先端学習ラボ:『未来学へのアプローチU』第10回授業を実施

 

[授  業]

日  時:平成21124()1440分から1610分まで

授 業 名:『未来の都市を考える』

担当教員:佐藤慎也 教授

講 義 室:先端学習ラボ(Leading Learning LaboratoryL3キューブ

出席学生:8

 

参観者:杉原真晃 准教授、佐藤千恵(山形大学高等教育研究企画センター事務補佐員) 計2

 

 [授業概要]

本授業は『未来学へのアプローチU』の第10回。佐藤慎也 教授による「未来の都市を考える」の第1回にあたる。佐藤慎也 教授の授業では、建築学の立場から都市問題を4回扱う。

 

本授業は通常「先端学習ラボ(Leading Learning Laboratory:Lキューブ)」と呼ばれる、4画面のプロジェクターが設置され、20数台のノート型コンピュータが整備されている最先端の情報機器や、可動式の机と椅子が整備された教室環境で行われる授業である。

 

『未来学へのアプローチU』では、格差問題・環境問題・都市問題、それぞれのテーマを3名の授業者がリレー形式で4回ずつ担当し、最後2回に総まとめの活動がある。

 

[授  業]

[本日の課題]

・未来を考える・・・人からのアプローチ

・世界の未来学・・・アルビン・トフラー氏

・未来を考えるということ・・・アラン・ケイ氏

100年後の未来の模型づくり

 

佐藤慎也 教授の授業では実際に模型を作っていく。このことから、「人が作りながらものを考える」とは、どのような営みか、その思考の傾向を紐解くことから授業は始まった。

 

未来を考える際の人からのアプローチである。佐藤慎也 教授は、「みたこともないものを考える」として、30秒程度目を開けて、次の5つのテーマを挙げ、それを思い浮かべるときにはどこを見るか、として、思考の傾向について体験してもらい、学生からの感想を求めた。1)「新たな映像を思い浮かべる時」は右上、2)「記憶の中にある映像」は左上、3)「新たな音声」は右の方、4)「好きな音楽」は左の方、5)「身体の感覚」は右下、6)「セルフトーク」は、左下を見ると、想起しやすいとされている。

(※右利きの場合9割は当てはまると言われている。)

 

「未来の都市を考える」の上では、新たに街を創り出す際の引き出しとして、1)3)で、手を使って考えていくことになる。

 

次に、リフレーミングと意味の転換について解説があった。リフレーミングとは、何かを発見したり、何かを発明したりといった際に、今まで考えていなかったことに、新たな価値や意味を発見することである。枠組みを変えれば意味も変わる。状況のリフレーミング、内容のリフレーミングについての解説があった。未来の都市を創る際には、リフレーミングを体験していくことになる。リフレーミングには、「すべての行動は何らかの良い意図がある」というスタンスがある。また、人の脳の機能における手を動かすことの比率の大きさ、更に、Hands on思考について解説が行われた。人間は、手や舌を働かせながら思考することの重要性に解説がされた。食べながらワークショップをすることの有効性などが紹介された。

 

本授業の「未来の都市づくり」の特徴は、未来を推測すること、Hands on、時間変化、スケール変化がある。

 

「世界の未来学」として、アルビン・トフラーの「第3の波」について解説があった。第1の波は農業革命、第2の波は18世紀の産業革命、第3の波は25年前にスタートしたとされる情報革命であり、日本は、現在25の波の中にいることになる。「創造としての未来学」として、トフラーの議論を参照しながら、「環境」と「経済」との関わりから、栗山恭直 教授の環境問題、杉原真晃 准教授の格差問題と「未来学へのアプローチ」が位置付けられた。日本の課題と世界の課題のトレンドのズレがあることへの注意が喚起された。第3の波は始まったばかりである。持続可能性、生産消費者がキーワードになる。Linux等様々な事例が紹介された。教育の改革期にあると言及があった。一番のポイントは、自分で適切な情報を得ること、画一性を廃することで独創性を生みだすことが重要とされている。

 

「未来を考えるということ」として、アラン・ケイ「未来を予言する最良の方法は、未来を創造することだ」という象徴的な言葉や彼が提唱する説が紹介された。未来に関する4つの考え方が紹介された。研究段階のものが消費者にわたるまで10年掛かる。メディアを考えていくと、ハードの段階、ソフトの段階、サービスの段階、生活習慣の段階がある。リサーチは2年以上すると信頼を失う。アラン・ケイは、人間の欲求としてはファンタサイズという人間が簡単に支配できる場所を求めるということ、コミュニケーションを求めるとする。教育には、見せること、話すこと、実行することがポイントであると述べていることが、ピアジェ、ブルーナーの教育理論、オイラーの理論やエピソードなどが取り上げられ紹介された。人が思考する際には、身体的、肉体的なところを使う。創造することとは、それらを用いることに近い。また、アラン・ケイの「推測(※未来予測)というのは、我々の教育システムに取り残すべきもののひとつで、それができなければ、真の意味で人を教育しているとは言えないのではないか」、言語のみで教育は成り立たないのではないか、とのコメントを紹介し、実行することの重要性を、未来を考える際のヒントとした。

(※佐藤慎也 教授 加筆)

 

授業中盤では、40分間、「100年後の未来の街を考える」として以下、2点をもとに、材料を使って、街作りが開始された。

・土台に木を植えてみよう

・木を植えたら自分の家を置いてみよう

※一旦、植えた木は動かせないこととします。

 

最後に、テレビゲームのシムシティーの原型となったといわれているアメリカのグリーン・エルソンが開発した「Instant City」が行われた。100年後の未来を考えるものだ。

これが開発された背景には、ロサンジェルスの背景にある、4つの要因を鑑みて地域を変えていく視点があるとされる。1)アメリカンドリーム、2)貧富の格差、3)人類のるつぼ、4)ディズニーの影響。

 

今日は、佐藤慎也 教授が次のようなストーリーを用意している。1)何もないエリア、2)今から50年後、3)島にPurium という何でもきれいにしてしまう水が発見される4)やがてちいさな水のために工場が創られ、その水を求めて多くの人たちがやってくることになる。5)100年後にどのような街が出来ているか考えてみよう。

 

このストーリーに基づいて、この1/1000の模型に街作りの基準作りとして、「いるもの」、「いらないもの」を巡って意見交換が行われ、この街に何が必要なのか、人口はどれ位かが、議論され、決められていく。最後に市長など役割が決められた。

 

[課 題]

50年後〜100年後に至るStoryを各自創作すること

・発表形式:パワーポイント プレゼンテーション

USBで持参

 

[次週予定]

・グループ毎(2班程度)に各3分間で発表

・グループ内発表のうち代表を全体で発表

 

[授業予定]

12/11 未来の都市作り2  100年後の未来に向けた物語の創造

12/18 未来の都市作り3  100年後の自然災害と都市の復興

1 /22 未来の都市作り4  都市の持続性について

1 /29 未来の都市作り5   

2/ 5未来の都市作り 6  最終プレゼンテーション

1/15はセンター試験準備のため休講

 

 

 

 

[懇 談 会]

今回は開催せず。