文化交流史演習
 Seminar in World Cultural History
 担当教員:渡辺将尚(WATANABE Masanao)
 担当教員の所属:人文学部人間文化学科
 開講学年:2年,3年,4年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:演習
 開講対象:  科目区分: 
【授業概要】
・テーマ
日独文化交流を考える――「お雇い外国人」ルートヴィヒ・リースを参考に
・到達目標
(1)日独両国が密接な関係を維持してきたことを理解する
(2)両国交流の意義、問題点、あるいは今後の発展の可能性等について、自分自身の考えを持つことができる
(3)学んだこと、および自らの考えたことを、適切に発表し、文章化することができる
・キーワード
日独交流、明治日本の近代化、「お雇い外国人」、日独比較文化、異文化受容

【科目の位置付け】
学部・学科のカリキュラム・ポリシーとの関係については、「カリキュラム・マップ」を参照し、よく理解したうえで履修すること。

【授業計画】
・授業の方法
第3回目までは講義、その後は学生主体の演習となる
・日程
第1部(講義):日本の近代化におけるドイツの役割
明治期において、ドイツに赴いた日本人および来日したドイツ人の跡を追いながら、日本の近代化においてドイツが果たした役割について考える。
第2部(テキストを用いた演習、第9回くらいまで):ルートヴィヒ・リース『ドイツ歴史学者の天皇国家観』を読む
リースは、歴史学者であり、1887年から1902年まで「東京帝国大学」国史科の講師を務めた。上記書籍は、日本滞在中および帰国後にドイツの新聞等に寄稿した論文を集めて出版したものである。第2部では、この書籍を読みながら、引き続き日本の近代化においてドイツ人が果たした役割を考えるとともに、外部の目から当時の日本がどう見られていたのか、またそこに問題点はないかについても、同時に考察していく。著者は、ときに比較文化論的な手法を用いて日本の事象を分析しているので、日独比較文化論へ考察の幅を広げてみるのも興味深い。
以下、第2部で扱うトピックの例。
サムライの地位 / ヨーロッパの騎士との違い / サムライから士族へ――日本の成功の理由 / 大和魂あるいは勇猛果敢さ / 民族精神とハラキリの儀式 / 個性を主張しない日本人 / 個性抑圧の経済的影響 / 捏造記事を平気で / 「ジュージュツ」の基本 / 仏教の受容と伝播 / 神秘的宗教心と天皇への儀礼 / ある日本家庭での一日 / 掃除、子守り、買い物、新聞 / 井戸端のおしゃべり、夕食、入浴 / 工芸品の「日本的珍妙さ」 / 東京の大火、助けあう人々 / 正月点景 / 祖先の霊を迎える日 / 端午の節句
第3部(自由発表、第10回以降)
日独文化交流、比較文化、異文化受容等の中から自由にテーマを選んで発表する。

【学習の方法】
・受講のあり方
第2部以降は、発表とクラス討議が中心となるので、積極的な参加が望まれる。
・授業時間外学習へのアドバイス
第2部では、事前に定められた部分をきちんと読んだ上で、授業に参加すること。

【成績の評価】
・基準
個人発表の他に、期末レポートを課し、知識の修得の度合い・理解の度合い・汎用的技能(論理的思考力、文章表現力)修得の度合い・参加の度合いのそれぞれの項目について判定し、その合計点を用いて評価する。
具体的には、1)日独文化交流史ないしは日独比較文化論に関心を持ち、さまざまな事例について説明できる。2)学んだ事例をふまえて自らテーマを探し出し、問題点を的確に指摘することができる。3)授業に積極的に参加し、その自分自身の姿勢を正当に自己評価できることが基準となる。
・方法
授業参加:30点、個人発表:30点、学期末レポート:40点

【テキスト・参考書】
ルートヴィヒ・リース(原潔・永岡敦訳):『ドイツ歴史学者の天皇国家観』(講談社学術文庫)

【その他】
・オフィス・アワー
木曜12時~13時。人文学部2号館3階渡辺将尚研究室

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