日本経済史
 Japanese Economic History
 担当教員:岩田 浩太郎(IWATA Koutarou)
 担当教員の所属:人文学部法経政策学科
 開講学年:2年,3年,4年  開講学期:後期  単位数:4単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業概要】
・テーマ
<資本主義化の日本的特徴-歴史的考察->をテーマに講述する。
日本社会の特徴についてその社会経済発展の過程及び条件に着目しながら長期的な視点により考察する。
明治維新以降の日本資本主義の発展は、前近代の長い歴史で培われた日本社会の特徴を条件としておこなわれたことを、他国との比較にもとづき講述する。そして、歴史的な考察から、現代日本の特徴や問題点を洞察する。総じて、「日本的特徴」なるものの歴史的な重さとその功罪について考える。
・到達目標
日本の社会・経済が持つ様々な特徴がいかに歴史的に形成されてきたのかを考える思考法を身につける。日本通史を視野に入れ、世界史的にも特徴的な日本の封建制=幕藩制社会がいかに形成されたのか、明治維新後、20世紀はじめに産業革命を達成する日本資本主義の成長はいかなる日本社会の特質や世界史的環境と結びついたものであったのか、について理解し説明できる。経済の問題が政治や文化の問題と深く結びつき体系性をもつことで、日本社会が特徴ある発展をし、同時に様々な問題を抱えてきたことを把握できるようになる。社会経済構造の動態的な認識法を身につける。
・キーワード
日本資本主義、国家的集中性、集団主義、労働観、政策、伝統文化、民族、差別、格差、日本論、国民国家、批判的思考

【科目の位置付け】
日本の基礎知識に関する講義であるため、多くのコース・専修に関わりがある。学部・学科のカリキュラム・ポリシーとの関係については、「カリキュラム・マップ」を参照し、よく理解したうえで履修してください。

【授業計画】
・授業の方法
経済史の理論と歴史史料を用いて、日本経済発展の特徴を分析し論証する方法をとる。講義の基本的概念や知識につき、理解できたかどうかをみる確認テストを適宜おこなう。
・日程
現代的な関心と課題にもとづき経済史を検討する観点にたち、講義は現代から過去へ時代を遡る構成をとる。
「Ⅰ 日本社会の特徴」
まず、受講生が自ら身につけている「日本的な体質」について考えてみる。日本社会の特徴と問題点について概観する。
「Ⅱ 資本主義化の日本的特質」
歴史史料の分析と比較史の観点にもとづき、明治維新から産業革命に至る日本の資本主義形成・発展の過程とその構造的な特徴について分析する。日本資本主義発達史論争をはじめ学界における諸学説(国内経済発展説・国際的条件説・国家的集中=対応説・商人的対応説など)を紹介しながら、資本主義化の日本的特質と条件を考察する様々な視点=方法について講述する。
「Ⅲ 日本社会の特徴の歴史的形成」
日本の資本主義化の構造的な特徴と諸条件をふまえながら、それらを準備した前近代日本の経済史について講述する。鎌倉時代から江戸時代に至る日本の生産力発展の特徴と社会構成体の移行、世界史でも稀な国家的集中性を帯びた日本農奴制=幕藩体制の形成とその構造、人々の生活とそこにおける政治意識や労働意識の特徴などについて論じ、明治以降の特徴的な日本資本主義発展の歴史的前提・諸条件について考察する。

【学習の方法】
・受講のあり方
毎回受講する。講義で配布されたプリントをよく読み、講義に集中する。確認テストにより理解を確認する。
・授業時間外学習へのアドバイス
講義で示された参考文献を読む。講義の大きな流れについてプリントやノートを復習してくる。
確認テストできなかった点があれば、授業の後に教員に質問をしたり講義ノートなどで復習する。

【成績の評価】
・基準
講義の全体的な理解をもとに、授業概要(到達目標)に記した事柄につき、基本的な説明ができることを合格基準とする。
・方法
期末試験のほか、講義後に適宜おこなう確認テストを課し、「主体的な参加の度合い」「知識の修得の度合い」「理解の度合い」「汎用的技能の修得の度合い(論理的思考力、文章表現力など)」のそれぞれの項目について判定し、その合計点を用いて評価します。

【テキスト・参考書】
「テキスト」用いない。担当教員が作成したプリントを随時配布する。
「参考文献」石井寛治『日本経済史 第2版』(東京大学出版会、1991年)。その他、講義で適宜示す。

【その他】
・学生へのメッセージ
長期的な視野で思考する方法を身につけて欲しい。
積み重ね型の講義なので、ほぼ毎回出席することが大事である。
・オフィス・アワー
(前期)月曜 正午~午後2時 岩田研究室
(後期)月曜 午前11時~午後1時 〃

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