フランス文化論
 French Culture, Culture francaise
 担当教員:合田 陽祐(GODA Yosuke)
 担当教員の所属:人文社会科学部人文社会科学科グローバル・スタディーズコース
 開講学年:2年, 3年, 4年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
テーマは内面性の表象。
フランス近代文芸の探求とは心理描写の探求でもあるのだが、それが沸点に達する19世紀後半の文学と美術を対象とする。夢や記憶、無意識や仮想現実、独身者や幽体離脱といったトピックを取りあげ、そこに通底する現実社会の否認と、内面世界の礼賛に関する様々なモデルを検討する。
世紀転換期にいたるフランス視覚文化の基礎的な知識を得るとともに、ときにはそれを現代日本の文化に接続して、理解をさらに深めることを本講義の目的とする。

【授業の到達目標】
学生はこの講義を履修することで、
1. 19世紀後半を中心とする近代フランス視覚文化の基礎知識を獲得し説明できるようになる。
2. 個別の作品の解釈を通して思潮を説明するアプローチを身につけられる。

※ 2に関して、19世紀後半の芸術家たちが精神世界ないし閉鎖社会を重視した動機を、安易に当時のフランスの社会的背景に求めることは避け、代わりに作品との対話を通して考える姿勢を身につける。

【授業概要(キーワード)】
近代社会、視覚、文化、表象、文学、美術、反物質主義、後期印象派、オカルティスム、独我論、現代日本のサブカルチャー

【科目の位置付け】
カリキュラム・ポリシーとの関係については、「カリキュラム・マップ」を参照し、よく理解した上で履修してください。

【授業計画】
・授業の方法
資料・文献を豊富に紹介しつつ進める。イメージを見たり、抜粋テクストを読んだりすることで、対象の総合的な理解に努めます。また受講生からの質問・意見票に対する応答の時間を作る。
・日程
初回の導入以降、授業で扱う個別の事例として以下を予定している。

1. イントロダクション
2. 平坦になったキリスト
3. 星の世界への旅行
4. 蛮族と無意識
5. 独身者と人造美女
6. つぶやきが物語になるとき
7. まとめ

※ 理解度、受講者の関心に応じて一部内容・順序を変更することがある。

【学習の方法】
・受講のあり方
WebClassで配付される資料を印刷して、重要事項をノートしてください。授業時間前後やオフィスアワーでの質問も歓迎します。授業中の睡眠学習や瞑想はむろん厳禁(欠席とみなします)。
フランス語の知識はとくに必要としませんが、フランスの事象を扱うため、フランス語を履修していれば理解はより深まるはずです。
・授業時間外学習へのアドバイス
授業やWebClassで紹介した文献を積極的に読むようにしてください。また分からないことがあれば授業の前後や意見票などで質問してください。

【成績の評価】
・基準
到達目標に掲げた2つの達成度に関しては、期末レポートで判断する。1に関しては、自分の言葉で説明できているかを見る。2については、授業で学んだアプローチ法が身に付いているかを見る。
参加点と期末レポートの点数をあわせ、規定点に達した者を合格とする。
・方法
出席回数、授業時の意見・感想、学期末提出のレポートの3つに基づき総合的に評価します。レポートの質は、(1)授業内容を理解できているか、(2)関連する文献を読み込んでいるか、(3)説得性のある考察ができているか、の3点から判断する。

【テキスト・参考書】
読み物としては下記の(1)と(2)、総合的な理解には(3)が役立つ。
(1)高階秀爾『世紀末芸術』ちくま学芸文庫
(2)湯沢英彦『魂のたそがれ』水声社
(3)ジャン・ピエロ『デカダンスの想像力』白水社
その他、授業やWebClassで適宜文献を紹介します。

【その他】
・学生へのメッセージ
絵画など広く視覚文化に興味を持つ学生を歓迎する。テーマは内面性だが、象牙の塔に住むモナドを肯定するわけでも、批判するわけでもない。もし社会に居心地の悪さを感じている人がいたら、その理由を考えるきっかけとなればと考えている。それはとくに感じていない人も歓迎する。
・オフィス・アワー
初回の授業で指示する。

10832049-2017-01-13149