英米文学演習B
 English and American Literature B
 担当教員:金子 淳(KANEKO Jun)
 担当教員の所属:地域教育文化学部地域教育文化学科異文化交流コース
 開講学年:3年,4年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:演習
 開講対象:  科目区分: 
【授業概要】
・テーマ
・従来の文学研究理論と近年の研究理論の差異を、文学研究が学問として確立されてきた経緯に即して理解できる。・近年の文学研究理論の、理論的前提が理解できる。
・近年の文学研究理論に即して読むことの意義を踏まえて、実際の文学作品に、興味を抱いた理論を適用することができる。
・到達目標
・F.R.リーヴィスなどに代表される伝統的な英米文学研究理論と、それが確立されるまでの過程を考察する。
・キーワード
 英米文学 演習

【科目の位置付け】
 この科目は、異文化交流コースの以下のカリキュラム・ポリシーに基づいている。2.「文化・教養:欧米・アジアと日本の歴史・思想・文化をバランスよく学び,地域における異文化間交流に貢献できる能力を涵養する」。3.「問題発見・解決能力:課題研究,演習やフィールドワークを通じて,学生自ら問題を発見し,個々人または共同でその解決までの論理的道筋を見いだす能力を獲得する」。4.「多面的素養:複数の言語運用能力を備え文化交流や日本語教育に貢献できる者,国際的視野を身につけた国語科・社会科・英語科の教育者を育てる。

【授業計画】
・授業の方法
・伝統的な理論との違いを把握しながら、近年の新しい文学研究の理論において、作者やテキスト、読者がどのように位置づけられるかを、本授業のテキストに沿って学んでいく。・文学作品の意味はどのように決定されるものかについて認識を深めていく。・文学作品に幾つかの理論を適用し、解釈にどのような差異が生ずるか考察する。
・日程
第1回:イギリスの英文学の授業の最近の変化に触れながら、作品解釈における視点の重要性について理解を深める。第2回:2回目以後の授業は前半と後半に分けて実施する。前半の第2回から第7回は、テキストの第一部"How We Read"(「いかに読むか」)に関して演習形式で授業を進めていく。第2回では19世紀末までの英文学研究の動向を扱う。第3回:20世紀の動向を、リーヴィスなどが活躍するまでを扱う。第4回:20世紀後半以降の文学理論の変化と、その理論的前提を扱う。第5回:これまでに学んだことを踏まえ、英文学を教える際に、正しい答えを求めうるのか検討する。第6回:最近の文学理論から、どのような異なる答えが導かれるのか考察する。第7回:文学作品に対する視点を持つ際に重要な「内在的態度」と「外在的態度」について理解を深める。第8回:前半の授業内容について質疑応答し、疑問点を整理する。後半への導入を図るとともに、受講者に一つの理論を適用して解釈する作品の選定を促す。第9回:後半の第9回から第14回では、テキストの第三部"Reading and Meaning"(「読みと意味」)に関して授業を進めていく。第9回は作品解釈に作者の創作意図はどのように関与するのか考える。第10回:作品の意味を決定するにあたり、作者の意図以外の要因について理解を深める。第11回:文学作品の言語使用の重要な要素である「比嶮的表現」を取り上げる。第12回:「比職的表現」の機能や役割について考える。第13回:文学作品の重要な構成要素である「物語」について検討する。第14回:文学作品の「終結」のありかたについて考える。受講者が解釈しようとしている作品のリストを作成する。第15回:後半を中心に授業内容について質疑応答をする。受講者が選定した作品についての解釈を発表し質疑をする。

【学習の方法】
・受講のあり方
 この授業は、小学校・中学校・高校までの授業とは異なり、先生が一方的に教えるのではなく、先生と学生さんとが一緒になって作り上げていく授業です。授業の際には、きちんと調べてきて、授業内では積極的に発言をするように心がけてください。
・授業時間外学習へのアドバイス
 英米文学・英米文化・ヨーロッパ文化に関連する本を、たくさん読むようにして下さい。読書量の豊さが最終的に、力の差となって表れてきますので、がんばってください。

【成績の評価】
・基準
以下の観点から、レポートと授業での発表内容を、総合的に判断して評価する。・最近の文学理論を適切に理解しているか。・理論を作品解釈に適切に使用することができたか。・演習や設定された課題に対して、積極的に、そして意欲的に取り組んだか。
・方法
 授業中に課す課題40% + レポート40% + 授業参加20%で評価します。
 上記の60%以上の得点を合格とします。

【テキスト・参考書】
「テキスト」Robert Eaglestone, Doing English: A Guide For Literature Students (Routledge.2000) 「参考書」岡本、川口、外山(編)、「現代の批評理論」全3巻(研究社、1988) 丹治愛、『地の教科書 批評理論』(講談社、2003)

【その他】
・学生へのメッセージ
 自分で調べて、それを他の人にわかりやすく発表する、という活動を通じて、卒業研究への取り組み方の基礎を身につけるようにして下さい。
・オフィス・アワー
 授業の際にお知らせいたします。

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