無機工業化学(物質)
 Industrial Inorganic Chemistry
 担当教員:立花 和宏(TACHIBANA Kazuhiro)、伊藤智博(ITO Tomohiro)
 担当教員の所属:学術研究院(担当教育課程:工学部 物質化学工学科)
 開講学年:3年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:物質化学工学科  科目区分:専門科目・発展科目・○選択必修・▽教職免許(理科)選択 
【授業概要】
・テーマ
工業化学は、資源変換による基礎素材の製造およびそれらに付加価値を与えた工業化学製品の製造を含む化学工業である。また,エネルギー資源の変換化学も工業化学の範疇に入れられている。無機工業化学として分類されているのは、酸・アルカリ工業、無機薬品製造、金属工業、セラミックス、電気化学工業などである。多様な最終製品の生産には、無機工業化学であっても、有機化学反応が応用されていることが多くある。そのため、本講義では工業化学全般を解説しているテキストを採用し、有機化学工業との関連を理解できるようにする。
本講義では,化学工業の基幹原料の製造および無機工業薬品やファインセラミックス製造の基礎原料となる金属工業や電気化学工業を中心として解説する。また材料、素材、素形材、部材、部品、製品の流れをエネルギー、資源、環境の視点から追いながら、工業化学全体を見通し、無機化学、物理化学などの応用分野を俯瞰する。無機化学に関連した科目を基礎として化学の応用力や工業化学的センスを身につけ、自分にあった社会貢献できる技術者の姿勢を見出すことをねらいとする。
・到達目標
1)工業製品としての無機材料について原料から製品まで製造プロセスが理解でき、適切に説明できるようになること。
2)工業製品が市場に出回るまでの天然資源からエンドユーザーにおける最終利用形態までのサプライチェーンを見通すことができ、適切に説明できるようになること。
3)市場における製品開発のための化学の応用と役割が理解でき、適切に説明できるようになること。
4)歴史上、工業製品の顧客ニーズがどのように生まれ、人とのかかわりの中でどのように製品化されてきたかを把握でき、適切に説明できるようになること。
・キーワード
産業革命;キャラコ;酸・アルカリ工業;電解工業;製塩;電池;製鉄;鉄;鋼;非鉄金属工業;アルミニウム;銅;冶金;製造プロセス;資源;エネルギー;セラミックス;窯業;パルプ;紙;繊維;織物;編物;自動車;船舶;航空機;エンジン;内燃機関;効率;オクタン価;リサイクル;半導体;フォトリソグラフィー;印刷;顔料;染料;接着剤;結着材

【科目の位置付け】
この授業は、 山形大学・ディプロマ・ポリシー に則り、 社会生活や職業生活の場で実践的に活用する能力を培う。 また、 工学部・ディプロマ・ポリシー に則り、 社会的・職業的に自立する意識、職業選択を自主的に行える能力、及び社会と産業の発展に果 敢に取り組む挑戦的な態度を培う。 さらに 物質化学工学科の学習・教育目標「(B)工学基礎および専門知識の習得と継続的学習」 に則り、 工学基礎および専門知識を習得し、将来の継続的学習にを促す。

【授業計画】
・授業の方法
テキストを用いて素読を行い、当日のテーマに沿って解説する。授業の効果を高めるために教科書の音読や意見発表等を求めることがある。教室に足を運ぶ価値を高めるため、その場の雰囲気や流れを重視し、学生との双方向コミニュケーションを図る。スマートフォンやWebClassを活用し、演習を含めた授業を行う。アクティブラーング志向の授業を行う。
・日程
1. 明治43年、旧米沢高等工業学校の設立―産業革命と化学工業の歴史―
2. 1000気圧が生み出す肥料と食料―酸・アルカリ工業と水資源―
3. 3ボルトが生み出す洗剤と水素―電気化学工業―
4. 1500℃が作る東京スカイツリー―鉄鋼―
5. 1000℃、4Vが作る新幹線―非鉄金属―
6. 3000℃が作る航空部材―窯業―
7. ひとり毎日1キログラムの廃棄物―資源からリサイクルへ―
8. 太陽がくれた1キロワット毎平米―エネルギープラント―
9. トイレットペーパーがなくなったら?-パルプ、紙、繊維―
10. 自動車がなくなったら―目指せ燃費リッター40キロ―
11.マンガ本がなくなったら―印刷技術と半導体―
12.スマホがなくなったら―情報とメディア、家電―
13.電池がなくなったら―生活に役立つ工業製品を作ろう―
14.食べ物がなくなったら―環境、持続可能な社会に向けて―
15.小論文の作成と単位認定申請書の提出

