心理アセスメント
 Psychological Assessment
 担当教員:奥野 誠一(OKUNO Seiichi)
 担当教員の所属:地域教育文化学部非常勤講師
 開講学年:3年,4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:演習
 開講対象:  科目区分: 
【授業概要】
・テーマ
心理検査法の基礎と実際
心理学には個人の「心」を測定するための様々な研究法が存在する。心理アセスメントは、面接法、観察法、心理検査法などを用いて「心」を測定した上で、発達的側面、環境的側面などを考慮しながら解釈し、個人を総合的に理解する方法である。その過程は、実証的方法論とそれに基づく価値判断によって構成される。本講義では、心理検査法を取り上げ、演習・討議を通して、理論的背景、特徴、実施法、解釈法を習得し、心理学の実証的研究方法の基礎について理解を深める。
・到達目標
各自、担当となる心理検査等について調べて発表する。発表者以外の受講生は被検査者となり、実際に体験し、スコアリング(採点)を行い、検査レポートを作成する。なお、知能検査や投映法検査を他者に実施し、レポートを作成・提出する。これらを通して、代表的な心理検査の理論的背景、特徴、実施手順および解釈法を習得する。また、被検査者としての体験をもとに心理検査を実施する際の留意点について理解する。

【科目の位置付け】
  認定心理士資格b領域基本主題

【授業計画】
・授業の方法
  主に、受講生が担当の心理検査について調べ、実施、採点および概要の説明を行う。ただし、集団実施の難しい知能検査や投映法については講義およびデモンストレーション形式で授業を進め、各自授業時間外に他者に検査を実施する形態をとる。
・日程
1.心理アセスメントの基本(第1、15回)
2.パーソナリティに関する検査
質問紙法(YG性格検査、MMPI等(第3、4、10回))、作業検査法(内田クレペリン精神作業検査等(第5回))、投映法(ロールシャッハテスト、SCT、PFスタディ、TAT、描画法等(第3、8、9、11回))
3.知能や発達に関する検査
ビネー式(第2回)、ウェクスラー式(第6、7、12、13、14回)、KABC-Ⅱ(第2回)、発達検査(第2回)、認知機能検査(第2回)

【学習の方法】
・受講のあり方
  毎回授業に出席し、被検査者体験をし、討議に参加することが前提の授業である。各検査について疑問に思ったことや感じたことを率直に発言することを求める。
  必要な情報が載っている文献や資料を探し出すことも重要な学習活動なので、自分で文献を探すよう努めること。
  また、心理統計で用いられる基本用語(平均、標準偏差、相関、信頼性、妥当性など)については、しっかり復習し、理解した上で受講すること(検査の数値を理解する上で必要な知識)。
・授業時間外学習へのアドバイス
  担当箇所の発表の際には、テキストの該当箇所をまとめるだけでは不十分(通常、テキストには最も基本的な情報しか載っていない。また、テキストをまとめることではなく、心理検査について調べることが課題となる。)なので、必ず自分で文献や資料を探し出してまとめること。
  担当箇所をまとめる際にはかなり詳細に情報を記載したレジュメを作成すること。
  授業中に扱った心理検査について、検査レポートを作成する過程でレジュメを見直したり、文献資料などにあたって頭の中を整理しておくこと。

【成績の評価】
・基準
  担当箇所の発表(内容の充実度、理解、進行の仕方)、検査レポート(2回:検査の実施、特徴の理解、結果の解釈)により評価する。
・方法
  [評価点]=[担当箇所の発表(40点)]+[検査レポート(30点)]+[検査への技術的取り組み(30点)]+[減点(下限なし)]+[追加検査レポート(上限なし)]による。
  担当箇所の発表はグループで各1回。検査レポートのうち、1回は体験した複数の検査のうち、1つを選択して作成する。もう1回は、グループで実施した検査を結果まではグループで同様の者を作成し、考察のみ個人で作成する。期末試験は、授業中に扱った心理検査の基礎知識を問う。減点は、心理検査の被験者体験をしなかった場合や、グループ作業に参加しない場合など、体験学習をしない場合に、1-5点の幅の減点方式で行う。

【テキスト・参考書】
  テキスト:『臨床心理アセスメントの基礎』沼 初枝 ナカニシヤ出版 2100円(税別)2009年
  参考書:『必携 臨床心理アセスメント』小山充道 金剛出版 2008年、『エッセンシャルズ心理アセスメントレポートの書き方』上野一彦・染木史緒訳 日本文化科学社 2008年、『エッセンシャルズ KABC-Ⅱによる心理アセスメントの要点』上野一彦監訳 日本文化科学社 2014年、『エッセンシャルズ WISC-Ⅳによる心理アセスメント』藤田和弘 他監修 日本文化科学社 2014年、『P‐Fスタディ アセスメント要領』秦 一士 北大路書房 2010年、『新訂 P-Fスタディの理論と実際』秦 一士 北大路書房 2007年、『SCT活用ガイド』伊藤隆一編著 金子書房 2012年、『精研式文章完成法テスト解説―成人用』/『精研式文章完成法テスト解説―小・中学生用』佐野勝男ら著 金子書房、『MMPI活用ハンドブック』日本臨床MMPI研究会監修 2011年、『MMPIによる心理査定』MMPI新日本研究会訳 三京房 1999年、『バウムテストの読み方』阿部惠一郎 金剛出版 2013年、『心理テスト法入門』松原達哉編著 日本文化科学社 2002年、『バウムテスト活用マニュアル』阿部惠一郎訳 2002年、『心理アセスメントハンドブック第2版』上里一郎監修 西村書店 2001年、他、授業中に指示する。

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