憲法III
 Constitutional law III
 担当教員:中島 宏(NAKASHIMA Hiroshi)
 担当教員の所属:人文学部法経政策学科
 開講学年:3年,4年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業概要】
・テーマ
本講義においては、受講者との対話を通して、主として憲法上の制度的自由および統治組織に関する代表的な判例の分析を行い、人権論および統治組織論に関する判例法理についての発展的・応用的な理解を目指す。憲法Ⅰ(2年次開講科目)で扱うことのできなかった古典的な判例を検討しつつ、最新の重要判例を読解・分析・解説することにより、人権保障と民主的統治組織に関する現代的課題を受講者と共に考えてみたい。毎回適度な長さの判決文を事前配布し、読解に当たってのヒントや注意点を予告する。授業当日は、判決文を読んできたことを前提に受講者に質問しながら判決文を読み解いていく。
・到達目標
 ①統治組織論に関する学説や判例の発展的な理解を得ることができる。特に判例の分析を通して、人権論および統治組織論の現代的課題と判例の読み方それ自体を習得することができる。
 ②憲法学だけでなく、他の法学分野にも共通する「法的思考」に磨きをかけることができる。
 ③現代日本社会が抱える問題を、人権論および統治組織論の視点から分析・検討する力を養うことができる。
・キーワード
 人権論、統治組織論、判例分析

【科目の位置付け】
 学部・学科のカリキュラム・ポリシーとの関係については、「カリキュラム・マップ」を参照し、よく理解したうえで履修してください。

【授業計画】
・授業の方法
 レジュメを配布する講義ではあるが、対話形式を重視する。
・日程
 以下の日程を考えているが、受講者の様子をみながら、判例の選択や順番を変更することがあり得る。
1.イントロダクション
2.在宅投票制度廃止事件
3.在外邦人選挙権制限違憲判決
4.成年被後見人選挙権制限東京地裁違憲判決
5.受刑者選挙権制限大阪高裁合憲判決
6.定数不均衡問題:昭和51年違憲判決(衆) ~基本的枠組
7.定数不均衡問題:平成8年違憲状態判決(参) ~参議院の特殊性
8.定数不均衡問題:平成23年判決(衆) ~一人別枠方式の違憲性
9.定数不均衡問題:平成24年判決(参) ~都道府県単位の選挙区
10.定数不均衡問題:平成25年判決(衆) ~選挙無効判決の意義
11.苫米地事件 ~衆議院の解散と統治行為論
12.砂川事件 ~日米安全保障条約と統治行為論
13.名古屋高裁自衛隊イラク派遣違憲判決 ~9条と政府解釈
14.郵便法違憲判決
15.まとめ

【学習の方法】
・受講のあり方
 対話形式で講義を進めていくため、受講者には積極的に発言することが求められる。
・授業時間外学習へのアドバイス
 毎回事前に判決文を読み、自分なりの分析をしてくること。判断の決め手となる部分や疑問点などをチェックしてくること。判決文を読まずに出席しても得るものは少ないであろう。授業後は判決文の主要な論点を再度確認し、次の読解のための基礎とすること。

【成績の評価】
・基準
 論述試験(2回)により、知識の習得、理解の度合い、汎用的技能(論理的思考力、文章表現力)、主体的参加の度合いを評価する。1)重要概念の把握、2)主要判例における判断枠組の正確な理解、3)論理的構成力、4)私見の独創性を基準とする。
・方法
 中間試験(50点)・期末試験(50点)

【テキスト・参考書】
 特に指定しない。講義の中で適宜指示する。

【その他】
・学生へのメッセージ
 発言することを恐れないで欲しい。本講義は公務員試験対策にもなるし、法科大学院進学希望者にとっても得るところがあると思われる。
・オフィス・アワー
 木曜 15時~17時

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