表象文化概論
 Introduction to Studies of Representational Culture
 担当教員:柿並 良佑(KAKINAMI Ryosuke)
 担当教員の所属:人文社会科学部人文社会科学科人間文化コース
 開講学年:2年,3年,4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
「表象文化論の方法と実践」入門編
 表象文化論とは、ジャンルの領域を越えて、さまざまな文化現象を横断的・包括的に考えていこうとする学問分野です。「ハイカルチャー」、つまり文学や絵画といった従来から学問の研究対象となってきたジャンルから、写真、映画、マンガ、アニメ、CM、広告ほか「サブカルチャー」に位置づけられてきたジャンルまで、哲学や記号学、精神分析、メディア論といった方法を用いて、具体的に分析していきます。
 この講義では、表象文化論の方法論や基礎的な概念を学びます。理論的な概論に加え、随時、具体的な作品分析を取り入れていきます。

【授業の到達目標】
 1.表象文化論の基本的な方法論と概念が理解できる。
 2.作品分析の具体的な方法を身につけ、実践できる。

【授業概要(キーワード)】
表象 記号 境界 ナラティヴ(語り) 身体 メディア テクスト イメージ 構造

【科目の位置付け】
カリキュラム・ポリシーとの関係については、「カリキュラム・マップ」を参照し、よく理解したうえで履修してください。

【授業計画】
・授業の方法
講義形式を主とするが、受講生からの質問・意見に対する応答の時間を作り、対話的な授業展開を目指します。
・日程
1.イントロダクション:表象とは何か
2~3.20世紀以降の思想と言語論的転回:ソシュール言語学と記号概念の刷新
4~5.記号論とその応用:ロラン・バルトの広告分析
6~9.「構造」とは何か:映像作品で読み解く構造主義
10~12.「身体」はどのように表象されているか:私の身体/私のものではない身体
13 表象(不)可能性と表象の倫理――『Shoah』の衝撃
15.まとめ
(なおとりあげる内容、順番については受講者の関心と理解度に応じて変更する可能性がある。)

【学習の方法】
・受講のあり方
教員が提示する資料を参考にしつつ、重要事項をノートしてください。質問・意見票を配付しますので、疑問や意見を積極的に書いてください。授業時間前後やオフィスアワーでの質問も歓迎します。
多読・精読・乱読、さまざまな読み方で授業時間外に積極的に学び、考えること。授業は一つのアイディアを得る場であり、そこで勉強が完結することはありえません。
・授業時間外学習へのアドバイス
随時参考文献を紹介するので、積極的に読書を進めてください。
授業時に紹介された文献や作品、さらには関連作品に触れ、自分なりに考察して、理解を深めてもらいたいと思います。

【成績の評価】
・基準
知識の修得、理解の度合い、汎用的技能(論理的思考力、文章表現力)、参加の度合いそれぞれの項目について判定し、その合計点を用いて評価します。
・方法
授業時の意見・感想と学期末提出のレポートに基づいて総合的に評価します。レポートは複数のテーマの中から一つを選び作成します。
 特にレポートは(1)方法論や概念の理解(40点)、(2)作品分析への応用力(40点)を重点的に評価し、(3)その上で独自の観点が提出できるかどうか(20点)を見ます。

【テキスト・参考書】
特に指定しない。参考文献は随時紹介するが、入門として以下のものを読んでおくとよい。
・池上嘉彦ほか『文化記号論』講談社学術文庫
・橋爪大三郎『はじめての構造主義』講談社現代新書
・立川健二・山田広昭『現代言語論』新曜社

【その他】
・学生へのメッセージ
理論の修得は初めは難しいと感じることもあるかもしれないが、是非とも基礎を押さえて独創的な分析に挑戦してほしい。表象文化論という横断的なジャンルに取り組む意欲のある学生を歓迎します。
・オフィス・アワー
研究室(人文棟1号館4F)
kakinami @ human.kj.yamagata-u.ac.jp
詳細は開講に指示します。

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