地方財政論(後期)
 Local Public Finance
 担当教員:坂本 直樹(SAKAMOTO Naoki)
 担当教員の所属:人文社会科学部人文社会科学科経済・マネジメントコース
 開講学年:3年,4年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
「地方財政の経済理論」
この講義では、地方財政の経済理論の基礎的な内容を理解することを目的とする。第一に、規範的に財政に求められる役割のうち、地方財政に求められる役割について、オーツの分権化定理やティブーの足による投票に基づいて解説する。第二に、財政的外部性について、租税競争や移住外部性による非効率と、それに対する国家財政の役割および地域間所得移転の必要性について解説する。第三に、地方財政への補助金について、定率補助金と定額補助金がもたらす効果の違いやソフトな予算制約の問題について解説する。第四に、最適な自治体規模の理論について解説する。

【授業の到達目標】
(1)オーツの分権化定理やティブーの足による投票に基づいて、地方財政の役割を説明することができる。【知識・理解】
(2)財政的外部性やソフトな予算制約の考え方に基づいて、地域間所得移転の必要性やそれが抱える問題に関する基本的な内容を説明することができる。【知識・理解】
(3)最適自治体規模に関する基本的な内容を説明することができる。【知識・理解】
(4)地方財政の経済理論に基づいて、今後のわが国の地方財政のあり方について自分の考えを整理して表現することができる。【技能、態度・習慣】

【科目の位置付け】
カリキュラム・ポリシーとの関係については、「カリキュラム・マップ」を参照し、よく理解した上で履修してください。

【授業計画】
・授業の方法
授業は板書による講義形式で行われる。講義概要と質問事項をまとめるレスポンス・カードの提出を課題として求める。質問事項には授業内で回答する。
・日程
第1回:地方財政の役割
第2回:地方公共財という公共財
第3回:分権化定理
第4回:足による投票
第5回:資本化仮説と資産課税
第6回:地方債の理論
第7回:前半まとめ
第8回:財政的外部性
第9回:租税競争
第10回:移住外部性
第11回:地域間所得移転
第12回:定額補助金と定率補助金
第13回:ソフトな予算制約
第14回:最適人口規模
第15回:後半まとめ

【学習の方法】
・受講のあり方
知識の修得、理解の度合い、参加の度合いを評価するために、レスポンス・カードに講義概要(ポイント)をまとめてもらうので、集中して講義を聴くこと。また、レスポンス・カードにより質問を受けるので、疑問に思うことはメモを取りながら講義を聴くこと。もちろん、口頭による質問も受ける。
・授業時間外学習へのアドバイス
配付プリントを通読して授業に臨み、授業後は配付プリントを精読してノートを整理すること。説明に図や式を用いるので、実際に書いてみたり、計算してみたりすること。

【成績の評価】
・基準
期末試験とレスポンス・カードにより、知識の修得、理解の度合い、汎用的技能(論理的思考力、文章表現力)、参加の度合いのそれぞれの項目について判定し、その合計点を用いて判定する。基準は、1)オーツの分権化定理やティブーの足による投票に基づいて、地方財政の役割を説明することができる、2)財政的外部性やソフトな予算制約の考え方に基づいて、地域間所得移転の必要性やそれが抱える問題に関する基本的な内容を説明することができる、3)最適自治体規模に関する基本的な内容を説明することができる、4)地方財政の経済理論に基づいて、今後のわが国の地方財政のあり方について自分の考えを整理して表現することができる。
・方法
定期試験とレスポンス・カードにより100点満点で評価する。定期試験とレスポンス・カードのウェイトはそれぞれ80%と20%である。なお、定期試験には5題中4題に解答する記述式問題が出題される。定期試験の解答時間は60分である。

【テキスト・参考書】
テキスト:プリントを配布する。
参考書:畑農鋭矢・林正義・吉田浩著,『財政学をつかむ[新版]』,有斐閣.2500円,2015年

【その他】
・オフィス・アワー
木曜日13:00~14:30

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