【学習の方法】
・受講のあり方
受講時は必ず学生証を携帯してください。 学術情報基盤センター発行のアカウントを確認してください。

座席は特に指定しません。 視力や聴力が弱い方は前の方の座席に着席してください。 そのほかの障害ついては事前に相談を受けた合理的な配慮についてのみ対応します。 グループ討論できるように相手となる学友の近くに着席してください。 授業時間中に受講エビデンスとして講義ノートの指定部分について写真を撮影し Google+ などに提出公開してもらいます。 スマートフォンやタブレットの端末を所有していない方は、代理アップロードを頼める学友の近くに着席してください。

テキスト(教科書)・受講ノート・教材を準備して授業に臨んでください。 トラブルの原因となるテキストの貸し借りは極力避けてください。 私語、講義中の入退室(遅刻・早退)など他人の受講の妨げとなる行為は慎んでください。 静粛を保つため必要に応じて出入り口を施錠します。 施錠された無断開錠は授業妨害とみなし、履修を取り消すことがあります。 急病等で止むを得ず退室するときは、手を挙げて担当教員の許可を取ってください。

板書は最低限です。リスニングで受講ノートをとってください。 撮影や学友の 署名 書き込みができるなら、ルーズリーフ、テキストの余白を受講ノートとしてかまいません。

受講ノートの写しをアップロードする際は、学籍番号、氏名、受講エビデンス以外の個人情報が映らないよう撮影してください。 教科書の余白に書き込んだ場合、著作権侵害ならないよう撮影してください。 端末を所有しない方が代理アップロードする場合、その理由を明示してください。 端末やネット環境の不具合があった場合、 当該授業を行う教室等以外の場所から アップロードすることができますが、その場合はその理由を明示してください。 受講ノートのアップロードは「本学が実施する試験等」と同等の扱いとします。 代筆、署名のなりすまし、自己の責に帰する当該授業を行う教室等以外の場所からアップロードは 不正行為として扱います。

病気、忌引きなどによる自己の責によらない欠席・遅刻・早退については早めに理由を文書により提出してください。 就職活動による欠席は自己の責として扱います。
・授業時間外学習へのアドバイス
初回授業の授業開始前にテキスト(教科書)・受講ノート・教材を準備してください。 講義中にテキストを音読させるので読めない漢字は授業開始前に振り仮名等を書き込んでおいてください。 学内無線LANに接続設定した撮影機能付のスマホやタブレットをできるだけ準備してください。 課題に対しグループで議論を進めたり、成績評価で保証人や推薦人をお願いしたりする学友を増やしておいてください。

授業時間外を使ってできるだけ保護者への報告書、 工場見学報告書、 ヒヤリハット報告書、それらあるいは授業内容の ホームページ を作成し、提出してください。 授業時間外で生じた疑問が解決できないときは WebClass やミニッツペーパー、あるいは担当教員のオフィスアワーなどを活用してください。

WebClass の利用には学術情報基盤センター発行のアカウントが必要です。パスワードを忘れた人は授業開始前に再発行の手続きをとってください。

【成績の評価】
・基準
工業製品が製造されるプロセスとサプライチェーンについて興味をもって調査し、その価値について積極的に発信する姿勢を身につけたことを合格の基準とします。 但し、履修過程において不正行為が発覚した場合は、ただちに大学へその事実を報告し、成績評価の対象外とします。

出欠情報収集システム での出席率が67%以上、 WebClass での出席・課題提出が67%以上、 Google+ での課題公開が67%以上。あるいは担当教員が代替相当と認める受講エビデンスをもって単位認定(60点)します。
初回時の指定のテキスト(自署の署名があり他者の署名のない指定テキスト)・教材の準備を加点対象とします。
積極的な授業への参加(発表、討論、質問、実技)を加点対象とします。
保護者への受講報告書(保護者の署名つき)、工場見学報告書(訪問先の担当者の署名つき)、重要文化財見学報告書(米沢工業会担当者の署名つき)開講期間でのヒヤリハット報告書(工学部担当者の署名つき)提出した場合、加点対象とします。
授業内容のホームページを作成し、その確認報告書(学友の署名つき)を提出した場合、加点対象とします。
・方法
山形大学学部規則に基づき 平常の成績をもって合格の基準とし、 平常の成績と報告書によって成績を審査します。 工学部 の ディプロマ・ポリシー にある グループワーク能力、発表と討議の能力、コミュニケーション能力を優先するため筆記試験は実施しません。

