【授業概要】
・テーマ
〈日本語リテラシの文化史〉 高度な日本語リテラシの養成は、本学のみならず多くの高等教育機関が掲げる目標である。しかし、それは一体、どのようなもので、何のために用いられるのだろうか。明治期の公選/言文一致運動の例に照らしても、「国語」リテラシが近代的な国民国家の重要な要件とみなされてきたことは確かである。しかし、リテラシの変容は、そうした単純な政治的文脈にとどまらない多様かつ根源的な影響を、社会とそこに生きる個人とに与える。本概論では、前近代、近代の日本、そして近代日本が植民地化した地域における日本語リテラシの動態を、文化史的な広がりの中で講述する。それは、受講生各自が、以降の社会生活のために人文学を学ぶことの意義そのものを問い直す契機となるはずである。
・到達目標
学術的な観点から文化史を検証する方法、及び、文化史的な現象が人間の社会生活に及ぼす影響について考察する能力を、具体的事例に即して身につけ、学期末の筆記試験でそれを確認する。
・キーワード
日本語リテラシ 文化
【科目の位置付け】
学部・学科のカリキュラムポリシーとの関連については、「カリキュラムマップ」を参照し、よく理解した上で受講してください。
【授業計画】
・授業の方法
プリント資料とコンピュータスライドを使用する。リアクションペーパー等を用いて受講者の理解度を確認し、質問を受け付ける(提出したコメントは匿名で引用し講義資料として配布することがある)。また、講義内容に関わる資料を各自探してくるように指示する授業回、学生に指名して発言を求める授業回がある。
・日程
ガイダンス 第1部 近世の書物文化と学びの風景(担当:宮腰) 1. 近世日本の「読書」風景―草双紙と浮世絵から 2. 女子往来物の諸相―お伽草子の継承と新生 3.文字絵と絵文字の世界―文字で遊ぶ、絵で学ぶ 4. 明治期の草双紙の展開と異文化交流 第2部 近代日本の「作文」観(担当:森岡) 1.明治期日本における作文教育観念の確立 2.大正期「赤い鳥」における自由詩と「綴り方」 3.昭和初期の生活記録運動と東北 4.「読書感想文」の文化史的意義 第3部 外地の日本語(担当:許) 1.東アジアの漢詩文共同体から言文一致による「国民国家」へ 2.日本と植民地における「書く/語る」の格差 3.植民地(外地)における「日本人」の錬成 4.外地日本語文学の諸相:台湾、朝鮮、沖縄 第4部 まとめ 1.振り返りと授業内試験 2.試験講評とまとめ
【学習の方法】
・受講のあり方
提示された資料を利用して、自分のノートを作成する。 リアクションペーパーには出来るだけ質問を記入し、積極的に発言する。
・授業時間外学習へのアドバイス
[予習のあり方]テキストの読了、資料の調査など、指示された課題を確実にこなす。 [復習のあり方]ノートを整理し、学期末の試験に備える。
【成績の評価】
・基準
主体的な参加の度合い、知識の修得、理解の度合い、汎用的技能(論理性、表現力)に関して、授業内提出物と授業内試験によって、講義内容を整理・修得できたか評価する。
・方法
授業内提出物30点、授業内試験70点
【テキスト・参考書】
授業内指示
【その他】
・オフィス・アワー
宮腰:火曜日16:30~17:30 その他事前に連絡をもらえれば調整します。 森岡:水曜日12:30〜14:00 その他の時間はメールでアポイントをとってください。 許:授業後または在室中に随時受け付ける。
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