機械工学基礎IV
 Introduction to Mechanical Engineering IV
 担当教員:赤松 正人(AKAMATSU Masato),李鹿 輝(RINOSHIKA Akira)
 担当教員の所属:大学院理工学研究科(工学系)機械システム工学分野
 開講学年:1年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:機械システム工学科  科目区分:専門基礎科目・選択必修 
【授業概要】
・テーマ
熱・流体現象に関連した講義と演習を通して、熱・流体に関わる力の釣合い、運動エネルギー・力学エネルギーと熱エネルギーの同等性を学ぶ。また熱・流体に関連した専門科目への橋渡しをする。熱部門・流体部門のバランスを取りながら授業を行う。太古より人類は自然に存在する熱や流体のエネルギーを使って、社会が必要とした力学エネルギー・仕事を生み出してきた。エネルギー資源からいかに効率よく熱や流体エネルギーを発生させ、エンジンや流体機械等でいかに効率よく運動エネルギーへ変換するかを考える基礎となる熱や流体の性質やエネルギー保存則を学ぶ。
・到達目標
流体部門:(学習・教育到達目標(A))流体の粘性、圧縮性、表面張力などの物理量と単位について説明できる。(学習・教育到達目標(G))流体中の圧力について理解し、マノメータから圧力を計算できる。
熱部門:(学習・教育到達目標(A)―1)物理量と単位について説明できる。(学習・教育到達目標(A)―2)温度と熱の概念について、エネルギーの微視的形態から説明できる。(学習・教育到達目標(G)―1)状態量と状態変化について説明できる。(学習・教育到達目標(G)―2)熱力学の第一法則等について説明できる。
これらによって、学習・教育到達目標(A)「工学の基礎力」と(G)「機械工学の基礎力」を養成する。
・キーワード
状態量と状態変化、エネルギー保存則(熱力学の第一法則)、状態方程式、分子気体力学、粘性流体の力学、理想流体の力学、流れの計測。

【科目の位置付け】
機械システム工学科の学習・教育到達目標(A)「工学の基礎力」(0.5)と(G)「機械工学の基礎力」(0.5)を養成する科目である。括弧内の数値は重みを示す。

【授業計画】
・授業の方法
90分×15回で講義と演習を行う。流体部門では、流体現象に関連した講義と並行して、毎回最後に30分程度でできる演習課題を出題するので、レポートとして提出する。熱部門では、熱力学の基本である「温度と熱」、「状態量」、「エネルギー保存則」他に関連した講義と演習を行なう。
・日程
第1回 熱力学の意義、単位系
第2回 実生活との関連等入門:自然と流体、産業と流体等
第3回 系とエネルギー
第4回 単位系と流体の基本的性質:単位と次元、密度と比重量
第5回 気体の巨視的形態と微視的形態
第6回 流体の基本的性質:粘度と動粘度、体積弾性率と圧縮率、表面張力
第7回 温度と熱平衡
第8回 流体の分類:粘性流体と非粘性流体、ニュートン流体と非ニュートン流体、圧縮性流体と非圧縮性流体、理想流体
第9回 熱と仕事
第10回 静止流体の力学:静止流体中の圧力(圧力と等方性、重力場における圧力分布)
第11回 熱力学第一法則(閉じた系)
第12回 静止流体の力学:マノメータ、面に働く静止流体力、浮力
第13回 熱力学的平衡と準静的過程
第14回 流体部門の期末試験と解説
第15回 熱部門の期末試験と解説

【学習の方法】
・受講のあり方
講義・演習ノートを準備し、特に演習内容はノートに記述してからレポートに清書して提出する習慣を身に付ける。演習におけるクラスメートの黒板での解答例や先生とのやりとり・訂正を漏らさず聞き取って、理解を深めて欲しい。電卓を持参すること。
・授業時間外学習へのアドバイス
1. 講義時間に質問する事項を事前に整理するつもりで、教科書に目を通しておくこと。
2. 予習・復習について
第1回〔予習〕単位について確認をしておくこと。〔復習〕課題(単位)を行いレポートとして提出のこと。
第2回〔予習〕テキスト(pp.1-2)を読んで確認をしておくこと。〔復習〕課題(単位)を行いレポートとして提出のこと。
第3回〔予習〕テキスト(pp.7-8)を読んで確認をしておくこと。〔復習〕課題(プリント)を行いレポートとして提出のこと。
第4回〔予習〕テキスト(p.3、pp.9-10)を読んで確認をしておくこと。〔復習〕課題(密度)を行いレポートとして提出のこと。
第5回〔予習〕テキスト(pp.9-12)を読んで確認をしておくこと。〔復習〕課題(分子運動等)を行いレポートとして提出のこと。
第6回〔予習〕テキスト(pp.3-5)を読んで確認をしておくこと。〔復習〕課題(表面張力)を行いレポートとして提出のこと。
第7回〔予習〕テキスト(pp.12-14)を読んで確認をしておくこと。〔復習〕課題(熱量/状態量等)を行いレポートとして提出のこと。
第8回〔予習〕テキスト(pp.6-9)を読んで確認をしておくこと。〔復習〕課題無次元数)を行いレポートとして提出のこと。
第9回〔予習〕テキスト(pp.19-20)を読んで確認をしておくこと。〔復習〕課題(仕事)を行いレポートとして提出のこと。
第10回〔予習〕テキスト(pp.23-26)を読んで確認をしておくこと。〔復習〕課題(流体中の圧力)を行いレポートとして提出のこと。
第11回〔予習〕テキスト(pp.20-23)を読んで確認をしておくこと。〔復習〕課題(熱力学第一法則)を行いレポートとして提出のこと。
第12回〔予習〕テキスト(pp.29-33、p.36)を読んで確認をしておくこと。〔復習〕課題(マノメータ)を行いレポートとして提出のこと。
第13回〔予習〕テキスト(pp.23-24)を読んで確認をしておくこと。〔復習〕これまでの課題やプリントを復習すること。

【成績の評価】
・基準
授業概要(到達目標)の各項目の評価比率は、流体・熱部門ともに、学習・教育到達目標(A)に関する項目50%、学習・教育到達目標(G)に関する項目50%である。各部門で合計100点とし、両部門の成績を合わせて平均60点以上を合格とする。
・方法
流体・熱部門ともに、筆記試験の結果(70点)及び演習・レポートの結果(30点)を総合して合計100点とし、両部門の成績を合わせて平均60点以上を合格とする。

【テキスト・参考書】
〔テキスト〕
熱部門:日本機械学会、JSMEテキストシリーズ「熱力学」、丸善、1,980円(2007)。
流体部門:日本機械学会、JSMEテキストシリーズ「流体力学」、丸善、1,980円(2007)。
〔参考書〕
中山泰喜、改訂版・流体の力学、養賢堂、3,400円(2000)。
日本機械学会、JSMEテキストシリーズ「演習 流体力学」、丸善、1,800円(2012)。
日本機械学会、JSMEテキストシリーズ「演習 熱力学」、丸善、1,800円(2012)。

【その他】
・学生へのメッセージ
流体部門:普段の生活でも流体が関わる事象は数多くある。普段の体験と結びつけながら流体の取り扱い方の基本を体得して欲しい。
熱部門:エネルギーの保存則を用いた計算に習熟して欲しい。エネルギーの単位の扱いに習熟して欲しい。
・オフィス・アワー
授業のある木曜日以外であればメールで問い合わせること。詳細は1回目の授業で説明する。

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