【授業の目的】
「美術とパトロン」 美術の長い歴史をみるとき、〈作品〉とそれを制作した〈作者〉の役割が重要なのはいうまでもありませんが、同時に芸術家に仕事を注文し、彼らの活動を支援した〈パトロン〉の存在も忘れることはできません。近年の芸術研究において必ずといってよいほど考察の対象となる〈作品の受容〉という観点がここから開けてくるからです。「注文主」とも「芸術庇護者」とも訳されるこの〈パトロン〉と美術の関係について、この授業ではいくつかの参考文献にもとづきながら学んでゆきます。
【授業の到達目標】
芸術作品が成立する際に、それを「注文」し、「享受」したパトロンの役割とその重要性が理解できる。また、文化と社会の密接な関連性を考察し、構造を明らかにすることができる。
【授業概要(キーワード)】
美術 注文 パトロン 受容者 芸術保護 メセナ
【授業計画】
・授業の方法
各回の担当者は以下の二つの作業をおこないます ―〔1〕テキストのなかの一章について補足をまじえながら説明します。〔2〕その内容を発展させ、自分の関心から選んだ美術作品や視覚イメージについて具体的な分析や解釈を提示します。その後、受講者全員でディスカッションをおこない、議論を深めてゆきます。また〔2〕の内容については期末にレポートで提出してもらいます。
・日程
受講者の数と関心にしたがって日程を決定します。 上記〔1〕については 浅井和春監修『イメージとパトロン―美術史を学ぶための23章』(ブリュッケ、2009年)および他の研究書(雑誌論文を含む)をテキストとして使用し、受講者の数と関心にしたがって日程を決定します。 2回目の発表はテーマを自由に選ぶことができますが、論の組み立てに困難を感じる場合は以下の文献の一章に準拠し、内容を発展させても構いません ― 高階秀爾『芸術のパトロンたち』(岩波新書)、松本典昭『パトロンたちのルネサンス』(NHKブックス)、ローナ・ゴッフェン『ヴェネツィアのパトロネージ』(三元社)、雑誌『西洋美術研究』(三元社)の諸論文など。
【学習の方法】
・受講のあり方
発表者は割り当てられたテーマとそれにかかわる代表的作例をできるだけ調査し、特徴をよく観察することが求められます。テキストの内容を正確に理解すると同時に、自分の関心にあわせて論点を発展させることが重要です。また他の履修者には議論への積極的な参加が望まれます。
・授業時間外学習へのアドバイス
テキストが事前に手に入る場合は、必ず該当箇所を読んでくるようにしてください。 ディスカッションの内容をもとに、最終的に自分の論がレポートのかたちになるまで検討してください。
【成績の評価】
・基準
授業への取り組み(平常点)と期末レポートにより、知識の修得、理解の度合い、汎用的技能(論理的思考力、文章表現力)、参加の度合いを判定します。基準は、1) 美術作品におけるパトロンの重要性を把握している、2) 文化現象と社会との関係をさまざまな事例を通してとらえることができる、の二点です。
・方法
発表内容(40%)、授業への参加度(30%)、レポート(30%) 調査の度合いと発表の内容、ディスカッションへの参加度、期末のレポートにより評価します。
【テキスト・参考書】
上記をテキストとして使用しますが、本の購入は任意とします。 随時、授業で紹介します。
【その他】
・オフィス・アワー
金曜日16:20-17:50 (その他在室時随時)石澤靖典研究室(1号館4階) メールアドレス:ishizys@human.kj.yamagata-u.ac.jp
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