電気力学
 Electromechanics
 担当教員:八塚 京子(YATSUZUKA Kyoko)
 担当教員の所属:大学院理工学研究科(工学系)電気電子工学分野
 開講学年:1年,2年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:博士前期課程 電気電子工学専攻  科目区分: 
【授業概要】
・テーマ
電気エネルギー自体は直接人類の役に立つものではないので、別な形のエネルギーに変換する必要がある。最も多く利用されているエネルギー形態は力学運動エネルギーである。基本式から出発し、電気エネルギーと力学運動エネルギーの変換過程を理論的に導き、実際のものにあてはめてゆく過程を理解する。
・到達目標
講義では以下の点に習熟することを目標とする。
(a) 装置の一部が動く系で、可動部の変位を考慮に入れた電磁気学的取り扱い。
(b) エネルギーと共エネルギーの概念から電磁気的な力を求める。
(c) 具体的な電気-力学結合系の例で、可動部の運動方程式を立てる。
(d) 運動方程式から、可動部の運動が平衡状態にあるときと平衡状態からわずかにずれたときの系の特性を評価する。
・キーワード
電磁気学・力学・電気力・運動方程式・モデル化・微分方程式・平衡状態・線形化

【科目の位置付け】
これまで別々に学んできた電磁気学と力学を結合させて学ぶ。
・電気力学の基礎となる科目:工業数学(学部)(常微分方程式、ベクトル解析)、力学(学部)、電磁気学 I (学部)

【授業計画】
・授業の方法
90分の講義時間に、講義と共に小テストや演習を課す。適宜、レポートを課し、自習を促す。
・日程
第 1-3 週 はじめに/電磁気学の整理      第 4-5 週 力学系(並進系の運動方程式)
第 6-8 週 キャパシタンスの一般化/エネルギーと力/電気-力学系の結合(電界系・並進系)
第 9 週 中間試験               第 10-12 週 線形微分方程式の解法/平衡と安定性
第 13-14 週 さまざまな静電気現象の例と演習  第 15 週 期末試験

【学習の方法】
・受講のあり方
◎授業で取り上げることのできる例は限られる。また、図や式が多く、ゆっくりと板書している余裕がないので、教科書を必ず持参して常に参照できるようにする。
◎学部時代に習った電磁気学 I および力学の内容は、思い出させる程度に復習するだけなので、各自、事前に復習しておくこと。
◎疑問に感じるところはすぐにでも質問する。授業中に課す小テストには積極的に取り組むこと。
◎レポートは授業開始前に提出すること。
・授業時間外学習へのアドバイス
◎予習:学部の電磁気学 I および質点系の力学、剛体の力学等、高校、大学初学年の物理学で習ったことを復習することが、この講義の予習につながる。
◎復習:講義は数週間前に解いた例題の結果から出発し、さらに発展させてゆくことが多い。また、重要視しているのは考え方なので、式を暗記するよりも、説明の流れを理解するように努めること。質問は機会があればいつでも受け付ける。

【成績の評価】
・基準
(a) 装置の一部が動く系で、準静的なマクスウェルの方程式を適用し、可動部の変位を考慮に入れて、ガウスの法則から出発して電極上の電荷を筋道を立てて求める。
(b) エネルギーと共エネルギーの概念から電磁気的な力を求める。
(c) 可動部の運動方程式を立てる。
(d) 運動方程式から、可動部の運動が平衡状態にある条件を求め、系の安定性を評価する。
・方法
レポート:15点、中間試験:40点、期末試験:45点、合計点:100点満点、合計点が60点以上で合格とする。
授業中に不定期に行うクイズにより、授業への取り組み・授業中の理解度を評価しながら授業を進める。クイズの出席状況が70%以下の者は評価の対象外とする。何回か課すレポートの合計点と中間試験、期末試験を上記の配点で換算して合計したものを成績とする。

【テキスト・参考書】
【テキスト】浅野和俊、電気-力学システムの基礎と応用、養賢堂、2884円
【参考書】H. H. WOODSON & J. R. MELCHER, ELECTROMECHANICAL DYNAMICS, vol. I JOHN WILEY & SONS, INC.

【その他】
・学生へのメッセージ
◎考え方を重視する。別個に学習してきた複数の講義をもとに問題にぶつかったときの切り抜け方を学んで欲しい。
◎学部で学んだ電磁気学 I と、力学を結合させた問題である。それぞれ復習しておくこと。
・オフィス・アワー
八塚(kyoko@yz.yamagata-u.ac.jp)居室:7号館231号室(16:00~17:00) 担当教員の専門分野:静電気工学/物理計測工学

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