数学III
 Mathematics III
 担当教員:大久保 重範(OKUBO Shigenori)
 担当教員の所属:工学部非常勤講師
 開講学年:2年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:電気電子工学科  科目区分:専門基礎科目・選択必修 
【授業概要】
・テーマ
1年次に学習した実数を変数とする実数値関数の微積分に対して,複素数を変数とする複素関数
値関数の微分積分を講義する。まずそのもととなる虚数単位から始め,複素数を定義する。つぎに正則関数を導入し
コーシー・リーマンの関係式による正則性の判定を学ぶ。正則関数とべき級数の関係を理解し,初等関数をべき級数
により再定義する。複素関数の線積分を導入し,微積分の基本定理が成り立つことを見る。単純閉曲線上の正則関数
の積分は零になるというコーシーの積分定理を導き,この定理から正則関数のコーシーの積分表示を導く。コーシー
の積分表示から正則関数の持つきれいな性質を見る。また同公式から留数定理を導き,複素積分の計算に応用する。
最後に複素積分を応用して,実関数の定積分の計算を行う。複素関数の微積分の意味や定理を理解させることをねら
いとする。
・到達目標
(1)複素数の計算ができる(2)初等関数の微分が計算できる(3)コーシーの積分定理を用いて
積分の計算ができる(4)コーシーの積分公式を用いた積分の計算ができる(5)留数定理を用いた積分の計算ができる
(6)複素積分を応用して実定積分の計算ができる
・キーワード
複素関数,微分可能性,正則性,特異点,コーシー・リーマンの関係式,コーシーの積分
定理,留数定理,ローラン展開

【科目の位置付け】
工業数学の基礎となる科目 ・実変数関数の微積分からの発展
この科目は電気電子工学科では学習・教育到達目標のAに該当する。

【授業計画】
・授業の方法
基本事項,例題を板書により説明する。区切りのよいところでレポートを出す。レポートは
A4判用紙に作成し,つぎの講義開始時に提出すること。
・日程
1.複素数 2.オイラーの公式 3.べき級数 4.複素関数 5.コーシー・リーマンの関係式 6.初等関数
7.複素積分 8.中間試験と解説 9.コーシーの積分定理 10.コーシーの積分定理の応用 11.コーシーの積分公式
12.留数定理 13.実定積分への応用 14.ローラン展開 15.期末試験と解説

【学習の方法】
・受講のあり方
前もって教科書を読み,予習しておくことを薦める。授業の理解度が格段に上がる。
授業に遅れないこと。計算式を追うことだけでなくなぜこのように計算するのかを考えてノートをとること。
不明な箇所にはマークし,復習のときに調べるか質問する。
・授業時間外学習へのアドバイス
前回までの講義で何を学んだかをきちんと思い出してみる。重要事項は何度も繰り返し出てくるので,不明な箇所は
復習のときになくしておく。授業でやった演習問題はノートを見ないでできるように何回も練習しておく。丸暗記で
はなく自分自身で考える習慣をつける。

【成績の評価】
・基準
複素数の計算ができ,留数定理を応用して実定積分の応用問題が解けること。
・方法
総合点数は複数回のレポート(100点満点)の平均の40%+中間試験(100点満点)と期末試験
(100点満点)の平均の60%で評価する。総合点数が60点以上である場合合格とする。

【テキスト・参考書】
テキスト)神保道夫:複素関数入門,岩波書店 2,520円
(参考書)L.V.アールフォルス 著,笠原乾吉 訳:複素解析 現代数学社, 志賀浩二:複素数30講 朝倉書店

【その他】
・学生へのメッセージ
授業は欠席しないこと。欠席すると内容のつながりがわからなくなり,理解が困難に
なる。レポートは必ず提出すること。レポートの課題をやれば試験の対策になる。
・オフィス・アワー
授業終了後の時間
連絡先:sokubo513@gmail.com

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