フランス文化論
 French Culture, Culture francaise
 担当教員:柿並 良佑(KAKINAMI Ryosuke)
 担当教員の所属:人文学部人間文化学科
 開講学年:2年, 3年, 4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業概要】
・テーマ
テーマは19世紀パリと密通。
19世紀パリはめまぐるしく政体が変化するとともに今日の「市民社会」を形成してきた時代と場所。そうした我々の直近の「起源」に遡行することによって、我々の来歴と現状を批判的に分析する視点を獲得することを本講義の目的とする。
第二テーマは密通。近代的システムとしての(核)家族が形成されてくるなかにあって「異物」として排除されていくものは枚挙に暇がないが、その中で正規の恋愛に収まらないが時に野次馬根性から耳目を集めずにはおかない密通・不倫・姦通をテーマとする。「異常」とされたものから「正常」とされる我々のあり方を逆照射するという手法を獲得すること目指す。
・到達目標
1. 19世紀を中心に近代フランス文化史の基礎知識を修得する
2. 歴史を通じて現代社会に対する批判的視座を獲得する
・キーワード
近代社会、文化、文学、道徳、風俗、ジェンダー、都市、表象

【科目の位置付け】
学部・学科のカリキュラム・ポリシーとの関係については、「カリキュラム・マップ」を参照し、よく理解した上で履修してください。

【授業計画】
・授業の方法
資料・文献を豊富に紹介しつつ進める。イメージを見たり、抜粋テクストを読んだりすることで、対象の総合的な理解に努めます。また受講生からの質問・意見票に対する応答の時間を作る。
・日程
初回の導入以降、授業の前半と後半をそれぞれのテーマに充てる。
下位テーマとして以下のような題材を予定している。

1. イントロダクション
2. 徘徊こそモダン 遊歩者のパリ
3. 都市と神話的空間
4. アートは不謹慎? ボードレールからフロベールへ
5. 「不倫は文化」に決まっている 姦通と文学
6. 紳士のたしなみとしてのNTR
7. まとめ

※ 理解度、受講者の関心に応じて一部内容・順序を変更することがある。

【学習の方法】
・受講のあり方
配付された資料を参考にしつつ、重要事項をノートしてください。授業時間前後やオフィスアワーでの質問も歓迎します。フランス語の知識はとくに必要としませんが、フランスの事象を扱うためフランス語を履修していれば理解が深まることは言うまでもありません。
・授業時間外学習へのアドバイス
授業やWebClassで紹介した文献を積極的に多読、乱読、熟読してください。また分からないことがあれば授業中・前後・コメントシートなどで質問してください。黙っていると、こちらからは「理解している」と見えます。

【成績の評価】
・基準
コメントシート(理解度)と、学期末のレポートの出来(考察力と説得性、独自性)を重視します。レポートは複数のテーマの中から一つを選び作成します。
・方法
授業時の意見・感想と学期末提出のレポートに基づいて総合的に評価します。

【テキスト・参考書】
・ヴァルター・ベンヤミン『パサージュ論』岩波現代文庫
・トニー・タナー『姦通の文学―契約と違犯』朝日出版社
授業時に適宜指示し、プリントも配布します。

【その他】
・学生へのメッセージ
テーマは密通だがそれを無批判に非難するものでも、逆に推奨するものでもない。ただ、現代社会に何かしら疑問を抱いている人には、考えるヒントを提供できる授業になるようにします。
・オフィス・アワー
在室時随時。開講時に指示する。

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