信号処理(情報)
 Signal Processing
 担当教員:田村 安孝(TAMURA Yasutaka)
 担当教員の所属:理工学研究科
 開講学年:3年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:情報科学科  科目区分:専門科目・選択必修 
【授業概要】
・テーマ
ディジタル信号処理は,音声,画像,通信,医用,計測等に関連する分野のシステムを実現する上での共通基礎技術として不可欠である。講義ではディジタル信号処理の基礎的な概念や理論を学ぶ。
講義は3つの部分からなる。第1部では,連続時間信号から離散時間信号への変換,標本化定理を示す。離散時間システムの表現法を時間領域ではコンボリューション,周波数領域ではフーリエ変換を用いて与える。第2部では,フーリエ変換を一般化して,離散時間信号とシステムに関する第1部の議論をz変換の見地から論ずる。またz変換の定理と性質,線形シフト不変システムのシステム関数表現を与える。第3部では,離散的フーリエ変換と,その応用,フィルタの構成方式について学ぶ。
・到達目標
(a)連続時間信号の標本化,標本化定理,折り返し歪みを理解し,与えられた具体例に対し標本化に必要な条件を求めることができる。
(b)システムの因果性・安定性,インパルス応答,コンボリューション,差分方程式を理解し,システムの特性を複数の方法で記述できる。
(c)ディジタル信号のフーリエ変換,システムの周波数応答について説明できる。
(d)数式で与えられたディジタル信号のZ変換やシステムの伝達関数を求めることができる。与えられたZ領域の関数から逆Z変換により時間領域の信号を導出できる。
(e)ディジタル信号の離散的フーリエ変換とフィルタの構成方式を説明できる。
・キーワード
標本化,標本化定理,折り返し歪み,因果性,安定性,インパルス応答,コンボリューション,差分方程式,フーリエ変換,周波数応答,z変換,システム関数,離散的フーリエ変換,高速フーリエ変換

【科目の位置付け】
情報科学科の学習・教育目標の(C)(応用能力)に対応する.
本授業の基礎となる科目:線形システム入門
本授業と関連が深い科目:画像工学、認識工学、制御工学

【授業計画】
・授業の方法
講義形式で行なう。理解を深めるために,その時間内に学んだことの演習を毎回行なう。
・日程
第1週 サンプリング定理 第2週 コンボリューション 第3週 差分方程式
第4週 Z変換 第5週 Z変換の定理と性質 第6週 逆Z変換と伝達関数
第7週 演習 第8週 中間試験と解説 第9週 離散時間フーリエ変換(DTFT)
第10週 離散フーリエ変換 第11週 FFT 第12週 デジタルフィルタ
第13週 フィルタの設計例 第14週 演習 第15週 試験と解説
ただし,上記の日程は受講者の理解度に応じて変更されることがある。

【学習の方法】
・受講のあり方
1)講義開始前に教室に入り,板書の記録と演習用の記入欄を持つ講義資料を受け取る。配布資料は抜き差し可能なファイルに綴じておく。
2)授業開始時間がきたら直ちに講義が始まる。配布資料の空欄にスクリーンに示される内容を筆記する。
3)講義中の私語等は厳に謹み,携帯電話や携帯情報端末などの電源を切る。ミニットペーパーに講義に対する質問・意見を書いてもらう。質問・意見は講義の進行にフィードバックし,質問・意見の有無によって講義に参加していたかどうかの評価にも用いる。
・授業時間外学習へのアドバイス
テキストの該当箇所を前もって読んでおくことが望ましい。講義ノートや配布資料を参考にして、授業中に解けなかった演習問題の復習を確実に行なう。講義の配布資料およびスライドショーのファイルはwebで公開するので,必要に応じて参考にする。

【成績の評価】
・基準
「授業概要(到達目標)」の各項目が達成されていることを,筆記試験(中間試験,定期試験)および質問用紙の評価点により示すことが,合格の基準となる。
・方法
中間試験(40点),定期試験(40点),演習問題の答案・質問用紙の内容(20点)を総合し,合計100点で評価する。60点以上を合格とする。

【テキスト・参考書】
テキスト:小畑秀文,浜田望,田村安孝:信号処理入門,コロナ社,3800円(2007)

【その他】
・学生へのメッセージ
授業内容を十分に理解するには,毎回必ず出席することが望ましい。質問用紙と演習問題の答案提出で出席を毎回確認する。
・オフィス・アワー
木曜日 16:00~17:00,工学部8号館(8-205号室または8-204A室)

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