国際経済論(前期)
 International Economics
 担当教員:亀井 慶太(KAMEI Keita)
 担当教員の所属:人文社会科学部人文社会科学科経済・マネジメントコース
 開講学年:2年,3年,4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
第二次大戦以降、急速に国際間の経済的な結びつきが強まり、現在では世界全体のGDPに占める貿易総額の割合は約20%にまで達しています。自由貿易が拡大することで、我々は外国の広いマーケットに進出する機会を獲得したり、様々な商品を購入・消費することができるようになりました。しかしその一方で自由貿易は、自国内の企業を弱体化させ、国内の所得格差・失業者を生み出す元凶となっていると批判されることも少なくありません。本講義では経済学の分析ツールを用いて、自由貿易の拡大は各国に対してどのような利益がもたらすのか、そして自由貿易は各経済主体・経済厚生に対してどのような影響を及ぼしうるのか、について考察することを目的とする。
 本講義では、財・サービスの国際取引に焦点を当てる国際貿易論を取り扱います。国際経済論で用いられる基礎理論について講義を行います。具体的には、3つのテーマ【比較生産費説】、【産業内貿易理論】、【貿易政策】について講義を行い、それぞれがどのように貿易の利益をもたらしうるのかについて理解する。

【授業の到達目標】
本講義では、以下の点について経済学的に理解・説明できるようになる。
(1)国際貿易はなぜ行われるのかについて理解できる。(知識)
(2)国際貿易によって、誰が得(損)をするのかについて、自分で分析できる。(技能)
(3)様々な貿易政策によって、どの経済主体が得(損)をするのかモデルを用いて説明することができる。(技能)

【授業概要(キーワード)】
比較生産費説、産業内貿易理論、フラグメンテーション、戦略的貿易政策、保護貿易

【科目の位置付け】
カリキュラム・ポリシーとの関係については、「カリキュラム・マップ」を参照し、よく理解したうえで履修してください。

【授業計画】
・授業の方法
講義資料を配布し、スライドと板書を併用しながら講義を行います。なお授業内容に関連したレポートを課す予定です。
・日程
1:イントロダクション
2:比較優位の考え方と身近な例
3:比較優位と国際貿易
4: 貿易利益
5: 比較優位の決定要因
6: 産業間貿易と産業内貿易
7: 規模の経済、製品差別化、フラグメンテーション
8: 関税・輸入割当の効果
9: 保護貿易を擁護する

【学習の方法】
・受講のあり方
国際経済学は、単純な論理が幾重にも重なることで突如として見通しが悪くなることが(よく)あります。「今の講義で明らかにしようとしていること」を忘れないようにしてください。講義内容を忘れないためにもメモを取ることをおすすめします。
・授業時間外学習へのアドバイス
事前に教科書を読んで、わかりにくいポイントを把握しておくことが望ましいです。講義後は、配布資料や教科書で展開されている論理を改めて追ってみてください。特に、図やグラフの示している意味を正確に解釈できるようにしておいてください。

【成績の評価】
・基準
主体的な参加の度合い、知識の修得の度合い、理解の度合い、汎用的技能の習得の度合いを総合して評価する。
・方法
授業に対する質問・コメント(10%)+レポート提出(30%)+期末試験(60%)で評価します。

【テキスト・参考書】
講義資料を配布します。講義内容はほとんど以下の教科書に準じています。
教科書:石川城太 他『国際経済学をつかむ[第2版]』有斐閣、2376円、(2013)
その他の参考文献については一回目のガイダンスの際に紹介する予定です。

【その他】
・学生へのメッセージ
「ミクロ経済学」は国際経済論の基礎理論ですので、並行して学習することで理解が深まると思います。国際経済学はその射程範囲の広さもあって、一見すると難解で分析の糸口がないように思われがちですが、一つ一つの論理を丁寧に読み込んでいけばかなり多くのことを理解できます。本講義を通じて、ほんのすこし広めに経済を捉える視点を提供したいと思います。
・オフィス・アワー
火曜日の13:00-16:10, 亀井研究室

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