地域政策論(前期)
 Regional Policy(1st semester)
 担当教員:山本 匡毅(YAMAMOTO Masaki)
 担当教員の所属:非常勤講師(相模女子大学人間社会学部)
 開講学年:2年,3年,4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
「地域政策」とは地域問題を把握し、その解決を図る政策のことであり、経済学、行政学、法律学、地理学、社会学をはじめとして、既存の学問体系を横串しにする社会科学の学際的な領域である。地域政策は、地域で暮らしている市民を中心として、行政、企業、NPOなどを巻き込み、その地域をより良くしていく取り組みに役に立つ学問である。地域政策は、行政の主導ではなくなり、市民が主体的に政策づくりに関与していくことが非常に大事になっており、このような地域政策への理解を深め、市民として実践する基礎を身につけることを授業の最終目標としている。本講義は、豊かな地域を実現するために必要な生活環境の改善と雇用の基盤となる産業活性化を両輪として、具体的な事例を通して、地域政策の基礎理論と実践の方法を習得することを目的とする。受講生には、授業へ積極的に参加するとともに、居住地域や旅行先の都市・地域でその「まち」や「むら」のことに興味を持ち、「まち」や「むら」がどのように形成されているのか、常に考えるようにすることを希望する。

【授業の到達目標】
地域政策論(前期)を履修した学生は、以下のことができるようになる。
(1)履修学生は、人口減少社会の下で大都市や地方で深刻になっている地域課題を具体的に指摘できる。
(2)履修学生は、人口減少が進む地域社会において、現実に発生している地域課題の特性や要因を調べることができる。
(3)履修学生は、地域住民が困っている地域課題に対して、地域住民と連携して課題解決の実践を助けることができる。

【授業概要(キーワード)】
地方創生 地域格差 東京一極集中 クラスター 買い物弱者

【科目の位置付け】
カリキュラム・ポリシーとの関係については、「カリキュラム・マップ」を参照し、よく理解したうえで履修してください。

【授業計画】
・授業の方法
基本的に教科書と配布資料をもとにした講義形式で行う。1テーマを1回の講義で解説を行う。本講義は、伝統的な社会科学の知見をベースとしながら、現実の地域問題を事例として取り上げて分析を行う。講義では双方向性を高めるために、質問をするので積極的に答えてほしい。また講義の内容を理解しているかどうかをチェックするために、受講生に対して毎回の授業ごとにリアクションペーパーを課す。このリアクションペーパーでは当日の講義内容について答えてもらう。また講義内容の疑問点や質問も書いてもらう。可能な限り、リアクションペーパーの質問内容は講義に反映させるようにする。
講義はおおむね以下のように進める。
①前回の振り返り(約5分)
②講義(質疑応答あり)
③リアクションペーパーへの記入(最後の10分程度)
・日程
1.イントロダクション:身近な地域問題とは何か?
2. 経済発展と空間再編Ⅰ:経済と地域との関係【テキスト第1章1、2】
3.経済発展と空間再編Ⅱ:地域間分業の変化と地域システムの再編【テキスト第1章3、4】
4.産業立地論Ⅰ:経済活動がどこで行われるのか【テキスト第2章1、2】
5.産業立地論Ⅱ:経済活動の集中のメリット【テキスト第2章3、4】
6.都市システム論Ⅰ:霞ヶ関に中央省庁が集まる理由【テキスト第3章1、2】
7.都市システム論Ⅱ:グローバル経済・社会・文化と都市の関係【テキスト第3章3、4】
8.人口移動と地域Ⅰ:日本の人口と人口減少【テキスト第4章1、2】
9.人口移動と地域Ⅱ:人口減少の地域経済社会への影響【テキスト第4章3、4】
10.情報技術と地域システムⅠ:情報技術の発展と地域【テキスト第5章1、2】
11.情報技術と地域システムⅡ:グローバル化と土地の固有性(地域性)【テキスト第5章3、4】
12.産業集積の衰退と再生Ⅰ:工業の集中と地方分散【テキスト第9章1、2】
13.産業集積の衰退と再生Ⅱ:産業クラスター計画と産業集積の再生【テキスト第9章3、4】
14.商業の再生戦略Ⅰ:商業構造の変化と中心部の空洞化【テキスト第11章1、2】
15.商業の再生戦略Ⅱ:買い物弱者の発生とまちづくり【テキスト第11章3、4】

【学習の方法】
・受講のあり方
講義では毎回、テーマを設定する。講義受講までに教科書の指定箇所を熟読しておくこと。講義内では多くの板書を行うので、ノートテイクをしながら、問題点を意識しつつ内容を聞いていくようにしてほしい。リアクションペーパーでは当日の講義内容のおさらいをするので、集中して講義を聴くことが必要となる。また質問されたら、積極的に答えてほしい。
・授業時間外学習へのアドバイス
≪予習のあり方≫
テキストのうち、指定された箇所を事前に読み、関連する文献やサイトを調べる。また講義で取り上げられることが予告されたテーマについて新聞(朝日、読売、日経、山形等)の関連記事やwebサイトを読み、どのような地域問題が発生し、政策化されているか把握するようにしてください。
≪復習のあり方≫
1回の講義につき一つのテーマで講義をするので、講義終了後に講義ノートとプリントを踏まえながら講義内容の要約を作成するようにしてください。また分からない点は図書館やインターネットを用いて調べ、理解を深めておいてください。

【成績の評価】
・基準
本科目ではリアクションペーパー、レポートおよび試験の得点を合算し、絶対評価で成績を評価する。レポートでは単に知識を暗記しているのではなく、具体的な地域問題の要因を把握し、その基礎的な処方箋を論理的に描けるかどうかを確認する。これらに毎回のリアクションペーパーの内容(知識の正確さ、論理の正しさ、文章力、学習意欲(質問等))の評価を加える。評価で重視する基準は、①論理性、②知識の理解、③授業への積極さである。
・方法
本科目の成績評価では、主体的な参加の度合い、知識の修得の度合い、理解の度合い、汎用的技能(論理的思考力、文章表現力)の習得の度合いを基準とします。そのためにリアクションペーパー45点、レポート55点、合計100点の配分で評価します。

【テキスト・参考書】
【テキスト】
山﨑朗・杉浦勝章・山本匡毅・豆本一茂・田村大樹・岡部遊志(2016年)『地域政策』中央経済社。
また毎回、資料を配布するので収集するようにすること。
【参考書】
毎回の講義内で適宜、紹介する。

【その他】
・学生へのメッセージ
数年前から地方創生への注目が続いています。地域生活が豊かになるためには何が必要か、学生自身が考える契機を得られるような講義になるよう心がけます。
・オフィス・アワー
講義終了時に質問に対応します。それ以外の時間は、講義で案内するメールにて予約をしてください。

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