ヨーロッパ史講義(二)
 European History (II)
 担当教員:山崎 彰(YAMAZAKI Akira)
 担当教員の所属:人文学部人間文化学科
 開講学年:2年,3年,4年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業概要】
・テーマ
「ヨーロッパ家族史研究」
 ヨーロッパの近代家族史を取り上げる。西欧には中世以来単純小家族が広く成立し、歴史的家族の一般的発展像である「大家族から小家族へ」という図式は成り立たないこと、また現代家族の標準となった市民的家族が近代初期に形成されたことなどが、20世紀後半の歴史学界で重要なテーマとなった。これらの特徴は確かにヨーロッパの社会や文化のあり方を強く決定づけている。しかしそれらを過度に強調することは、欧米と他の世界を対立的にとらえる悪しき二分法に陥る可能性を持つ。講義では単純小家族や近代市民家族の意義を重視しつつも、ヨーロッパにおいて地域や階層によって家族のあり方が多様であったことをも配慮し、図式的家族史理解にとらわれないようにする。
・到達目標
家族という身近な社会関係とその変化の中に、ヨーロッパ社会の基本的特性の核心が含まれていることを理解する。
・キーワード
ヨーロッパ的家族制度 単純小家族 市民家族 労働者家族

【科目の位置付け】
学部・学科のカリキュラムポリシーとの関係については、「カリキュラム・マップ」を参照し、よく理解した上で履修すること。

【授業計画】
・授業の方法
テーマについての解説が中心となるが、出席カード(質問票)に記載された質問に関する質疑の時間もとる。
・日程
序論
 1.研究史(第1、2回)
 2.概念の整理(第3回)
第1章 ヨーロッパの地域的家族類型
 1.ロシア・バルカンの大家族制度(第4回)
 2.中・西欧の単純小家族制度(第5,6回)
第2章 近代市民家族
 1.近代市民家族の起源:18世紀初頭のロンドンの場合(第7,8回)
 2.ドイツ・フランスの市民家族(第9,10回)
 3.ドイツ貴族の家族(第11回)
第3章 現代労働者家族
 1.産業革命と労働者家族(第12,13回)
 2.20世紀の労働者家族(第14回)
まとめ(第15回)

【学習の方法】
・受講のあり方
オリエンテーションの際、詳しく授業計画全体を説明するので、各回に扱われている部分が全体の中でどのような位置にあるのか、常に確認する。
・授業時間外学習へのアドバイス
・ ヨーロッパ史の概説書や専門書を読む。中間レポートの課題図書は、オリエンテーションの際に配布する。
・ノートや配布物の整理を怠らない。


【成績の評価】
・基準
成績は、知識の修得、理解の度合い、汎用的技能(論理的思考力、文章表現力)、参加の度合いによって評価する。読書感想(参考文献にあげた姫岡とし子著による中間レポート1500字程度)によりヨーロッパ家族史への興味関心・知識の修得・文章力を、学期末試験(論述式)により授業の理解度をみる。
・方法
期末試験(80点)、中間レポート(20点)。ただし単位認定のためには3分の2以上の出席数が必要。

【テキスト・参考書】
姫岡とし子『ヨーロッパの家族史』山川出版社
ミッテラウアー『歴史人類学の家族史研究』(新曜社)
その他の参考書一覧は最初の授業の際に表にして配布します。

【その他】
・オフィス・アワー
火曜日 10時30分~12時10分 山崎研究室

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