先端学習ラボ:『未来学へのアプローチU』第8回授業と懇談会を実施

 

[授  業]

日  時:平成211120()1440分から1610分まで

授 業 名:『環境問題について考える』

担当教員:栗山恭直 教授

講 義 室:先端学習ラボ(Leading Learning Laboratory L3キューブ)

出席学生:10

 

参観者:小田隆治 教授、佐藤慎也 教授、 杉原真晃 准教授、佐藤千恵、(山形大学高等教育研究企画センター事務補佐員) 計4

 

 [授業概要]

本授業は『未来学へのアプローチU』の第8栗山恭直 教授による「環境問題について考える」の第3回にあたる。栗山恭直 教授の授業では、化学の立場から環境問題を4回扱う。

 

本授業が行われる「先端学習ラボ(Leading Learning Laboratory:Lキューブ)」では、4画面のプロジェクターが設置され、20数台のノート型コンピュータが整備されている。

最先端の情報機器や、可動式の机と椅子が整備された教室環境で行われる授業である。

 

『未来学へのアプローチU』では、格差問題・環境問題・都市問題、それぞれのテーマを3名の授業者がリレー形式で4回ずつ担当し、最後2回に総まとめの活動がある。

 

[授  業]

本日は、「地球温暖化」について、これまで2回の授業を踏まえた成果発表として、3班からプレゼンテーションが行われた。発表の順番は、第3班、第1班、第2班である。プレゼンテーションに対する採点はグループ相互に行われる。その際に用いられる評価シートには、あらかじめ設定された評価の観点及び自由記述覧がある。

 

3班は、それぞれの観点から「地球温暖化」について科学的なデータに基づく様々な説や事例をプレゼンテーションし、お互いの発表内容に関しても、闊達に質疑を交わした。

 

最後に、栗山恭直 教授から、「地球温暖化のように科学的なデータでも答えが出ないものがある」とまとめがあった。来週は、仮説を立てて実験を行うことを体験するため、山形大学SCITAセンターに場所を移す。

 

[タイムスケジュール]

・発表の準備 10

・プレゼンテーション20分(15分発表、質疑応答5分)×3

・評価についてのグループ内討論10

・発表&表彰

・来週の集合場所についての連絡、「山形大学SCITAセンター」

 

[発表内容と質疑応答]

1

地球温暖化の事実」として、地球温暖化を肯定する説と否定する説の両論を紹介した。

地球温暖化肯定説の「証拠」として、世界の気温の上昇、大気中の二酸化炭素等の科学的データがあげられた。現状は「温暖化と海面水位」、「北極の氷の減少」等の問題がある。現在起きている被害やそれを防ぐための話し合いが持たれている。地球は人間の活動により温暖化しており、IPCCも認めている、との結論が導かれる。

 一方、地球温暖化懐疑論が発表された。そもそも地球温暖化は誰が決めたのか。IPCCがまとめた知見についても懐疑論・異論が存在する。1)人為的要因の低さ、人為的要因は無いとするもの、2)温暖化の要因は二酸化炭素によらないとするもの、3)予測の不確実性を批判するもの、4)学術的論文、学術的知見、コンセンサス等の根本への懐疑である。その為、人間活動より自然要因の影響が遙かに大きいという説がある。地球温暖化が一定の周期でサイクルしていること等、科学的データで示された様々な懐疑論がある。

 地球温暖化については、確実に「肯定説」「否定説」と一概には言えない。否定説は説得的ではあるが、肯定説に基づいて温暖化について活動していくべきである。

 質疑応答では、地球レベルで定期的に地球温暖化がサイクルしているグラフについて、人類が測定可能な時代のデータを巡り、何からそのデータが導き出されているのか、「氷床コア」や「樹の年輪」等から測定していることが説得的なデータになるのか等、データの説得性を巡る議論があった。最後に、第1班から、地球温暖化をめぐるそれぞれの説が、どのようにデータを操作して、提示しているかを捉えてもらいたいと解説があった。

 

2

「地球温暖化とそれに関する問題」として、地球温暖化と二酸化炭素濃度と密接な関わりがあるという「一般論」と「もうひとつの可能性」が紹介された。「もうひとつの可能性」は、3点挙げられた。1つは、人間が環境に変動を与えるほどの二酸化炭素を排出しているのかという疑問。2つは、地球の気温は常に変動しており、人間が排出する二酸化炭素量の変動とは一致しない、という説。気温と二酸化炭素、どちらが先にふえているか、ということであることが重要である。3つめは、「対流圏の気温測定結果との矛盾」について。

最後に補足として1000年前から、10000年前の気温の変動のグラフが同時に提示された。

「もう一つの可能性」とは、地球温暖化は確かに起こっているが、人為的要因によるものではないというスタンスを示す。その際の説得的な根拠として太陽の黒点の影響が気温の変化に影響を与えているという説が紹介された。

全体のまとめとしては、確かに温暖化しているが、二酸化炭素が原因であるかどうかは解らない。我々はもっと慎重に議論しなければならない。肯定的な意見、否定的な意見に固執するのではなく、両方を知ることが大切である。意見を決めつけて行動するのは間違っているのではないか。

質疑応答では、人間が出す二酸化炭素量の測定方法や、第2班が提示した太陽の黒点が地球温暖化に及ぼす影響の大きさを巡り、地球温暖化に関する諸説が紹介され議論された。

 

3

地球温暖化について、1)気温上昇、2)海水面の上昇、3)温室効果ガスの濃度上昇、4)吸収面積の減少、4つの視点から考えていく。一般的に地球温暖化は人類のためだ、と言われているが、第3班では「温暖化は地球のせい?」、「温暖化は人のせい?」という2つの視点を往復する形で議論を進めた。14のテーマについて科学的なデータが示された後、水蒸気等を事例に、地球温暖化は地球環境に起因するのか、人間の活動によって起因するのかを双方、吟味された。

質疑応答では、「水蒸気が最大の温室効果ガスの最大の要因とあるが、水蒸気がどのように温室効果ガスと関わっているのか」、「結論としては、地球温暖化肯定説で話をまとめたのか」といった質問があった。第3班は地球温暖化の原因そのものは、人間の活動が影響を与えているが、地球は時にそれを増幅する役割にあると説明した。

 

実際の授業の様子にはこちらをご覧下さい。

 

 

 

 

[懇 談 会]
日  時:平成211120()1620分から1700分まで

講 義 室:先端学習ラボ(Leading Learning Laboratory L3キューブ)

学内参加者:小田隆治 教授、佐藤慎也教授、栗山恭直 教授、杉原真晃 准教授、佐藤千恵 (山形大学高等教育研究企画センター事務補佐員)5名、学生4名 計9名