量子力学Ⅱ
 Quantum Mechanics II
 担当教員:遠藤 龍介(ENDO Ryusuke)
 担当教員の所属:理学部物理学科
 開講学年:3年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:物理学科  科目区分:必修科目 
【授業の目的】
量子力学はミクロの世界の物理法則を記述する。そのため,直観的なマクロな世界の物理法則とは異なり,数学的・抽象的な理論構成となっている。このような量子力学の理論的枠組の理解を目指し,あわせて基本方程式であるシュレーディンガー方程式の取扱に習熟することを目的とする。

【授業の到達目標】
物理量や状態の時間発展,それにかかわる確率などをシュレーディンガー方程式を使って記述できる。
定常状態に対するシュレーディンガー方程式を理解し,散乱問題や束縛状態におけるエネルギー固有値などの問題に応用できる。

【授業概要(キーワード)】
時間を含むシュレーディンガー方程式,波動関数,確率の保存,時間を含まないシュレーディンガー方程式,定常状態
エネルギー固有値,エネルギー固有状態,水素原子,調和振動子,1次元系の散乱・束縛問題

【科目の位置付け】
量子力学は基本的な物理法則です.これを学ぶことで,基礎的な物理学の知識を修得し,それを問題解決に応用する能力を身につけることを目指して下さい(物理学科教育目標)
2年後期(2単位)~3年前期(2単位)に開講される科目のうちの後半部分です.

【授業計画】
・授業の方法
おもにプリントに基づいて講義を進める.教科書を併用することもある.
・日程
内容的には2年後期の量子力学Iの続きであり,以下を予定しているが,学生の理解度に応じて題材や速さを変更することもある.中間まとめの日程については受講生と相談の上きめる.
1. 量子力学Iの復習.状態の時間発展.
2. 時間を含むシュレーディンガー方程式
3. 確率の保存,確率の流れの密度
4. 期待値の時間発展,エーレンフェストの定理
5. 時間を含まないシュレーディンガー方程式,定常状態とエネルギースペクトルの性質
6. 自由粒子.周期的境界条件
7. 水素原子のS状態
8. 調和振動子
9. 中間まとめ(テストを含む)
10.調和振動子.エルミート多項式
11.1次元の固有値問題.波動関数の連続性.
12.階段型ポテンシャルによる散乱
13.箱型ポテンシャルによる散乱,トンネル効果.
14.井戸型ポテンシャルにおける束縛状態
15.まとめ(テストを含む)

【学習の方法】
・受講のあり方
講義の流れを聞き逃してしまわないためにも,十分な復習をしてください.講義中でもどんどん質問してください.
・授業時間外学習へのアドバイス
量子論は,日常世界からは想像もつかないような,奇妙で不思議な物理法則です.それだけに,魅力的でもあります.日頃から,好みの専門書,一般向け解説書を読むなどして,量子論への興味を培ってください.
講義でやった計算や,考え方は,自分の手を動かして再現してみてください.手を動かしてみて初めてわかることがあります.

【成績の評価】
・基準
次のことができれば合格です.
量子力学で必要とする予備知識(力学,数学)の基礎を理解し運用できること.
量子力学の基本的な枠組みを理解していること.
波動関数やシュレーディンガー方程式の取扱ができること.
・方法
2回の試験(中間,期末)の平均点で評価する.また,講義に積極的に参加する学生には若干の追加点もあり得る.

【テキスト・参考書】
テキスト:遠藤龍介「量子力学を学ぶための数学入門」プレアデス出版
参考書:原島鮮「初等量子力学」裳華房

【その他】
・学生へのメッセージ
理解を深めるためには必ず復習をして下さい.計算をしたり図式化したりみずから手を動かすことが重要です.
受け身にならず講義に積極的に参加して下さい.質問は大歓迎です。
・オフィス・アワー
部屋にいる時は随時対応する.webクラスでの質問や面談の予約も可能.

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