蔵王の四季

たましいを育みますと 聳えたつ蔵王のやまの朝雪げむり
斎藤 茂吉「小園」

冬の蔵王は、樹氷だけではありません。
厳しい冬の姿が主ですが、
時折の晴天に、
雪の上の風紋、雪波にも目を向けてください。

陸奥の 蔵王山並にゐる雲の ひねもす動き春たつらしも
斎藤 茂吉

蔵王では春を告げる花として一番最初に咲くのは
ブナの花ですが、
5月中旬から、ザゼンソウ、ミズバショウ、ショウジョウバカマ
そしてワタスゲがみられるようになります。

とどろける火はをさまりてみちのくの蔵王の山はさやに聳ゆる
斎藤 茂吉
 
初夏の蔵王は、ブナ林の新緑が目を引きます。
雪消えし のちに蔵王の太陽が はぐくみたりし 駒草の花
斎藤 茂吉「蔵王の歌」

コマクサは高山植物の女王と言われ、7月月中旬から咲き始め
8月に最盛期をむかえます。
蔵王ではコマクサだけではなく、6月から8月にかけ
白やピンク、紫の様々な高山植物の花が咲きます。
蔵王は高山植物の宝庫です。
その種類は200から300種類に及ぶと言われています。



陸奥を ふたわけさまに 聳えたまふ 蔵王の山の 雲の中に立つ
斎藤 茂吉「白桃」より

この句は、蔵王山頂に歌碑として建てられている歌です。
蔵王では四季を問わず、天候によって
眼下に雲海がみることができます。
やま峡に 日はとっぷりと 暮れゆきて 今は湯の香の 深くただよふ
斎藤 茂吉「赤光」

赤、オレンジ、黄色、そして緑。
蔵王の紅葉は、上の4つの色だけではわけることができません。
同じ木の葉でも、微妙に濃淡がちがったりします。


万国の人 来たり見よ 雲はるる 蔵王の山の そのまつたけきを
斎藤 茂吉「つきかげ」より

秋と冬の狭間です。
恵みの秋が終わり、
長い長い冬の訪れが、足音をたてて
やってくるようです。
斎藤茂吉の文学は 、蔵王を父に、最上川を母に といわれます。
しかし、蔵王のお釜を詠んだ

死にしづむ火山のうへにわが母の乳汁の色のみづ見るかな

という歌もあることから
蔵王を母なる山とする気持ちもあるようでした。


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