【授業概要】
・テーマ
現在までに明らかにされた生命の仕組みを分子のレベルで説明する．デオキシリボ核酸やタンパク質の構造と機能を取り扱い，遺伝情報の伝達，代謝，エネルギーの生産方法について概観する．さらに遺伝情報の流れや遺伝子工学について説明する．
生命システムの理解や応用のためには，従来の医学，理学の分野の垣根を超えて工学分野の知識も求められている．分野横断的な生命の新規研究領域を開拓する能力を得るには，工学的素養に加え，生命活動の仕組みを知ることが必要となる．生命関連技術は，これからますます生活に入り込むことが予想され，技術者にとってもそれら知識は重要になるだろう．
・到達目標
生体の基本構成要素がわかる．遺伝情報，タンパク質，糖類，脂質などの生体における機能と繋がりがわかる．遺伝組み換えなどの遺伝子工学がわかる．生命関連の記事や文献をよく理解できる．または独自に調べて深く理解することができる．現在までにわかっていること，わからないことを把握できる．
・キーワード
タンパク質，細胞，代謝，エネルギー獲得，セントラルドグマ、遺伝子組換え技術、ベクター、宿主、転写因子、遺伝子発現、レポーター遺伝子
【科目の位置付け】
生命科学の基礎的な科目．
【授業計画】
・授業の方法
テキスト内の重要な項目について，なるべく図示しながら板書またはスライドによって説明する．生体や細胞の活動をイメージできるように，アニメーションやムービーを使って説明するときもある．テキストの他，必要に応じて補足的にプリントを配布する．
・日程
第1週 ガイダンス，細胞の構造と働き
第2週 生物の化学
第3週 タンパク質の構造と機能
第4週 糖と核酸の構造と機能
第5週 生物の熱力学と酵素の働き
第6週 エネルギーの生産１（光合成，カルビン回路）
第7週 エネルギーの生産２（解糖系，TCA回路，酸化的リン酸化）
第8週 中間試験と復習
第9週 セントラルドグマ
第10週 細胞内分子解析のための遺伝子工学的技術の概要
第11週 ベクター・宿主と遺伝子導入法
第12週 DNAと転写因子の解析技術
第13週 細胞内での遺伝子発現
第14週 レポーター遺伝子による細胞内タンパク質の可視化技術
第15週 期末試験と解説
【学習の方法】
・受講のあり方
１ー８週を羽鳥が担当し，９ー１５週を堀田が担当する．わからないことは質問して欲しい．生体物質が高分子である以上，化学の言葉を使って説明することが多くなる．基本的な化学の知識があることが望ましい．
・授業時間外学習へのアドバイス
生物の講義を受けていないものにとってはなじみのない言葉が多いので，テキストを予め読み整理しておく．さらに，講義中にわからなかったことは，テキスト，参考書，インターネットを利用して復習する．
基本的な専門用語は覚えるようにする．生命活動に関わる構成物質がどのような形でどのような振る舞いをするのかを論理的に考える．
【成績の評価】
・基準
中間試験と期末試験を課し，出席数を考慮し合計点が100点満点中で60点以上を合格とする．分子細胞生物学について，専門用語や仕組みを理解しているかどうか，そして遺伝子工学の方法論を正しく考察できるかどうかを評価する．
・方法
羽鳥担当分を中間試験とし．堀田担当分を期末試験とし．それぞれ筆記試験とする．
【テキスト・参考書】
テキスト
E. J. Wood 他著，林 利彦，水野 一乘 訳，生命の化学と分子生物学，東京化学同人，ISBN-4807905104
野島博著，遺伝子工学ー基礎から応用までー，東京化学同人，ISBN-4807908049
参考書
B. Alberts 他 著，中村 桂子 他 訳，細胞の分子生物学 第4版， ニュートンプレス， ISBN-4315517305
H. Lodish 他 著，石浦 章一 他 訳，分子細胞生物学 第5版， 東京化学同人 ，ISBN-4807906151
W. M. Becker 他 著，村松 正實 他 訳，細胞の世界，西村書店，ISBN-890133348
【その他】
・学生へのメッセージ
分子細胞生物学の分野は発展がめざましく，裾野も広がっている．講義だけではすべてを網羅することは到底できないので，興味をもったことは最新の文献やインターネット検索などを使って調べて欲しい．
・オフィス・アワー
工学部8号館405号室（羽鳥）
工学部9号館307号室（堀田）
|