物理実験学
 Basic Knowledge for Experimental Physics
 担当教員:北浦 守(KITAURA Mamoru)
 担当教員の所属:理学部物理学科
 開講学年:2年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:物理学科  科目区分:選択科目 
【授業の目的】
実験で得られた数値を解析・評価したり、グラフなどを使って表現するための基礎的事項を学びます。測定したデータを評価することは、一見すると単純な作業のように思えるかもしれません。しかしこの過程では、測定方法の選択、測定系の構築、データの取得、取得データの直接的かつ間接的な評価、などにおいて「不確かさ」が必然的に生じます。この「不確かさ」を正しく評価しない限り折角の作業が無意味になりかねません。この講義では、「不確かさ」と上手く付き合うために必要な知識と技法を学びます。ここで学んだ内容は、物理実験だけでなく、卒業後の生産活動においてきっと役立つことでしょう。

【授業の到達目標】
(1) 不確かさの評価が正しく行える。
(2) 不確かさに関する分布関数を知る。
(3) 最小二乗法による関数のあてはめが正しく行える。

【授業概要(キーワード)】
不確かさ、精度、統計分布、信用度、最小二乗法、

【科目の位置付け】
物理実験に必要とされる基礎的な技術の修得と応用を目指す科目(物理学科教育目標)

【授業計画】
・授業の方法
プロジェクターを使った講義形式ですが、簡単な実験や演習も適宜取り入れます。
・日程
1. ガイダンス
2. 直接・間接測定、誤差・確かさ、偶然・系統不確かさ、器差・公差
3. 測定値の精度、有効数字、測定値の計算
4. 不確かさの公理、平均値と分散、実験結果の表現
5. 代表的な統計分布I ~さいころと二項分布~
6. 代表的な統計分布II ~ストップウオッチと正規分布~
7. 試験とまとめ
8. 不確かさ伝搬則
9. 不確かさ等分則と合成標準不確かさ
10. 最小二乗法のしくみ
11. 最小二乗法による直線の当てはめ
12. 最小二乗法による関数の当てはめ
13. 最小二乗法における分散
14. 不確かさを考慮したグラフの書き方
15. 試験とまとめ

【学習の方法】
・受講のあり方
板書で授業を進めますので、適宜ノートを取ってください。図や表のプリントは講義の前に配布しますので、自分だけのオリジナルノートを作りましょう。演習問題はまず自分で解いてください。解けない場合には何が分からないかをはっきりさせた上で質問してください。
・授業時間外学習へのアドバイス
特に必要ありません。以下の二点を心がけて復習してください。
1. 講義で取り扱った演習問題や課題問題が繰り返し解ける。
2. 図や式を用いて原理や特徴が説明できる。

【成績の評価】
・基準
実際の測定データの不確かさを正しく行えること,最小二乗法を用いて物理現象を特徴づける関数に実験結果を当てはめて物理定数を決定し,その不確かさの評価まで正しく行えること,不確かさに関係する分布関数の基本を理解していること,を合格の基準とします。
・方法
確認テスト20%、レポート20%、中間試験30%、期末試験30%で評価します。

【テキスト・参考書】
参考書:吉澤康和著「新しい誤差論」共立出版
参考書:東京大学教養部基礎物理学実験テキスト編集委員会編「基礎物理学実験」学術図書出版社
参考書:N.C.バーフォード著酒井英行訳「実験精度と誤差」丸善出版
参考書:石井俊全著「意味が分かる統計学」ベレ出版
参考書:本川 裕 著「統計データはおもしろい!」技術評論社

【その他】
・学生へのメッセージ
実験値を正しく解析して表現するための基本的な知識と技法を取り扱います。学んだ内容を活用できるように、しっかりとノートを取りましょう。
・オフィス・アワー
月曜日17:00-18:00に研究室にお越しください。連絡先は初回にお知らせします。

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