社会や組織が進むべき方向を一つに定める公共政策の決定過程について理解を深め，民主的意思決定の困難性を認識しながら，なおメンバー間の融和も図る方策について，多角的にアプローチしていきます。
　民主的意思決定は規模が大きくなるほど困難となり，これは世界共通の問題です。指導的立場に就く者には，相応の教養と覚悟が要求されます。この問題に対して公共政策学はどのような解答を提示できるのかを考え，様々な時事問題を冷静・公平に捉える視点の獲得を目指します。

この演習の到達目標は，ゼミ生が以下の4点の能力・姿勢を身に付けることです。
(a)人間社会のあらゆる事象・論争を冷静な視点で捉える能力
(b)情緒・感情ではなく，確かな根拠に基づく理性的な主張を展開する能力
(c)限られた時間で確実に結果を出す計画性
(d)深刻な事態に直面しても動じない姿勢

対話能力／政策立案能力／事務処理能力

学部・学科のカリキュラム・ポリシーとの関係については，「カリキュラムマップ」を参照し，よく理解したうえで履修してください。

　前期は，有益な文献の講読に当て，政策立案に携わる者の基礎知識と心構えについて学びます。ゼミ生ごとに担当する文献と箇所を決め，担当者は担当回までに要約と論点を準備します。提示された論点について，他のゼミ生がコメントし，討論に入ります。
　4年次のゼミ生には，報告義務を免除する代わりに，後輩への指導を要請します。
　後期は，ゼミ生各自が自由に取り上げる政策課題に置き換え，それらの政策課題について担当者が独自の提言・報告をまとめる実習型とします。
　ゼミ生の要望があり，時間的余裕もあれば，課外研修を行うことも検討します。
　なお，卒業論文の執筆は任意ですが，もちろん選択してもらえば指導します。論文にはレポート等と異なる「作法」がありますので，意欲がある場合は早い段階で申告して下さい。骨が折れる分，確実に有益な資質が身に付くことは保証します。

　文献講読は，遅くとも3週間で1冊の文献というペースを計画していますが，文献の難易度によって調整します。
　実習型は各回に3～4人の担当者というペースを計画していますが，こちらも調整します。取り上げる政策課題は夏季休業中に決めてもらいます。

　割り当てられた責務を果たし，積極的に対話に参加する姿勢はもちろんのこと，不明な点は教員や先輩へ素直に尋ね，資料収集も積極的に行うなど，確実な知識・技術を身に付けようとする真摯さが求められます。

　前期においては，各回の議論を振り返り，自分の考えをまとめ直して下さい。後期においては，時事問題には常に関心を払い，様々な情報源に親しんで下さい。

　前期は，知識の修得および理解の度合いを講読文献報告レジュメの完成度（60点満点）で，主体的な参加および汎用的技能の修得の度合いを質疑応答（40点満点）で評価します。
　後期は，知識の修得および理解の度合いを複数回の中間報告（20点満点）で，主体的な参加の度合いを質疑応答（20点満点）で，汎用的技能の修得の度合いを最終報告書（60点満点）で評価します。
　詳細な基準については，下記「方法」を参照して下さい。

　前期は，講読文献の内容の正確な理解に加え，不明な点を恥じらうことなく尋ねたり，そうした質問へ真摯に答えたりする姿勢の有無を注視します。
　後期は，それらに加え，自身が設定した政策調査課題のため，積極的に資料収集を行っているか，他のメンバーへ建設的な助言を与えるなど，協調的であるか，そして最終報告書において，それらの成果を論理的に文章化できているかを注視します。

　第1冊については，3月中旬までに，掲示・メール等で周知します。
　また，初回までに，第2冊以降の文献と講読スケジュールを概ね決定します。
　公共部門に限らず，民間部門志望者にとっても有益な文献を選定するよう努めます。

　他のゼミ生の発言に耳を傾け，自分の考えを客観的に見直す姿勢を大切にして下さい。
　また，具体的内容は演習で披露しますが，肯定的意味での要領の良さや，各種マナーも身に付けるよう心掛けて下さい。

　ゼミ生の質問は，いつでも受け付けます。不在時はメールにて。