国際協力論
 International Cooperation
 担当教員:今村 真央(IMAMURA Masao)
 担当教員の所属:人文社会科学部人文社会科学科グローバル・スタディーズコース
 開講学年:2年,3年,4年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:演習
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
本授業では、まず(1)貧困削減・平和構築についてミャンマーの事例を通して国際協力の可能性・方法・課題を議論し、そして(2)地域に根ざした国際協力の実践について山形の団体から直接学びます。
前半は、東南アジアのミャンマーに焦点を移し、この国が直面している貧困削減と平和構築を分析し、外国の政府や組織がどう貢献できるか可能性と方法を論じます。後半は、山形市の団体「山形国際ドキュメンタリー映画祭」を取り上げ、イベントと組織の運営など、山形での国際協力がどう実践されているか具体的に調査します。

【授業の到達目標】
1)貧困・紛争問題の基礎を現場の視点から検討し、国際協力の可能性を批判的に分析できること、(2) 国際協力の実践について実践的知識を身につけること(4)複雑な倫理問題と政治問題について自分なりの見解を文章でも口頭でも表現できる力を身につけること。(4)独自の調査を行い、ウィキペディア等に掲載できるようなわかりやすい文章を作成できること、(5)授業及びウェブクラスでの討論に積極的に参加し、能動的な学習能力を身につけること。

【授業概要(キーワード)】
少数民族、天然資源、民族紛争、宗教紛争、平和構築、東南アジア、ミャンマー、インド

【科目の位置付け】
カリキュラム・ポリシーとの関係については、「カリキュラム・マップ」を参照し、よく理解したうえで履修してください。

【授業計画】
・授業の方法
本授業では、前半部ではミャンマーの平和構築問題について、後半は山形国際ドキュメンタリー映画際という事例を通して国際協力の実践について学びます。
ミャンマーでは、民族紛争や宗教間抗争が続いています。カチンとロヒンギャという少数民族に焦点をあてて、紛争がなぜ終わらないのかと言う問いを念頭に、民族・宗教紛争の構造を理解します。またこれらの問題に関する国際協力の歴史を振りかえり、その効果を検証します。平和構築に向けて国際社会は何ができるかを検討します。(またロヒンギャというイスラームの少数派について学ぶことに関連付けて、仙台のイスラーム・コミュニティを訪問する予定です。)
後半は、山形国際ドキュメンタリー映画際については、この地元での取り組みの歴史を学ぶとともに、団体の方々(山大卒業生)から直接組織や運営について学びます。
・日程
1. イントロダクション:民族・宗教紛争と国際協力の可能性(シラバス完全版が配られます。履修希望生は必ずこの授業に参加してください)
2. ミャンマー・中国・インド国境地域の少数民族:カチン(高野秀行『西南シルクロードは密林に消える』抜粋)
3. ミャンマー 国境を越えるカチン民族(高野)
4. 山地少数民族による武力闘争:カチン(吉田敏弘『森の回廊』抜粋)
5. ミャンマーの民族紛争(吉田)
6. アジアの山地少数民族と武力闘争(アルンダティ・ロイ『ゲリラと森を歩く』抜粋)
7. 暴力と非暴力(ロイ)   小論文要旨提出(500字以内)
8. ミャンマー ムスリムとロヒンギャ
9. ミャンマー 日本からの開発支援・協力事業   小論文草稿提出(2500字以上)
10. 仙台イスラム文化センター訪問
11. 東北のムスリム  小論文最終稿提出(2500字以上)
12. 山形での国際協力:山形映画祭
13. 山形での国際協力:山形映画祭
14. 山形での国際協力:山形映画祭
15. 総括 これからの国際協力

【学習の方法】
・受講のあり方
前半部は、毎週課題文献が課せられます。これらは授業前に必ず読んできてください。規模が許す限りアクティブ・ラーニングの手法を取り入れるので、履修生による積極的な参加が求められます。プレゼンテーションや、少人数グループでの討議などを通して、お互いから学び合う能力を高めます。履修生はオンラインでの議論に参加することも求められます。
仙台イスラム文化センターへの訪問を予定しています。正確な日程は第一回の授業で告知されます。現地集合、現地解散になります。
・授業時間外学習へのアドバイス
各授業の最後に「感想・考察」を各履修生から5-10分程度で書いて提出してもらいます。

【成績の評価】
・基準
「主体的な参加の度合い」、「知識の修得の度合い」、「理解の度合い」、「汎用的技能の修得の度合い(論理的思考力、文章表現力など)」の4つの評価基準で評価します。
・方法
履修生には以下の2つの文章を提出してもらいます。
① 小論文 (2500字)
② ウィキペディアに掲載済みの、山形映画祭に関する文章(2000字以上)
成績評価の割合は以下の通りです。
①授業及びウェブクラスでの参加 30%
②小論文 40%
③ウィキペディア 30%

【テキスト・参考書】
テキスト
アルンダティ・ロイ『ゲリラと森を歩く』
参考書
吉田敏弘『森の回廊』、 高野秀行『西南シルクロードは密林に消える』、タンミンウー 『ビルマ・ハイウェイ: 中国とインドをつなぐ十字路』

【その他】
・学生へのメッセージ
アジアの各地では、まだ紛争が続いています。これらの紛争はなぜ続いているのか、一緒に考えてみませんか。
・オフィス・アワー
木曜日 14:00 - 16:00

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