物理数学Ⅰ
 Mathematics in Physics I
 担当教員:富田 憲一(TOMITA Norikazu)
 担当教員の所属:理学部物理学科
 開講学年:2年,3年,4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
ベクトル、行列、行列式、固有値問題などの線形代数について学ぶ。 高校で学んだ2次元行列や3次元ベクトルをn次元に一般化する。
物理を理解するのに必要となる数学の準備を線形代数を中心に行う。物理学には力・電場・磁場など大きさと方向を備えた量が現れる。これはベクトルと呼ばれているが、ベクトルは、こうした3次元的な空間イメージにとどまらず、多数の粒子から構成されるシステムを記述するときには、粒子の自由度や状態数だけの次元(当然3次元をはるかに超えている)を持つことになる。n次元に一般化された行列やベクトルの問題をきちんと取り扱えるようにする。

【授業の到達目標】
・3次元を超える次元を持ったベクトルや行列について一般的な性質を理解する。
・線形代数と物理学との関係について理解する。

【授業概要(キーワード)】
ベクトル、行列、逆行列、固有値

【科目の位置付け】
物理を活用する技術者に必要な数学に関する基礎的知識とそれらを応用する能力の獲得を目指した科目。物理を理解するためには、数学に知識が不可欠です。その中でも、線形代数は現代物理学を美しく理解し表現するために重要です。量子力学、とりわけ多体問題の定式化において大切です。

【授業計画】
・授業の方法
前半は主にベクトルについて、中半は行列について、後半では両者を組み合わせた数学について学ぶ。
適宜、物理との関連について説明する。また、演習を兼ねて小問題を出題する。
講義形式で、板書が基本だが、時折パワーポイントも利用する。
・日程
1~5ベクトル(内積、外積、一次独立と従属、正規直交化)
6~8行列とその性質
9~10行列式
11逆行列の求め方
12連立方程式
13 行列の固有値、固有ベクトル
14~15行列の対角化、試験

【学習の方法】
・受講のあり方
理解できないことは、友人と議論するか質問に来ること。授業中の質問はみんなのためになるので歓迎します。
・授業時間外学習へのアドバイス
予習は特に必要としない。
復習が大切です。納得するまで繰り返し勉強すること。手を動かして、何度も計算してください。頭で理解しているのと、実際に計算するのとでは大きなギャップがあります。がんばりましょう!

【成績の評価】
・基準
線形代数の概念を理解すること。計算力をつけること。
具体的には、ベクトルの1次独立の概念、正規直交化、行列式や逆行列を計算できるようにする。また、固有値問題と対角化の関係について理解し、正規直交化の知識も使って、実際の行列を対角化できるようにする。
文字式を用いた一般的な表現と、数字を用いた具体的な計算の両方を理解し、自分の手で計算できるようなれば合格です。
・方法
理解度を測るレポートを頻繁に出す(20~30%)+期末テスト(70~80%)。

【テキスト・参考書】
特定のテキストには従いません。
読んでピンと来るかどうかは個人差があります。各自でお気に入りの教科書と問題集を探すことをお勧めします。参考のためにいくつか挙げると
・教養の線形代数(村上正康、他、培風館)
(注)この参考書は初学者に分りやすく書かれた良い本ですのでお勧めです。但し講義はこの本の流儀には従っていません。
・線形代数入門(荷見守助、他、内田老鶴圃)
・ゼロから学ぶ線形代数(小島寛之、講談社)

【その他】
・学生へのメッセージ
大学の数学は高校とはかなり次元が違います。一方で、受験数学にありがちな、”無意味に複雑な”問題を解く必要はありません。高校で数学が苦手だった人も大学の数学ならわかるケースが良くあります。先入観を持たずにトライしてください。線形代数の美しい世界を楽しんでください。
ナノレベル(もしくはそれ以下)の粒子(原子、分子、電子、原子核等)の運動法則である量子力学は全体が線形代数で記述されていると言っても過言ではない。量子力学は現代物理学の中心の1つです.その理解のためにも線形代数をしっかり学んでほしい.
・オフィス・アワー
水曜日15時から16時(基本的にいつでも良い)

30200002-2017-03-32000