国際文化学演習(後期)
 Seminar in International Culture
 担当教員:伊藤 豊(ITO Yutaka)
 担当教員の所属:人文学部人間文化学科
 開講学年:2年,3年,4年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:演習
 開講対象:  科目区分: 
【授業概要】
・テーマ
「ヴェール問題」に解決策はあるか:
 「ヴェール問題」とは、イスラムのヘッドスカーフをめぐって1980年代末から様々に展開してきた論争の総称である。この問題の端緒はフランスにあるが、いまや論争はヨーロッパ各国に拡がり、各国ごとに異なる形で現在進行形の様相を呈している。
 本授業では、西欧社会におけるヴェール問題の諸相を、仏独英の三カ国を代表例として検討しつつ、なぜそれが西欧社会において争点となっているかを考える。本授業はPBL(Problem/Project-Based Learning)演習であり、参加学生は上記の問題に関して、(可能な限り具体的な)解決策の提示を目指すことになる。
・到達目標
 (1)イスラムのヴェールが西欧社会において論争の種となっている原因と、当該問題の基本的な構造が理解できるようになる。
 (2)上記のような理解に基づき、ヴェール問題の解決のための具体的な提言を含んだレポートを作成できるようになる。

【科目の位置付け】
 学部・学科のカリキュラム・ポリシーとの関係については、「カリキュラム・マップ」を参照し、よく理解したうえで履修してください。

【授業計画】
・授業の方法
 文献の輪読、個人発表、クラス討論を中心とした演習形式で授業を進める。
・日程
01イントロダクション(授業の概要説明、発表担当割り振り、等々)/02ヴェール問題の基本(映像資料の視聴と討論)/03フランスのヴェール問題(文献輪読、質疑応答)/04ドイツのヴェール問題(文献輪読、質疑応答)/05イギリスのヴェール問題(文献輪読、質疑応答)/06 各人のレポート(仮)主題の設定(簡単な個人発表)/07ヴェールを着用する当事者の主張、その1(東南アジアからの留学生へのインタヴュー)/08ヴェールを着用する当事者の主張、その2(映像資料の視聴、討論)/09レポートの個人発表、その1 (7人程度)→レポート草稿提出/10レポートの個人発表、その2(7人程度)→レポート草稿提出/11レポートの個人発表、その3 (7人程度)→レポート草稿提出/12レポート草稿の輪読と検討、その1 /13レポート草稿の輪読と検討、その2 /14 レポート草稿の輪読と検討、その3 /15 ヴェール問題に解決策はあるか(クラス討論)、レポート提出

【学習の方法】
・受講のあり方
 質疑応答や討論の際に、無言あるいは寡黙を保つことは厳禁である。受講者はみずから進んで発言することによって、授業に(目に見える形で)参加・貢献しなければならない。
・授業時間外学習へのアドバイス
・予習のあり方
 事前に定められた課題をきちんと済ませたうえで、授業に参加すること。
・復習のあり方
 最終的にレポートによる評価が成績決定の大きな要因となる。したがって受講者は、授業で論じられる問題のうち、自分のレポ ートの材料として適当なものの発見に努め、また授業後はそれに関する調査を自分で進めておくこと。

【成績の評価】
・基準
 評価にあたっては、まず以下の2点を重視する:
 (1)イスラムのヴェールが西欧社会において論争の種となっている原因と、当該問題の基本的な構造が理解できているか。
 (2)上記のような理解に基づき、ヴェール問題の解決のための具体的な提言を含んだレポートを作成できるいるか。
 上記の2点について、人文学部のガイドラインである、「主体的な参加の度合い」、「知識の修得の度合い」、「理解の度合い」、「汎用的技能の修得の度合い(論理的思考力、文法表現力)」の4つの基準で成績評価をおこなう。
 具体的には、個人発表、質疑応答などの授業参加状況、そして学期末レポートを総合的に見て、合計で最低6割の得点率をもって合格と判断する。 
・方法
 授業参加:20点、個人発表:30点、学期末レポート:50点。

【テキスト・参考書】
 適宜プリント、資料等を配付する。参考書は以下の通り:
 クリスチャン・ヨプケ『ヴェール論争―リベラリズムの試練』(法政大学出版局、2015年)
 ジョーン・W・スコット『ヴェールの政治学』(みすず書房、 2012年)

【その他】
・学生へのメッセージ
 グローバル文化学コースの学生に限らず、現代世界の文化問題に広い興味を持つ学生を歓迎します。
・オフィス・アワー
 最初の授業で伝える。

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