現代中国論
 Modern China
 担当教員:許 時嘉(HSU Shih-chia)
 担当教員の所属:人文学部人間文化学科
 開講学年:2年,3年,4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業概要】
・テーマ
題目:「中国人」意識の変容――台湾・香港・東南アジアの華僑社会を中心に
戦後、中国語圏世界では「両岸三地」(中国大陸、台湾、香港・マカオ)という政治的現実を迎え、各地で独自文化の推進と社会発展を遂げてきた。「中国人」というナショナル・アイデンティティーに満ちた概念はどのようにそれぞれの社会と地域に根差しながら変容していったのか。本授業は、戦後の台湾、香港、東南アジアの華僑社会を対象として、現代中国語圏の社会意識と文化変容について講義する。大衆文化、文学作品、歴史事件を取り上げながら、現代の中国語圏社会の歴史と社会意識の変遷について体系的な知識を獲得することを目指す。
・到達目標
現代中国語圏全般の文化と社会に関する新たな見方を獲得し、戦後の中国語圏世界の歴史的発展を学問的に評価することができる能力を身につける。
・キーワード
台湾、香港、遺民、移民、華僑社会

【科目の位置付け】
学部・学科のカリキュラム・ポリシーとの関係については、「カリキュラム・マップ」を参照し、よく理解したうえで履修すること。

【授業計画】
・授業の方法
戦後の中国語圏社会の様々な社会現象を、文学作品、大衆文化、歴史事件に即して講義し、理解を深めていく。台湾・香港・東南アジアの地域について、それぞれの文化表象とその裏に潜む社会意識の変容に関するテーマを決めて、映像と音声資料、文字資料を提示しながら講義する。
・日程
1. ガイダンス:遺民・移民・ディアスポラ
2~3. 台湾編①~②
4. ドキュメンタリー映画『祖母のかんざし』(2000年、蕭菊貞監督、90分)
5~6. 香港編①~②
7. 香港映画『浮城』(2014年、厳浩監督、104分)
8~9. マレイシアの華僑社会
10~11. インドネイシアの華僑社会
12~13. シンガポールの華人社会
14. 総合質疑
15. 取りまとめ

【学習の方法】
・受講のあり方
対象とするテキスト(訳文つき)をプリント資料として提供するので、講義の内容を適宜メモすること。受講生は下記のことが義務付けられている。
(1)毎回授業後のリフレクション・ペーパーへの記入(疑問点や意見、感想)が、平常点として積極的に求められる。場合により、担当教員は次回の授業の冒頭に、記載された質問について補足と講評を行う。
(2)期末試験(台湾・香港・東南アジアの華僑社会の戦後文化史に関する記述式問題)。
(3)各地域に関する講義が一段落を終えてから、関連映画(下記の日程を参照)を一本ずつ上映させる。映画の長さに応じて、講義時間を繰り上げて開始する場合がある。
・授業時間外学習へのアドバイス
指定の参考書と参考文献を事前に熟読すること。

【成績の評価】
・基準
中国語圏社会の文化意識の生成について新たな視点から考えられるようになったかどうかを、合格の基準とする。期末の筆記試験のほか、数回のリフレクション・ペーパーを課し、知識の修得、理解の度合い、汎用的技能(論理的思考力、文章表現力)、主体的な参加の度合いのそれぞれの項目について判定し、その合計点を用いて判定する。基準は1)現代中国語圏社会の重要な歴史の出来事と文化的事象を自分の言葉で解説できる、2)現代中国語圏社会の歴史と文化発展の問題点を明確に認識できる、3)授業に積極的に参加し、リフレクション・ペーパーで自主的な思考や感想を論述できる。
・方法
平常点(リフレクション・ペーパー):30点、期末試験:70点

【テキスト・参考書】
参考書:
若林正丈等編『原典中国現代史 第七巻 台湾・香港・華僑華人』(岩波、1995)
伊藤潔『台湾―400年の歴史と展望』(中公新書、1993)
若林正丈『台湾―変容し躊躇するアイデンティティ』(ちくま新書、2001)
浜下武志『香港-アジアのネットワーク都市』(ちくま新書、1996)
岩崎育夫『物語 シンガポールの歴史』(中古新書、2013)

【その他】
・学生へのメッセージ
中国語圏社会におけるアイデンティティ認識の多様性を一緒に勉強しましょう。
・オフィス・アワー
許:火曜12時~13時。ほか、在室時は随時。

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