日本古典文学講義
 Japanese Literature-Classical
 担当教員:宮腰 直人(MIYAKOSHI Naoto)
 担当教員の所属:人文学部人間文化学科
 開講学年:2年,3年,4年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業概要】
・テーマ
中世文学の代表作『今昔物語集』や『宇治拾遺物語』をはじめとする説話群を読み解き、古典文学に親しむことを目標とする。説話は、人びとの営みにとって必要な常識や故事、文化習慣をはじめ、信仰や宗教、諸職の営みなど様々な話題を、文字テキスト、絵画メディア、芸能などと関わりながら展開する。説話の分析を通して、日本文学の多様性を具体的に考えてみたい。
・到達目標
日本の古典文学のなかでも、複合的な要素をもつ説話の考察を通して、歴史学や美術史、民俗学といった諸学問領域との接点をもつ多角的な古典文学の見方を身に付けることを目標とする。各自の関心から説話についてのレポートを執筆できるようになる。
・キーワード
古典文学 日本文化

【科目の位置付け】
学部・学科のカリキュラム・ポリシーとの関係については、「カリキュラム・マップ」を参照し、よく理解したうえで履修してください。

【授業計画】
・授業の方法
プリント資料による解説とパワーポイントによる画像提示で講義を進める。毎回の授業内提出コメントの執筆によって、講義内容の理解を確認する。なお、日程と内容は授業の進度によって変更の可能性がある。
・日程
1 ガイダンス 説話の愛好者たち
2 説話の誕生(1)―〈語り〉の諸相
3 説話の誕生(2)―武勇譚の形成
4 説話と文化環境(1)―人物伝の諸相
5 説話と文化環境(2)―歌人説話の展開
6 説話と諸職の言説
7 説話と信仰(1)―殺生と救済をめぐって
8 説話と信仰(2)―悪僧と聖・法師の文芸史
9 説話と異文化交流(1)説話の世界観をめぐって
10 説話と異文化交流(2)アジア編
11 説話と異文化交流(3)キリシタン編
12 説話の享受と再生(1)『信貴山縁起』
13 説話の享受と再生(2)『道成寺縁起』
14 説話の享受と再生(3) 縁起絵の世界
15 まとめと補足

【学習の方法】
・受講のあり方
毎回、講義で取り上げた説話の内容や表現に関して、コメント提出を求めるので、そのつもりで積極的に授業に参加する。
期末レポート執筆のための問題設定や題材探し、情報収集は早めにおこなう。
・授業時間外学習へのアドバイス
1)授業で配布されたプリントを復習し、授業で紹介した参考文献を読む。
2)図書館、博物館、美術館、資料館、寺社等に足を運んで、様々な古典籍や美術作品を実見する。
3)出身地や現在暮らしている地域の伝説や説話、昔話に関心をもつ。

【成績の評価】
・基準
各回で取り上げる説話の内容や表現を積極的に修得し、十分に理解しているか(授業内提出コメントの執筆)。
講義によって得た基礎知識を適切に応用し、各自の関心に基づいた論述が論理的にできるか(期末レポートの執筆)。以上、授業への参加の度合いと知識の修得及び理解、論理的思考とその表現という4点で評価する。
・方法
毎回の授業内提出コメント(30%)と期末レポート(70%)で総合的に評価する。

【テキスト・参考書】
【テキスト】資料プリントを配布する。【参考書】小峯和明『説話の森』(岩波現代文庫)、説話文学会編『説話から世界をどう解き明かすのか』(笠間書院)

【その他】
・学生へのメッセージ
説話や説話集には、ありがたい話、恐ろしい話、笑い話等、多彩な話がおさめられ、短編形式で歌人や詩歌、貴族の様々な儀礼・習慣、僧や聖、仏典・経文の諸相、神仏や鬼との交流等が語られます。説話の読解から人文学研究の可能性をともに探れたらと思います。
・オフィス・アワー
火曜日16:30~17:30 その他事前に連絡をもらえれば調整します。研究室在室時もどうぞ。

10832036-2016-01-13136