法制史(前期)
 Law and History
 担当教員:大内 孝(OUCHI Takashi)
 担当教員の所属:非常勤講師(東北大学法学部教授)
 開講学年:2年,3年,4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:集中講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業概要】
・テーマ
現代法の特殊性を,歴史的観点から相対化して理解する。
 本科目は「法制史」であり,したがって勿論,過去の法的事象を題材にはするが,かび臭い過去の法的遺物を好事家的に詮索することに主眼を置くのでなく,ねらいはむしろ現代法を理解することにある。西洋の古代や中世の法の姿は,なるほど我々が生きる近・現代の法の姿とは大幅に異なり,近・現代を基準にするならば,言わば異様を呈する。ならば,古代・中世の法やそこで生きていた人々は異様・異常であって現代の我々が普遍・正常なのか?仮に,古代・中世の人々が現代の法の姿を見ることができるとすれば,我々の法や我々こそが異様・異常なものとして彼らの眼に映るのではないか。実は,諸君が本学部で学ぶであろう「○○法」の多くもまた,時間的・空間的に極めて限定された局面でしか通用しない,実に特殊なものに過ぎないのではないか。このような相対的な視点を提供することが本講義の最大のねらいである。
・到達目標
西洋法制史に見える歴史の現実をとおして,現代法さらには現代そのものを,相対化して理解する視点を持つことができる。

【科目の位置付け】
学部・学科のカリキュラム・ポリシーとの関係については、「カリキュラム・マップ」を参照し、よく理解したうえで履修してください。

【授業計画】
・授業の方法
事前に配付する資料(下記参照)を各自が読んでいることを前提にして講義を行う。講義の進行に合わせて,主要項目や用語を記したプリントを順次配付する。1回完結の講義でなく,15回全体をとおして大きな一つの「お話」になるように構成する。(以下の回数は一応の目安)
・日程
1.近・現代法の諸特質(理念型的な概観) :3回
2.前近代法のいくつかの姿
  ・「復讐」と法            :3回
  ・西洋中世の「裁判」         :2回
  ・中世封建制社会の法的構造      :2回
  ・中世法の理念と現実         :2回
3.近代・近代法の萌芽          :1回
4.近・現代法の特質(歴史の比較を踏まえて):1回
5.法制史学方法論(法制史学の意味と無意味):1回

【学習の方法】
・受講のあり方
最小限のプリント・板書はこちらから提供しますが,基本的にはあなた自身の頭の回路を使ってきちんと筆記してください。結局,それが,一番いい受講のしかたです。質問は,時間中いつでも歓迎します。
・授業時間外学習へのアドバイス
「予習のあり方」:配付資料を読んでください。おそらく,あまりよくわからない部分が多いでしょう。しかし,これをするとしないとでは受講時の理解度が格段に違います。また,プリントにも,見慣れぬ,一見奇妙な用語や概念があるはずです。それを少しでも調べてみることも立派な予習です。
「復習のあり方」:配付資料を読み直すことは勿論ですが,筆記したノートを見ながらでもいいですから,今日聞いた話がどういう話だったのか,できれば友人に,さもなければ自分自身に,説明してみてください。わかったつもりでも,案外,一言も出て来ないものです。あいまいに相づちを求めるのでなく,自分の言葉で説明する。これが一番いい試験対策にもなるはずです。

【成績の評価】
・基準
 一義的に明確で論理的な文章で論述する:40点。 論述を求められた法の歴史的事象を,正しい用語・概念を用いながら正確に記述する:30点。 歴史的な観点から,前近代法と近・現代法の特殊性を,それぞれ相対化して理解し論述する:30点。
・方法
試験で判定します(100%)。

【テキスト・参考書】
 特定のテキストはない。講義開始前に資料を窓口で配付するので,履修希望者は掲示等に注意すること。
なお,六法は随時使用するので,毎時間手元に用意しておくこと(信山社刊『法学六法』などのような一番小さなものでよい)。

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