先端学習ラボ:『未来学へのアプローチU』第5回授業と懇談会を実施

 

[授  業]

日  時:平成211030()1440分から1610分まで

授 業 名:『格差問題をふまえて未来を創る』

担当教員:杉原真晃 准教授

講 義 室:先端学習ラボ(Leading Learning Laboratory L3キューブ)

出席学生:9

 

参観者:小田隆治 教授、豊田 東雄 教授佐藤慎也 教授 栗山恭直 教授、佐藤千恵(山形大学高等教育研究企画センター事務補佐員)5名、計5

 

 [授業概要]

本授業は『未来学へのアプローチU』の第5。杉原真晃准教授による「格差問題をふまえて未来を創る」の最終回、第4回にあたる。杉原真晃 准教授の授業では、教育学の立場から格差問題とりわけ、「格差の再生産」・「格差拡大」に教育がどう関わるかを4回扱った。

 

本授業が行われる「先端学習ラボ(Leading Learning Laboratory:Lキューブ)」では、4画面のプロジェクターが設置され、20数台のノート型コンピュータが整備されている。

最先端の情報機器や、可動式の机と椅子が整備された教室環境で行われる授業である。

 

『未来学へのアプローチU』では、格差問題・環境問題・都市問題、それぞれのテーマを3名の授業者がリレー形式で4回ずつ担当し、最後2回に総まとめの活動がある。

 

[授  業]

本日のテーマは、「労働と教育について考える〜格差拡大に対して教育は何ができるか〜」である。

 

冒頭において、活動休止をしたミュージシャン(絢香)の「社会へメッセージを発すること」を伝えるドキュメンタリー映像楽曲に関する番組映像が5分程度、提示された。

 

 [テーマ]

テーマである、「労働と教育」に加え、最終回となる今回は、これにどのような「持続可能な社会」を描くか、その為に必要な「教育」(特に「高校教育」)を創り出す。以下、2点に基づいて議論する。

 

[タイムスケジュール]

14:5015:00 1分間プレゼンテーション

 ・「課題」について、グループ内でプレゼンテーションを行う。

15:0015:30 グループワーク

 ・1分間プレゼンテーション、およびこれまでの議論を踏まえ、私たちの考える理想の「高校教育」を創り出す。以下3の点につき、グループ毎、ワークシートに考えをまとめ記入。

・必要な項目

1)教育目標(育つ子ども像、身に付く力)

2)背景(なぜそれが必要なのかについて、理由)

3)「教育目標」を実現するための、教育の内容、方法、制度など

 

15:3016:00 全体発表 私たちの考える「高校教育」

 ・ワークシートをスクリーンに映し出して発表する。

・各グループの代表者が自分たちの創り出した「高校教育」について、全体に向けて発表する。

1グループの持ち時間8分。発表4分、質疑応答4分。

 

16:0016:10 来週に向けての連絡

次週から、「環境問題」を担当する栗山恭直 教授からアナウンス。

 

1のグループからは、教育目標については、様々な格差を踏まえた上で、授業の方法も回答に応えるのではなく、自分で問題を考え、自分で回答を導くような授業が提案された。これを巡り、コミュニケーション能力は授業で育てるものなのか、自然に身についていくのではないか、という議論があった。この点については、自分で問題を作成する場合には評価をどのようにすべきか等という質疑があった。

 

2のグループからは、「代々木コミュニケーション学院」と題した具体的な学校が紹介された。教育目標はコミュニケーション能力の育成であり、自ら学び成長する人間を作ることにある。その背景には、効率化による育成のコストそのものが削減されることによって自らの能力をあげる時代となったという認識がある。自分で問題を発見、解決し、成長していくことが求められている。能力がまた、実現する方法については、「人としてのマナー」、「補修の充実」が挙げられた。前者は雰囲気を醸成することでコミュニケーション能力の育成を提案した。後者は、最低限受けるべき授業は共通のものを設け、その上で能力別の補習を受けるように意図された。補習の位置付けや、役割等を巡って、また、何故、昨今、コミュニケーション力が必要と呼ばれるようになったのか、その具体的な育成について議論された。

 

3のグループからは、「将来のVision作りまスクール」という具体的な学校が紹介された。目標は、将来を設計する力を身につけること、11人が将来に意識を向けることにある。背景には、目標と目的が見えにくいという「労働と教育」の関係がある。働くことと教育の連関を感じることができる教育現場が必要ではないか。何のために学ぶのか。最終目標は「働くこと」である。具体的には、専門高校のみではなく、高校から幅を持たせたインターンシップを導入すること、それに連動して入学時よりも卒業時に多くを学ぶという大学のシステムを見直すことも必要ではないか等が提案された。質疑では、若年層である小中では果たしてインターンシップのようなものが必要か、高校教育と大学教育の関係を巡る議論が同様に他グループでも話題として上がったことが紹介された。

 

杉原真晃 准教授は、教育学の立場から、「格差問題」とりわけ、「格差の再生産」・「格差拡大」を扱ってきた。最後に、最終回の議論に引きつけ、教育がどう関わるかを具体的な事例から、振り返り、教育の力で社会を変えていこうという「Educationalization(教育化)」の紹介や、教育で社会を変えるというスタンスに落とし穴は無いのか、という点を踏まえ、今後の栗山恭直 教授の「環境問題」や佐藤慎也教授の「都市問題」を考えていくようにとまとめがあった。

 

実際の授業の様子にはこちらをご覧下さい。

 

 

 

 

 

[懇 談 会]
日  時:平成211030()1620分から1700分まで

講 義 室:先端学習ラボ(Leading Learning Laboratory L3キューブ)

学内参加者:小田隆治 教授、豊田 東雄 教授、佐藤慎也 教授、杉原真晃 准教授、佐藤千恵 (山形大学高等教育研究企画センター事務補佐員)5名、学生7名 計12名