機械工学基礎III
 Intoduction to Mechanical Engineering III
 担当教員:峯田 貴(MINETA Takashi)
 担当教員の所属:理工学研究科
 開講学年:1年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:機械システム工学科  科目区分:専門基礎科目・選択必修 
【授業概要】
・テーマ
自動車やロボットなどは動力源と運動機構部をもち,機械的に有効な仕事をする.機械の高度な運動制御そしてスマートな機構設計のために,機械の構成部品(剛体)に作用する力とモーメント,それにより発生する運動について深く理解する必要がある.高校物理で学習した質点の運動方程式を体積を持つ剛体へと拡張するために,剛体の並進運動と回転運動についての運動方程式について学ぶ.回転運動に関する運動方程式は大学で新たに学習するテーマである.回転運動に密接に関係する物理定数である慣性モーメントの定義と計算法,機械部品の形状と慣性モーメントの関係について学習する.
・到達目標
剛体の運動を表現するために必要な数学を学び,リンク機構,ロボットアーム,車両の運動などへと学習を進めるための基礎の習得をめざし、以下の内容を到達目標とする.
(1) 剛体に作用する力とモーメントと運動の関係より,剛体の運動方程式を記述できること.
(2) 静力学の関係式(力,モーメントの釣り合い)を導出できること.
(3) 直線棒,円板,円柱など,機械部品の基本形状の剛体の重心や慣性モーメントを計算できること.
(4) 斜面を転がり落ちる円柱,剛体振り子など並進と回転を伴う剛体の運動方程式を記述できること.
(5) 運動方程式に基づき,剛体の運動や剛体各部に作用する力を解析できること.
・キーワード
運動の法則、剛体の力学

【科目の位置付け】
機械システム工学の学習・教育到達目標「(A)工学の基礎」(0.5),「(G)機械工学の基礎力」(0.5)を養成する科目である.

【授業計画】
・授業の方法
180分×7.5回の講義(最終回は90分)およびその内容を発展させた演習問題に取り組みながら授業を進める.演習は授業時間および予習・復習課題により行う.
・日程
第1週 剛体にはたらく力,力のモーメント,剛体の重心,ベクトルの外積
(復習)モーメントの釣り合い,重心計算に関する演習課題(プリント配布)
第2週 モーメントの釣合い,剛体に働く力,力のモーメントの釣合い
(予習)第19節,20節,剛体にはたらく力,例題の解答まで試みる.
(復習)外積を使ったモーメント計算,角運動量の計算の演習課題(プリント配布)
第3週 回転運動の方程式,剛体の回転運動,固定軸周りの剛体の回転運動,慣性モーメント
(予習)教科書21節,回転運動の方程式,例題の解答まで試みる.
(復習)固定軸を持つ回転運動の方程式に関する演習課題(プリント配布)
第4週 慣性モーメントの計算
(予習)教科書22節,慣性モーメントの計算,例題の解答まで試みる.
(復習)慣性モーメントの計算の演習課題(プリント配布)
第5週 慣性モーメントの計算(発展)
(予習)教科書23.4節,慣性モーメント計算(発展),平行軸の定理,例題の解答まで試みる.
(復習)重積分を用いた慣性モーメント計算,平行軸の定理の演習課題(プリント配布)
第6週 剛体の平面運動
(予習)教科書23節,並進の運動方程式,重心まわり回転の運動方程式,例題の解答まで試みる.
(復習)平面運動方程式の演習課題(プリント配布)
第7週剛体の平面運動(発展)およびまとめ
(予習)教科書23節,剛体振り子,回転の運動エネルギー,教科書の基本問題,標準問題に目をとおし,
解き方の分からない問題は質問できるようにする.
(復習)教科書の整理.確認問題,基本問題,標準問題
第8週 期末試験および総括
(復習)解けなかった問題を解決する.

【学習の方法】
・受講のあり方
授業に遅れないこと.計算式を追うだけでなく,物理現象についてイメージを持ちながら興味をもって聞いて欲しい.1時間程度で完了できる復習課題を配布する.また,30分程度でできる予習項目を本シラバスに示してあるので,毎回予習して授業に臨むこと.飲食・喫煙は禁止。
・授業時間外学習へのアドバイス
教科書は例題がたくさん用意されており,解説も丁寧に書いてあるので可能なかぎり読み進めて,例題を解答しておく.それにより授業の理解は深くなる.授業では一段階掘り下げた解説をするので,疑問点について質問できるようにしてほしい.
教科書には演習問題が多くあるので,毎週少しづつ解答してゆくこと.理解の足りない項目については,授業で質問できるように整理しておくこと.

【成績の評価】
・基準
直線棒,円板,円柱など,機械部品の基本形状の剛体の運動と力学解析について,以下の定式化および解析ができることを合格の基準とする.
・静止物体に作用する力とモーメントの釣り合いを定式化できる.
・外積計算により力のモーメントを計算できる.
・回転軸を持つ剛体の回転運動を回転運動の方程式で式表現できる.
・斜面を転がり落ちる円柱,剛体振り子など,平面内で運動する物体の運動を重心の並進運動および重心まわり回転運動の方程式で式表現できる.
・直線棒,円板,円柱など,機械部品の基本形状の剛体の重心や慣性モーメントを計算できる.
・方法
授業内容に対する到達度を,演習レポートの点数と期末試験の点数で評価する.毎回提出する復習課題レポートの成績は40点満点,期末試験の成績は60点満点とし,これらの合計(100点満点)が60点以上を合格とする.

【テキスト・参考書】
高橋正雄,「基礎と演習 理工系の力学」共立出版,2000円
宇佐美誠二,貴島準一,西村鷹明,鳥塚潔,「力学の基礎」,(株)講談社サイエンティフィク

【その他】
・学生へのメッセージ
自分で考える。試みる。失敗する。再度挑戦する。少し進展する。さらに挑戦する。ついに解決する。これを繰り返して、本物の理解力と問題解決能力を身につけよう。やればできる。
並進しかつ回転している剛体の運動を基礎から理解するため、運動方程式を立て、それを解き、時間の関数として表す。さらに、運動状況をグラフに描くことにより、解が正しいか否かを確認する。解析解または設計解の検証は技術者の努めです。
・オフィス・アワー
水曜日10:30~12:00

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