芸術文化特殊講義
 Topics in Art History and Art Culture
 担当教員:石澤 靖典(ISHIZAWA Yasunori)
 担当教員の所属:人文社会科学部人文社会科学科人間文化コース
 開講学年:2年,3年,4年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分:文化解釈学コースA群 
【授業の目的】
「ヨーロッパ美術批評の系譜 ― 規範としてのラファエロ」
哲学の一分野としての「美学」が成立するのは18世紀ですが、西洋にはそれ以前から美術にかんする膨大な言説が蓄えられてきました。それはときに美術作品を事後的に描写する評論的内容のものもあれば、一方では同時代の芸術家たちの指針となるような芸術宣言ともいうべき未来志向の言説もありました。ヨーロッパ美術はそのような「美」にまつわる、イメージとテキストの相互的な方向付けによって形成されてきたといえます。とりわけ、時代を通じて「画家の模範」、あるいは「理想の美の体現者」として最高位の評価をもって賞賛され続けたラファエロは、ヨーロッパの美術論を読み解くうえで欠かすことのできない存在です。この授業では、各時代のラファエロ評価を議論の縦軸に据えながら、ルネサンス以降のヨーロッパにおける美術論の系譜をたどり、西洋人の美意識の根幹と変容の流れを考察します。

【授業の到達目標】
西洋における芸術の根幹となる批評基準が理解できるようになります。視覚的なイメージを言葉により記述するための方法論が身につきます。

【授業概要(キーワード)】
美術 批評 美学 芸術論 ラファエロ 古典主義 規範

【科目の位置付け】
カリキュラム・ポリシーとの関係については、「カリキュラム・マップ」を参照し、よく理解したうえで履修してください。

【授業計画】
・授業の方法
一回につき一つのテーマを割り当て、スライドを見ながら話を進めます。
・日程
以下の流れにそって、講義をおこないます。
 ガイダンス
 規範としてのラファエロ
 美術批評の成立-ヴァザーリ『芸術家列伝』
 ミケランジェロの「テリビリタ(怖ろしさ)」とヴェネツィアの色彩主義
 ジュリオ・ロマーノとマニエラの美学
 芸術のモラル ― バロック美術の始動
 イタリア・バロックの美術批評 ― ベッローリとボスキーニ
 色彩論争から新旧論争へ
 文字とイメージ ― 18世紀フランスの感情美学
 新古典主義の美学
 ロマン主義の興隆とアカデミズムの凋落
 ロマン主義の中世回帰とラファエル前派
 まとめ
※進捗状況により順番および一部内容を変更する場合があります。

【学習の方法】
・受講のあり方
毎回、スライドで作品を提示しながら問題点を論じてゆきます。配布資料はレジュメではないので、各自、ノートに要点をまとめるよう心がけてください。
・授業時間外学習へのアドバイス
講義でとりあげた作品に関し、様式の特徴や時代背景などを自分なりに調べ、幅広い知見を身につけることが望ましいです。

【成績の評価】
・基準
授業への取り組み(平常点)と期末レポートにより、知識の修得、理解の度合い、汎用的技能(論理的思考力、文章表現力)、参加の度合いを判定します。基準は、1) 西洋における批評的概念を把握している、2)視覚イメージを言語で的確に記述することができる、の二点です。
・方法
学習意欲(30%)、筆記試験(70%)
学習意欲は、出席状況や質疑応答への積極的な参加などにより判断します。筆記試験では授業の内容に対する理解度と論理的な文章構成力を評価します。

【テキスト・参考書】
テキストは特に指定しません。配布資料を使って話を進めます。
参考書については講義内で随時紹介します。

【その他】
・オフィス・アワー
金曜日16:20-17:50 (その他在室時随時)石澤靖典研究室(1号館4階)
メールアドレス:ishizys@human.kj.yamagata-u.ac.jp

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