日本文化演習
 Seminar in Japanese Culture
 担当教員:宮腰 直人(MIYAKOSHI Naoto)
 担当教員の所属:人文学部人間文化学科
 開講学年:2年,3年,4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:演習
 開講対象:  科目区分: 
【授業概要】
・テーマ
中近世文学の代表作である渋川版御伽草子の解読を通して、日本の古典文学や古典文化を解釈・研究するための基本的な方法を修得する。
・到達目標
日本古典文学に親しみ、平仮名を中心にくずし字を解読できるようになる。古文と現代語の比較検討を通して、辞書・辞典の活用法を学び、言語を中心とした日本文化の基礎調査ができるようになる。日本の書物文化の基礎知識を習得し、日本文学の歴史のなかに位置づけることができる。
・キーワード
古典文学 日本文化 口承文芸

【科目の位置付け】
学部・学科のカリキュラム・ポリシーとの関係については、「カリキュラム・マップ」を参照し、よく理解したうえで履修してください。

【授業計画】
・授業の方法
序盤は平仮名を中心にしたくずし字を中心にした解読を、中盤は古文と現代語の比較を、それぞれ担当者を決めて発表をする。終盤は具体的な事例に基づき、先行研究の把握や諸本の比較検討という基礎研究を行い、資料を作成し、発表する。対象とする作品や授業の進度については受講者と相談をして決定する。
・日程
第1回:ガイダンス 日本の書物文化への招待
第2回: お伽草子の概説 
第3回: くずし字から学ぶ(1)『猿源氏草紙』を中心に
第4回: くずし字から学ぶ(2)『小町草紙』を中心に
第5回: くずし字から学ぶ(3)『和泉式部』を中心に
第6回: くずし字から学ぶ(4)『二十四孝』を中心に
第7回: 渋川版と現代語の比較(1)『文正草紙』
第8回: 渋川版と現代語の比較(2)『鉢かづき』
第9回: 渋川版と現代語の比較(3)『ものくさ太郎』
第10回:渋川版と現代語の比較(4)『酒呑童子』
第11回: 『浦島太郎』の解読と考察(1)先行研究の把握
第12回: 『浦島太郎』の解読と考察(2)諸本の検討
第13回: 『浦島太郎』の解読と考察(3)関連説話の分析
第14回: 『浦島太郎』の解読と考察(4)自由考察
第15回: くずし字の解読の試験と演習のまとめ

【学習の方法】
・受講のあり方
発表者は、各時間に責任をもって資料を用意する。発表者以外の受講者は、資料や発表内容に対して積極的にコメントをする。最終回に、くずし字のテストをおこなうので、授業内で扱った資料の復習をする。
・授業時間外学習へのアドバイス
1)担当箇所が決まったら早めに発表のための資料作りに着手すること。発表のための調査でわからないことがあれば、教員に質問する。
2)発表者以外の受講者は、事前に当該話を読み、問題点を明確にしておく。また、くずし字に関しては予習と復習をおこなうこと。

【成績の評価】
・基準
・くずし字の解読と辞書・辞典、各種索引を活用した調査を行い、発表資料を作成できるか(授業内発表)。
・演習によって得た知識を適切に応用し、各自の関心に基づいた論理的な叙述ができるか(レポートの執筆)。以上、授業への参加の度合いと知識の修得及び理解、論理的思考とその表現という4点で評価する。
・方法
発表(40%)試験(30%)レポート(30%)

【テキスト・参考書】
【テキスト】市古貞次編『御伽草子』上下(岩波文庫)、笠間影印叢書刊行会『字典 かな』(笠間書院)【参考書】徳田和夫編『お伽草子事典』(東京堂出版)

【その他】
・学生へのメッセージ
くずし字の解読は目的ではなく、手段です。現代語訳も同様です。解読と現代語訳の先には、もしかすると室町時代や江戸時代の読者とつながる世界が見えてくるかもしれません。解読の面白さと難しさをじっくりと味わいつつ、古典文学を研究するための基礎的な方法を学びましょう。
・オフィス・アワー
火曜日16:30~17:30 その他事前に連絡をもらえれば調整します。研究室在室時もどうぞ。

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