時事ドイツ語
 Current German Usage
 担当教員:渡辺 将尚(WATANABE Masanao)
 担当教員の所属:人文社会科学部人文社会科学科グローバル・スタディーズコース
 開講学年:2年,3年,4年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:演習
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
歴史家論争30年-改めて論争の意味を問い直す
1986年、主に新聞という場を使って、いわゆるドイツの「負の遺産」をいかに受け止めるべきかという問題をめぐって激しい論争が闘われた。これを「歴史家論争」という。問題の発端は、歴史学者エルンスト・ノルテが、ナチズムによるユダヤ人の大量虐殺を、スターリンによる粛清の単なるコピーであると発言したことによる。そこに真っ先に反論したのは、思想家ユルゲン・ハーバーマスであった。
本演習では、当時の論客たちの見解に直接触れ、ドイツ人たちが「負の遺産」にいかに苦悩し、そこからどのような答えを導き出してきたか、読み解いていく。また、そのような答えに問題はないのか、その点についても考察したい。

【授業の到達目標】
文法学習用に作られたドイツ語ではなく、ドイツ人が実際に使用する生のドイツ語について、その大意をつかむことができるようになる。

【科目の位置付け】
カリキュラム・ポリシーとの関係については、「カリキュラム・マップ」を参照し、よく理解した上で履修すること。

【授業計画】
・授業の方法
1回の授業は、以下のように構成される。
0.予習
前の回に配付される「予習プリント」に従って行う。次回使用する単語の理解が中心となる。
1.必要に応じて背景説明
2.文章読解・考察(1回に扱う量は、7行前後を予定)
※必要に応じて文法説明
配付されるプリント(「本文プリント」)には、あらかじめ授業者による「読解のためのヒント」が掲載されている。まずはそれに従って注意点を確認した上で、読解作業に入る。
3.練習問題
「復習プリント」により、その日に学んだ文法事項・表現を復習し、実際に自分でも使える(つまり、それを使って会話できる)ものにする。
4.次回の「予習プリント」配付
・日程
※代表的な論客の見解を、ほぼ発表順に取り上げていく。この問題における2大論客(ノルテとハーバーマス)については、それぞれ2回ないしは3回の時間を割くが、それ以外はほぼ1回ずつとなる。
※以下のタイトルから、その人物がノルテ側か、ハーバーマス側か分かるだろうか。ある程度予想を立ててから各回の授業に臨むのも面白いかもしれない。
1.論争の発端-エルンスト・ノルテ
「1980年の視角から見た第三帝国」「過ぎ去ろうとしない過去」
2.ミヒャエル・シュテュルマー「歴史なき国における歴史」
3.最初の批判者-ユルゲン・ハーバーマス「一種の損害補償」
4.ヨアヒム・フェスト「負債としての記憶」
5.ユルゲン・コッカ「ヒトラーの記憶は、スターリンとポル・ポトを持ち出すことで抑圧・排除されてはならない」
6.アンドレアス・ヒルグルーバー「研究には禁じられた問いはないはずである」
7.再反論-ユルゲン・ハーバーマス「歴史の公的使用について」

【学習の方法】
・受講のあり方
説明をよく聞く
・授業時間外学習へのアドバイス
次回の予習をするとともに、前の回でとりあげた範囲をもういちど読み直しておくこと。

【成績の評価】
・基準
主体的な参加の度合い、知識の修得の度合い、理解の度合い、汎用的技能(論理的思考力・文章表現力など)取得の度合いのそれぞれの項目について判定し、その合計点を用いて評価する。
・方法
授業への取り組みとレポートによる。授業への取り組みでは、主に主体的な参加の度合い、知識の修得の度合い、理解の度合い、レポートでは主に汎用的技能(論理的思考力・文章表現力など)取得の度合いを見る。
授業への取り組み60点、レポート40点
※ただし、レポート提出は必須。また、全授業時数の3分の2以上出席していなければならない。

【テキスト・参考書】
プリントを配付する。
また、教員が文法表を持参し、必要に応じて黒板上に提示する

【その他】
・学生へのメッセージ
1.1年次で扱われなかった(あるいはあまり時間がかけられなかった)文法がある場合、事前に申し出てもらえば、授業内で当該文法について説明する機会を設ける
2.外国語学習は、それ自体で十分目標になり得るが、同時にいろいろな問題を考えるための非常に有効な手段でもある。本演習では、そのどちらの側面をも視野に入れ、両者の相乗効果をねらう。つまり、ドイツ語文をきっかけに問題を考えることによって、ドイツ語能力が向上し、また、ドイツ語能力が向上することによって、さらに様々な問題をより深く考察できるようになる。
・オフィス・アワー
木曜日12時〜13時、渡辺将尚研究室
ただし、会議・出張等が入ることがある。事前にメール等での照会を勧める。

10833110-2017-01-13310