財政学(前期)
 Public Finance
 担当教員:坂本 直樹(SAKAMOTO Naoki)
 担当教員の所属:人文社会科学部人文社会科学科経済・マネジメントコース
 開講学年:3年,4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
「租税と公債」
財政は、政策を行うための支出である歳出と、その財源である歳入とに大きく分けることができる。この講義では、財政学における歳入のトピックを中心に学ぶ。この講義の目的は、第一に、理論的あるいは規範的な観点から財政に求められる役割を整理し、財政の基本的な仕組みを理解することである。第二に、歳入の大部分を構成する租税と公債について学び、わが国の政府債務の累積が巨額となる中、最近、関心が高まっている公債についての理解を深める。講義では、公債発行による財源調達は、財政の持続可能性(財政が破たんするかしないか)とどのような関係にあるのか、租税による財源調達との間にどのような差異があるかなどについて解説する。第三に、租税に関して、公平、中立、簡素と呼ばれる租税原則と、応益、応能と呼ばれる課税根拠に関して理解する。

【授業の到達目標】
(1)財政の役割と基本的な仕組みを説明することができる。【知識・理解】
(2)財政学における公債と租税の理論に関する基本的な内容を説明することできる。【知識・理解】
(3)わが国の財政問題について、財政学における公債と租税の理論に基づき、自分の考えを整理して表現することができる。【技能、態度・習慣】

【科目の位置付け】
カリキュラム・ポリシーとの関係については、「カリキュラム・マップ」を参照し、よく理解した上で履修してください。

【授業計画】
・授業の方法
授業は板書による講義形式で行われる。講義概要と質問事項をまとめるレスポンス・カードの提出を課題として求める。質問事項には授業内で回答する。
・日程
第1回:財政の役割(unit 1)
第2回:財政の仕組み(unit 2)
第3回:公債(1)政府債務の種類と財政収支の見方(unit 26)
第4回:公債(2)財政の持続可能性とドーマー命題(unit 27)
第5回:公債(3)拡張されたドーマー命題と財政再建(unit 27)
第6回:公債(4)公債は負担となるか(unit 28)
第7回:公債(5)リカード=バローの中立命題(unit 28)
第8回:前半まとめ
第9回:租税(1)租税の基礎理論(unit 17)
第10回:租税(2)消費に対する課税(個別消費税の効果)(unit 18)
第11回:租税(3)消費に対する課税(消費課税と所得課税の等価性)(unit 18)
第12回:租税(4)所得に対する課税(所得の定義、所得課税制度)(unit 19)
第13回:租税(5)所得に対する課税(労働所得課税の効果)(unit 19)
第14回:租税(6)法人に対する課税(法人課税の根拠、法人税の投資への影響)(unit 20)
第15回:後半まとめ
※unitはテキストに対応する。

【学習の方法】
・受講のあり方
知識の修得、理解の度合い、参加の度合いを評価するために、レスポンス・カードに講義概要(ポイント)をまとめてもらうので、集中して講義を聴くこと。また、レスポンス・カードにより質問を受けるので、疑問に思うことはメモを取りながら講義を聴くこと。もちろん、口頭による質問も受ける。
・授業時間外学習へのアドバイス
テキストを通読して授業に臨み、授業後はテキストを精読してノートを整理すること。この際、テキストの各unitの終わりに要約があるので活用すること。

【成績の評価】
・基準
期末試験とレスポンス・カードにより、知識の修得、理解の度合い、汎用的技能(論理的思考力、文章表現力)、参加の度合いのそれぞれの項目について判定し、その合計点を用いて判定する。基準は、1)財政の役割と基本的な仕組みを説明することができる、2)財政学における公債と租税の理論に関する基本的な内容を説明することできる、3)わが国の財政問題について、財政学における公債と租税の理論に基づき、自分の考えを整理して表現することができる。
・方法
定期試験とレスポンス・カードにより100点満点で評価する。定期試験とレスポンス・カードのウェイトはそれぞれ80%と20%である。なお、定期試験には5題中4題に解答する記述式問題が出題される。定期試験の解答時間は60分である。

【テキスト・参考書】
テキスト:畑農鋭矢・林正義・吉田浩著,『財政学をつかむ[新版]』,有斐閣.2500円,2015年(財政学(後期)と同じテキスト)
参考書:『図説日本の財政』(各年度版),東洋経済新報社,2400円;『図説日本の税制』(各年度版),財経詳報社,2100円.

【その他】
・オフィス・アワー
木曜日13:00~14:30

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