電子物性I
 Physical Electronics I
 担当教員:齊藤 敦(SAITO Atsushi)
 担当教員の所属:理工学研究科
 開講学年:2年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:電気電子工学科  科目区分:専門科目・必修 
【授業概要】
・テーマ
半導体素子、太陽電池、光デバイス、超伝導デバイスなどを開発する技術者は、電子のミクロ的、マクロ的な状態、結晶の構造、金属の電気伝導などを理解することが重要である。特に、物質の結晶構造や、気体・固体中での電子の運動やエネルギを理解することは、今後のエレクトロニクス技術者にとって重要なことである。電子物性Iでは、結晶構造、X線回折の原理とその応用、真空中および固体中での電子の運動等について講義する。また、授業を通して自主的・継続的に学習する能力を身につける。
・到達目標
○種々のエネルギ単位の相互変換が計算できる。
○結晶格子やミラー指数、結晶面、逆格子を説明できる。
○ブラッグの条件を用いてX線の回折角度が計算できる。またX線構造因子が計算できる。
○格子比熱の理論とその結果を説明できる。
○真空中、金属中での電子の運動を説明できる。
・キーワード
エレクトロンボルトとジュール、結晶格子、ミラー指数、結晶面、逆格子、ブラックの条件、X線構造因子、格子比熱、電界・磁界中の電子の運動、固体中の電子の運動、フェルミ・ディラック分布関数、ホール効果
 この講義は「電気電子工学専修教育プログラム」の学習・教育目標の(A)専門知識に対応している。

【科目の位置付け】
学習・教育目標A-Dとの対応:A●

【授業計画】
・授業の方法
授業では、物理的なイメージを把握しやすいように概念・考え方の丁寧な説明に留意し、授業計画に沿った講義を行う。また、学生の理解を確認するためのミニッツペーパーを活用する。電子物性演習も履修し理解を深めることを推奨する。
・日程
第1回:授業の概要及びシラバスの説明と電子物性の基礎、第2回:原子を結びつける力、第3~4回:結晶構造(結晶格子、ミラー指数、結晶面)、第5~6回:結晶構造(ブラッグの条件、X線構造因子、逆格子)、第7回:中間試験とまとめ、第8回:結晶の格子振動、第9回:固体の比熱(古典論~デバイ理論)、第10回:真空中の電子の運動(電場中、磁場中)、第11回:金属の自由電子論(ドルーデ理論)、第12回:フェルミディラック分布関数、第13回:ホール効果、第14回:仕事関数、第15回:期末試験とまとめ

【学習の方法】
・受講のあり方
新しい概念や考え方が、毎回数多く出てくるので授業について行くのは容易でないが、不明な点は自分で考えた後、質問するなど積極的な姿勢で授業に臨んでもらいたい。
・授業時間外学習へのアドバイス
次回の講義内容について、事前にチェックし理解できない項を整理しておく。
1.講義の内容を完全に理解できるようにすること。不明な点は次回の講義の時に質問する。2.講義終了時に課題(演習)が出た場合は、翌週その解答を提出すること。

【成績の評価】
・基準
科目の達成目標に記載の項目について試験を行い以下の基準を満足したものを合格とする。期末試験50点と中間試験50点の合計100点満点で60点以上を合格とする。
・方法
エネルギーの単位とその換算、電界、磁界中の電子の運動、ホール効果、結晶構造やX線回折などを理解しているかどうかを判断する、中間試験、定期試験を実施する。

【テキスト・参考書】
テキスト:青木昌治著、応用物性論、朝倉書店
参考書:1.「固体電子物性」、若原昭浩著、オーム社、2.「固体物理学入門(上)」、キッテル著(宇野訳)、丸善、3.「電子物性基礎」、大場勇治郎著、オーム社

【その他】
・学生へのメッセージ
引き続いて学ぶ「電子物性II」、「半導体工学」、「電気電子材料」などの基礎的知識を修得する講義である。土台を作るつもりで真剣に学んで欲しい。
・オフィス・アワー
場所:工学部8号館 8-202号室、電話:0238-26-3289、時間:左記に電話しアポイントをとること。

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