など政治的、経済的側面からも議論が行われた。
5.地球温暖化
まず、地球温暖化問題を捉える際には、自然要因も考えられているが、人間による化石燃料の使用が主因であると考えられていることが示された。対策は、新技術の開発と普及・炭素プライシング・炭素税・クリーン開発メカニズムが提示された。また、啓発、民間への啓発活動の必要性、国際協力の重要性についても述べられている。加えて、地球温暖化が具体的に地球全体に、及ぼす具体的な現象について、大型台風から、生物種の大規模な絶滅の可能性まで紹介された。このグループからは、地球規模のスケールの問題だけに、個人の節約などの努力が相対的に小さな営みとして映ってしまうが、環境問題を1人1人の問題として捉えるとが、重要であるとの提案があった。質疑応答では、これらの問題の具体的な解決策が模索されているということ、先進国と発展途上国との国際的な合意形成の可能性がどうあるべきか、例えば、京都議定書の持つ実際の影響力についての議論が行われた。
実際の授業の様子についてはこちらをご覧下さい。
[懇 談 会]
日 時:平成21年7月3日(金)16時20分から17時00分まで
会 場:先端学習ラボ(Leading
Learning Laboratory :L3キューブ)
学内参加者:小田隆治教授,佐藤慎也教授,黒沢晶子教授,栗山恭直准教授,杉原真晃准教授,
酒井俊典助教,佐藤千恵(山形大学高等教育研究企画センター事務補佐員)7名.
学外参観者:國澤英雄教授(朝日大学)1名,合計8名.