言語学特殊講義(前期)
 Topics in Linguistics
 担当教員:池田 光則(IKEDA Mitsunori)
 担当教員の所属:人文学部人間文化学科
 開講学年:2年,3年,4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業概要】
・テーマ
《言語変化の諸相》
 どの言語も時間の流れとともに変化していくことはまぬがれません。ただ,言語の変化は各言語で「でたらめに」進行してるのではなく,諸言語に共通する変化現象が見られます。たとえば,「類推」という現象は,「ある模範に従って新しい言語形式が作り出される」という変化ですが,日本語の「ら抜きことば」が新しく生まれたのはこの「類推」によると考えられています。そして「類推」による変化現象は日本語だけではなく,他言語にも数多く観察することができます。
 この授業では,英語・ドイツ語を含むゲルマン諸語,フランス語・イタリア語を含むロマンス諸語の言語をはじめ,日本語や他言語の例も考えながら,言語の歴史的変化の様相を概観し,なぜそのような変化が起こるのかについても考察します。
・到達目標
 言語の様々な側面(意味,音声・音韻,形態,統語)における言語変化の諸相を理解することができる。そのような変化が起きる要因を理解することができる。

【科目の位置付け】
 学部・学科のカリキュラム・ポリシーとの関係については,「カリキュラム・マップ」を参照し,よく理解したうえで履修してください。

【授業計画】
・授業の方法
 プリントで諸言語における変化の実例を紹介しながら,講義を進めます。
・日程
 1. 言語変化概説
 2. 語彙と意味の変化
 3. 音韻の変化 I (発音の変化)
 4. 音韻の変化 II (音韻体系の変化)
 5. 形態の変化
 6. 統語法の変化

【学習の方法】
・受講のあり方
 ノートを取りながら講義を聴き,不明な点は遠慮なく質問して下さい。諸言語の変化の実例と講義内容を関連づけて理解して下さい。
・授業時間外学習へのアドバイス
 ノートと配付資料を読み返し,講義内容を確実に理解して下さい。また,オフィスアワーを利用して教員に質問したり,《参考書》を読んで理解を深めたり,発展的事項の学習をするなどの努力を期待します。

【成績の評価】
・基準
 レポートと学期末試験を課し,知識の修得,理解の度合い,汎用的技能,参加の度合いのそれぞれの項目について判定し,その合計点を用いて判定します。「言語変化の諸相を理解し,諸言語の資料を見て,それらがどのような種類の変化であり,どのような要因でその変化が起きたかを的確に説明できること」が合格の基準です。
・方法
 学期末筆記試験(ノート,配付資料,参考書の持ち込み可)80点,レポート20点,合計100点。なお,出席回数が授業回数の3分の2に満たない場合は単位認定の対象としません。

【テキスト・参考書】
《参考書》(購入する必要はありません)
 Millar, R. M. & R. L. Trask (2015) Trask's Historical Linguistics (3rd ed.), Routledge.
 斎藤純男(2010)『言語学入門』三省堂.(Chapter 07 歴史言語学)
 また,言語学の専門用語を調べる辞典として,次の一冊が便利です。
 斎藤純男ほか(2015)『明解言語学辞典』三省堂.

【その他】
・学生へのメッセージ
 「言語学概論」,「英語学概論」,「日本語学概論」のうち,少なくともひとつを履修していること,あるいはこの授業と並行して履修中であること,もしくは言語学の基礎知識を自習等により修得していることが望ましい。授業で取り上げる日本語・英語以外の言語についての予備知識は必要としません(たとえば,ドイツ語やフランス語を学んでいなくても履修にはさしつかえありません)。
・オフィス・アワー
 金曜日 12時から12時30分 および 16時30分から17時30分 池田光則研究室

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