〈テーマ〉政府や地方自治体などの公共部門が経済社会に対して果たすべき役割についてミクロ経済学の考え方を用いて考えていく。
〈概要〉民間部門の経済行動は市場メカニズムを通じて望ましい資源配分を実現する，という考え方がミクロ経済学の基本である。しかし，現実には市場メカニズムが望ましい資源配分を実現できない場合，すなわち，市場の失敗が存在する。このような場合には公共部門が政策的な介入をすることが要請される。この講義では，どのような場合に公共部門が政策的に介入したらよいか，どのような政策を選択したらよいのか、そして、政策上の問題点として何が考えられるのか，についてミクロ経済学の考え方を応用して解説する。

（１）公共経済学の基本的な事項や概念を理解できるようになる。さらに，経済学的に考える力や，自分でより上級の文献を購読していく力を身につけることができる。
（２）現実の社会問題や政策上の問題について経済理論に基づきながら考察・分析できる力を身につけることができる。

学部・学科のカリキュラム・ポリシーとの関係については，「カリキュラムマップ」を参照し，よく理解したうえで履修してください。

配布プリントを中心に板書をしながら講義を行う。講義では，公共経済学における理論や考え方を説明するほか，現実の経済社会が抱える諸問題の発生要因や解決方法について公共経済学の視点から解説する。

（1）公共経済学とは何か
（2）市場メカニズムと効率的な資源配分（余剰分析）
（3）公共財の理論
（4）外部性の理論
（5）費用逓減産業と規制
（6）公共料金の考え方
（7）費用便益分析
（8）まとめと期末試験

科目の性質上，図やグラフを板書して説明することが多くなるが，説明に必要な図やグラフは配布プリントにも描かれている。配布プリントに必要な事項を追加記入するなどして，講述内容を集中して聞いてほしい。板書事項を書き写すことに夢中になって説明を聞きもらしてしまったということがないように。

〈予習のあり方・事前の準備〉 配布プリントを事前に読んでおくこと。また，ミクロ経済学の内容のうち，市場メカニズム，需要曲線の導出，供給曲線の導出について復習しておくことが望ましい（「ミクロ経済学」未履修者にはプリントを配布する）。
〈復習のあり方〉公共経済学は基本的な概念や考え方を積み重ねて学ぶ学問なので，わからないところをそのままにしておくと，それ以降の内容が全く理解できなくなってしまう可能性が高い。時間に余裕があるときに，ノート・配布プリント・参考文献によって，内容を整理し，理解することが重要である。わからない点は，遠慮なく質問すること。また、日頃から現実の社会問題や政策上の問題について関心をもつようにしてほしい。

「主体的な参加の度合い」，「知識の習得の度合い」，「理解の度合い」，「汎用的技能修得の度合い（論理的思考力，文章表現力）」の４つの基準で成績評価を行う。特に，基本的な概念や理論について理解しているか，それらを用いて現実の経済現象を説明できるかを評価の際に重視する。

筆記試験，小レポート，小テストの成績によって評価を行う。

講義時にプリントを配布する。
〈参考書〉必要に応じて講義時に紹介するが，公共経済学の解説書として，
・奥野信宏著『公共経済学（第３版）』（岩波書店）
・土居丈朗著『公共経済学』（日本評論社）
・スティグリッツ著『スティグリッツ公共経済学 第２版』（上・下）（東洋経済新報社）
を挙げておく。また，奥野正寛著『ミクロ経済学入門』（日経文庫）の第５章と第６章も参考文献として有益である。

ミクロ経済学の基本的な知識があることが望ましい。

前期・木曜日 後期・火曜日 １６時３０分から１８時まで 是川研究室
上記以外の時間でも質問などを受け付けますので，学生便覧に記載の是川のメールアドレスに連絡してください。