文化人類学講義(一)
 Cultural Anthropolpogy Ⅰ
 担当教員:坂井 正人(SAKAI Masato)
 担当教員の所属:人文社会科学部人文社会科学科人間文化コース
 開講学年:2年,3年,4年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
モノと人をめぐる近年の人類学の考え方を理解することが、この授業の目的である。食べ物・服・家など身の回りのモノを抜きに、我々は自分の生活を語ることはできない。食べたり、着たり、住んだりすることでモノを利用するだけでなく、我々はそこに意味や価値を与えてきた。例えば、墓地を神聖な場所だと見なしたり、ラーメンを美味しいとか、不味いと評価する場合がこれにあたる。こうした事例では、人間の側がモノに対して与える影響が注目される。一方、近年の人類学では視点を少しずらして、人を翻弄させるモノが注目されている。例えば、物神崇拝や呪物崇拝と訳されるフェティシズム(fetishism)は、モノの側が人間に対して与える影響を前提にしている。また、聖地エルサレムをめぐって繰り返し勃発した戦争では、聖地という物理的な空間(モノ)が人間に影響を与えて、戦争を始めさせたとみることも可能である。この授業では、人に対して影響を与えるモノの力をめぐって、アフリカの土器と職人、バリ島の仮面と芸能、インドの占い師などの事例に注目する。

【授業の到達目標】
この講義を履修した学生は、モノと人をめぐる近年の人類学の議論を、アフリカ、バリ、インドなどの事例(土器、仮面、占い師)にもとづいて説明できる。

【授業概要(キーワード)】
モノ、土器、身体、仮面、占い師

【科目の位置付け】
カリキュラム・ポリシーとの関係については、「カリキュラム・マップ」を参照し、よく理解したうえで履修してください。

【授業計画】
・授業の方法
講義形式である。具体的な事例にもとづいて解説する。
・日程
1. ガイダンス
2. 人類学の静かな革命
3. モノの人類学
4. アフリカの土器と職人
5. バリ島の仮面と芸能
6. インドの占い師
7. その他

【学習の方法】
・受講のあり方
授業は講義を中心とする。ただし、漠然と講義を受けるのではなく、授業で扱われた事例を自分の日常生活に照らし合わせて考えてみる。また、質疑応答には積極的に参加する。
・授業時間外学習へのアドバイス
「予習のあり方」
参考書の該当箇所を授業前に読むとともに、疑問点をまとめておく。
「復習のあり方」
授業の内容を思い浮かべながらノートを整理する。

【成績の評価】
・基準
授業中の質疑応答、期末試験によって、知識の修得、理解の度合い、論理的思考力、文章表現力、参加の度合いのそれぞれの項目について判定し、その合計点を用いて判定する。基準は(1)モノと人をめぐる近年の人類学の議論を説明できる。(2)こうした議論にもとづいて、アフリカ、バリ、インドなどの事例(土器、仮面、占い師)について説明できる。
・方法
質疑応答(20パーセント)、期末試験(80パーセント)

【テキスト・参考書】
参考書:
春日直樹 (編)2011年『現実批判の人類学― 新世代のエスノグラフィへ』世界思想社
床呂郁哉・河合香吏(編)2011年『ものの人類学』京都大学学術出版会
吉田 ゆか子 2016年 『バリ島仮面舞踊劇の人類学』風響社

【その他】
・オフィス・アワー
木曜日12時30分~13時30分(坂井研究室)
sakai@human.kj.yamagata-u.ac.jp

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