講義最終回の履修者本人による単位認定申請書(連帯保証人の署名つき)の提出で単位認定(合格=60点)します。
授業時間内の加点対象の受講エビデンスの確認で加点します。
加点対象となる報告書の提出で加点します。

【テキスト・参考書】
テキスト:野村正勝・鈴鹿輝男, 最新工業化学―持続的社会に向けて―, 講談社サイエンティフィク, (2004).
テキスト:小沢昭弥、現代の電気化学,丸善,(2012).※電子書籍、生協にて取り扱い
テキスト:松林光男、渡辺弘, イラスト図解 工場のしくみ, 日本実業出版社, (2004).※情報処理概論、品質管理、技術者倫理の共通テキスト
参考書:山形大学基盤教育院, 成せばなる, 山形大学出版会, (2010).
参考書:塩川二朗編著, 無機工業化学通論, 共立出版, (1984).
参考書:伊藤要著, 無機工業化学概論, 培風館,(1981).
参考書:山田保,尾藤忠旦著, 工業化学概論, 朝倉書店, (1965).
参考書:実教出版, サイエンスビュー化学総合資料, 実教出版, (2005).
参考書:数研出版編集部, 視覚でとらえるフォトサイエンス化学図録, 数研出版, (1998).
参考書:実教出版, サイエンスビュー生物総合資料, 実教出版, (2006).
参考書:鈴木孝仁, 視覚でとらえるフォトサイエンス生物図録, 数研出版, (2000).
参考書:数研出版編集部, 視覚でとらえるフォトサイエンス物理図録, 数研出版, (2006).
参考書:小島丈兒, 新訂地学図解, 第一学習社, (1986).
参考書:宮崎正勝, モノの世界史, 原書房, (2002).
参考書:P. W. Atkins [著]/千原秀昭, 稲葉章訳, 物理化学要論, 東京化学同人, (1998).
参考書:井上 勝也 著, 現代物理化学序説 改訂版, 培風館, (1988).※絶版
参考書:新日鉄製鉄(株), 鉄の未来が見える本, 日本実業出版社, (2007).
参考書:田中和明, 図解入門 よくわかる最新金属の基本と仕組み, 秀和システム, (2007).
参考書:雀部晶,鉄のはなし,さ・え・ら書房, (1982).
参考書:吉岡安之, じしゃく忍法帳 磁石とエレクトロニクスのはなし, 日刊工業新聞社, (2001).
参考書:小林藤次郎, アルミニウムのおはなし, 日本規格協会, (1985).
参考書:日本化学会, 家電製品がわかるⅠ, 東京書籍, (2008).
参考書:日本化学会, 家電製品がわかるⅡ, 東京書籍, (2008).
参考書:日本化学会, 自動車がわかる, 東京書籍, (2009).
参考書:日本化学会, 衣料と繊維がわかる, 東京書籍, (2011).
参考書:大竹尚登・神崎昌郎・宇治原徹・高崎正也, これで使える機能性材料パーフェクトガイド, 講談社, (2012).
参考書:成美堂出版編集部, モノができる仕組み辞典, 成美堂出版, (2008).※絶版
参考書:風早健史, モノの最新テクノロジーがわかる本, 成美堂出版, (2010).

【その他】
・学生へのメッセージ
諸連絡には掲示板のほか下記のWebClassを使います(学術情報基盤センター発行のアカウントを確認しておくこと)。
→https://ecsylms1.kj.yamagata-u.ac.jp/webclass/login.php
電子書籍を希望する場合、下記のサイトでの購入となります。詳しくは山形大学生協工学部店購買書籍部(0238-21-2713)にお問い合わせください。
→http://coop-ebook.jp
購入した電子書籍はタブレットやスマートフォンのほか、情報基盤センター米沢分室端末、図書館端末などで閲覧できます。試験持ち込み時の印刷媒体については同じく山形大学生協工学部店購買書籍部にお問い合わせ下さい。
・オフィス・アワー
立花和宏:3号館3-3308、3号館3-3301、9号館300-3
伊藤智博:3号館3-3301

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